磁気との闘い | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」のスタッフブログ

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マサズパスタイムのスタッフが週替わりで日々の作業や、趣味などを綴っていきます。

こんにちは

今週は佐々木がブログを担当します。

 

この前は「non-magnetic watch co.」のことをちらっと書きましたね。今回から、その辺りを2、3回に分けて詳しく掘り下げていきたいと思います。

 

簡単に説明しますと・・・

 

ノンマグネティックウォッチカンパニー(以下ノンマグ)とは

磁化しない合金でできたヒゲゼンマイとテンワを使用して、時計を販売したまさに名前通りの会社です。

 

アンティークの時計は、ヒゲゼンマイと呼ばれる部品が鉄でできているものがほとんどです。その為、一度磁化してしまうと時計の精度が、ものすごく狂ってしまうんです!!

 

それでは、ここから詳しく書いていきたいと思います。

 

 

 

・・・と、そのまえに

 

 

 

まず、このメーカーについて書く前にペイラードという人物について説明したいと思います。

彼はノンマグネティックウォッチカンパニーを語るうえで欠かせない人物なのです。

サラッと説明しますと、磁気帯びしない合金のヒゲゼンマイとテンワの開発者です。

 

ペイラードは、1840年にスイス時計の名産地ラショードフォンで生まれた時計師です。時計学校で学んだ後、1857年に南米にいる叔父のもとで、マリンクロノメーターの修理をしていました。そこで、クロノメーターのヒゲゼンマイが度々錆びていたことに気が付き、それがきっかけでペイラードはヒゲゼンマイについて関心をもつようになりました。

 

その後、スイスに戻りパテックフィリップ社に勤めている傍らで、本格的にヒゲゼンマイの耐蝕性ついて研究を始めました。ところが研究しているうちに錆びよりも磁気に関心を持つようになったのです。

 

ペイラードは度重なる研究の末、パラジウム合金のヒゲゼンマイは磁気帯びせずそれに加えて錆びにも耐性があるという大きなメリットに気が付きました。後日、その合金ヒゲゼンマイを搭載した時計作品二つをジュネーブの天文台に送り、時計師としてのキャリアを得ることとなったのです。

 

開発当初はなかなか使ってもらえなかった合金ヒゲゼンマイでしたが、1881年6月に正式にこの発明が認められ少しずつスイス国内の需要が増えました。

因みにこのヒゲゼンマイは

弾性が高い  高温下であっても変化しない  防錆

という三拍子そろった高性能なものでした。

 

その後、ペイラードはヒゲゼンマイだけだと磁気の影響を充分に防げないと考察し、1885年にM. C. Crusazという人物と協同でバイメタルパラジウム合金製のテンワを開発しました。

 

今回はこの辺までにしたいと思います。

 

 

 

おまけ

 

ノンマグについて勉強していくうちにこんなの見つけました。

 

これはなんと0サイズ小型ムーブメントだそうです!!すごくレアな時計じゃないですか!

もし見つけたらこれをカスタム腕時計にしてみるのも面白いかもしれませんね。

皆さんも是非探してみて下さい!!

 

 

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