Link
↑黒がC炭素、白がH水素、青がN窒素
アセトニトリルっていう化合物がある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BB%
化学式はCH3CN
-CNという部分構造はニトリル基と呼ばれていて、分極している。
この分極のおかげで、CH3CNは分子間で相互作用をして安定化しており、同じような構造のCH3CH3(エタン)が常温で気体なのに、アセトニトリルは常温で液体である。
沸点も81.6℃と同じような構造のエタノールCH3CH2OH(78.3℃)よりも高い。
研究室でも、その物性をいかしてCH3CNはポピュラーな溶媒や移動相として使用されているのです。
ちなみに、オウム真理教のサリン事件のときのサリンの溶媒として使われていたのもコイツ。
それから罪なきアセトニトリル君は劇物指定になったとか。。。
最近景気が悪くなってきて、そんなにも普及している化合物が手に入りにくくなってきた。
なぜこのような事が起こるのか。そこにはアセニトと世界経済の意外な関係が…。
そもそもアセトニトリルは、工業的には、アクリロニトリルの合成過程で副産物としてアクリロニトリル100Lに対して4Lぐらい生成するらしい。
アクリロニトリルは合成樹脂・繊維の原料として利用される。
有名なところでは、ABS樹脂など。(Aアクリロニトリル、Bブタジエン、Sスチレンの共重合体)
そして、それらの樹脂は、車の内装・バンパーや家電製品などのプラスチック部分として使われるらしい。
大量消費国である米国では、みんなローンを組んで(借金をして)物を買ってた訳ですが、簡単な話、景気が悪くなってきて、車や家電の売れ行きが鈍ってきた訳です。
そこで、樹脂の生産も、待てよ。ということになり、副生成物であるアセトニトリルの供給がストップしてしまった、という流れ。
どこの試薬業者にたずねても、納期は未定。シグマーアルドリッチっていう米国最大の試薬会社にいたっては輸出規制がかかった、となかなかのパニック模様を呈しているのですが、もともとアセトニトリルの需給はタイトだったってのもあるようだ。
うちの研究室は液体クロマトグラフィーは使わないので、そこまで大量のアセトニトリルを使わないから助かったけど、今頃、分析屋は大騒ぎしているだろうね~。
以上、意外なところで世界とリンクしているのを感じました、というレポートでした。
中間報告会がクリスマスイブにあるので、こんな記事を書いている場合じゃないんだがね。。。
これが、現実逃避ってやつなのか!?笑
アディオス!