ヤフーニュースで僕が事務所所属時代に

大変お世話になった倉科さんのインタビューが

出てたので刑事が出る映画やドラマが好きな方に

是非読んでもらいたく

 

刑事ドラマのウソホント 電柱に隠れて張り込む刑事はいない

 

100%リアルにやるなら

それは作り物のドラマの世界を構築することはできません。

けどネットで気軽になんでも調べられる昨今

それを揚げ足取りの如く

批判する人が多からず居るのは

本当に残念ですね。

 

なんかクレーマーみたいな

なんでも正義や正解を振りかざして

気持ち良くなってる人が居るのは

まぁこのご時世仕方がない事で

それはそれで別にいいのですが

たまに許せないぐらいの意見を聞くこともあります。

 

なんでもリアルを求めるなら

もうそれは創作のモノ自体を見るのを止めた方がいい。

わざわざ見てリアルとの相違点を語る人の

気が知れないです。

 

あと、もうちょっと深く調べれば分かるのに

ちょっとネットで調べたり

自分の知識が絶対と思って指摘する人

ほんまに居ます。

 

僕が経験したのは

今井雅之さんの代表作

「ウインズオブゴッド」の分隊長役を演じてた時に

たまにネットの書き込みにあった

 

「大戦当時敵性語を使用してる時点で冷めた」

 

これは僕も実は稽古場で質問したことがあるんです。

訓練シーンの僕の台詞で

 

「位置について レディ ゴー!」

 

って台詞があるんですね。

全部英語でもないし

ミックスでしょ。

しかも第二次世界大戦の終盤。

 

その質問に脚本家であり演出家の

今井さんは答えてくれました

 

陸軍と海軍の成り立ち

 

陸軍は薩長同盟からの流れ

正確に言うと長くなるので

簡略化しますが

元々日本にあった流れがベースにあり

海軍はイギリス艦隊がモデルで

 

江戸から明治に変わった頃からだと思います。

 

なので敵性の言葉を使うのは

出来始めた当初は敵ではなかったし

モデルが海外だからってのがあり

 

陸と海では敬礼の角度も違いますし

もっと言えば

当時の日本の文化に

男子がスカーフを巻く風習がない。

けどゼロ戦に乗ってた飛行機乗りは

スカーフを巻いてるでしょ。

海軍だから。

海外の軍隊を基礎にできた部隊だから。

 

それはあれです

舞台とか映画で陸軍の特攻隊員の話なのに

スカーフ巻いてるのを見ると

僕は「お前ら全然調べてないやん」って冷めますがね。

大戦当時陸軍にも海軍にも特攻隊はあって

スカーフを巻いてるのは海軍だけですし

(余談ですが当時の海軍の飛行機乗りは

おしゃれで酒場でモテたらしいです)

 

そういう意味から当時の陸軍と海軍は仲が悪かったそうです。

 

まぁそりゃそうですね。

 

これはね

今井さんがウインズの台本作成に当たり

当時生き残った特攻隊員の方々

(ウインズオブゴッドは来年で30周年ですから

29年前はまだ全国に大戦を生き残った元軍人の方々がいて

そういう意味では僕の祖母もそうですが)

100名以上に一年かけてインタビューして

直接話を聞いて

それを参考にあの台本を書き上げたから

資料には残っていない細かい部分のリアルが書き込まれてるのです。

 

僕が今井さんに

「なんでそれ説明せんのですか?間違って捉えられてるの悔しくないですか?」と

訊ねた時に今井さんが

「その部分は本当に知ってる人なら分かるから

それよりこの作品で伝えたいのは

生きる事って?平和って?」

それを伝える、感じてもらえるのが一番だからと。

 

僕はそれでも納得仕切れないとこもあって

そういう意見を見る度に

「指摘する前にもっと深いとこまで自分で調べろや!」って

怒ってました。

 

ネットで調べても当時の文献やら

そこからの話しでしかありませんし

実際に赤紙を出され招集されて

訓練して

さぁ自分の番だと腹をくくって

けど終戦をむかえて生き残った

元隊員の人たちの

生の声と

どっちがリアルなんですかね。

 

たまに鼻で笑ってまう意見もありましたよ

 

「神父さんは松島少尉の生まれ変わりですね」

 

・・・ちゃんと芝居頭から観てくれたんやろか?

完全に山田分隊長の現在と過去やのに。

ちょっと落ち込みましたよ。

僕の台詞が客席に届いてなかったのか?とか

芝居が伝わってなかったのか?って。

ウインズってアニキの不思議な体験と

分隊長の歩んできた人生の中での

経験が交わる話ですんで。

 

まぁけどそれも良いんです。

観る人の捉え方伝わり方は自由ですから。

あと物語自体が現在の漫才師が

事故をきっかけに第二次世界大戦末期に

タイムスリップするという

いわばファンタジーですから

そういう感想が出てもおかしくないですしね。

けどお芝居って面白いなぁと

その時思いました。

 

なんでしょうか

僕が言いたかったのは

創作物の中にも色々あって

限りなくリアルに近いものから

ぶっ飛んだものまで

色々あります。

 

正直ドラマで出てくる通行人なんて

リアルでやるなら

本当のサラリーマンや主婦に出てもらえばいいのですが

本物の主婦やサラリーマンが

メインが台詞を間違ったからもう一回お願いしますは

リアルなら無理なわけで

だからエキストラの皆さんにお願いする訳で。

 

これらの事も踏まえながら

クレームを言うなら言ってくれと。

 

「そんなんないわ!」

 

「うわぁこれ本当でしょ?」

 

そんなこんなも踏まえての

僕らが創る世界ですから。

 

倉科さんの言う

「物語に3割のリアルを」

 

これぐらいの割合がベストなんだと

現場で芝居をする僕は感じた訳で。

 

リアルを追求し過ぎると

僕が以前に出演した冤罪を扱う物語で

逮捕が確定した時に

手錠をはめる動作で

刑事ドラマによくある

手錠を感情に任せ

上から勢いよくガチャってはめるのではなく

下から手首にはめる場面。

元警察官の方からリサーチしてやったのですが

アンケートの中に

 

「あの場面で犯人に対し手錠のかけ方が

おかしい」なんて意見を読んだときは

リアルを追求するのも大変だなぁと

ちょっと思ったりしました(苦笑)

 

長くなりましたな。

最後にウインズの舞台でも映画の中でも

アンリアルなシーンがあって

挙手の敬礼は着帽時にしか絶対しないのですね。

無帽時は10度の敬礼なんです。

無帽時にしてる場面は

完全に物語としての演出上

クライマックスでの見た目を優先しての

無帽時の挙手の敬礼なので

勿論今井さんは敢えて演出上そうしてるので

この辺も

 

「リアルなら当時から無帽時に挙手の敬礼はしない!」と

ツッコミ入れるのも止めてもらえるとありがたいですね。

 

長くなり過ぎたのでこの辺で。

 

 

押忍!