5/1東京の新国立劇場から始まった
ウインズオブゴッドの舞台は
5/31の沖縄公演をもちまして
全ての公演を無事に終了する事が出来ました。
各公演で支えて下さった皆様
沢山のお客様
本当にありがとうございました。
勿論今回どうしても観劇出来なかったけど
気持ちだけでもと声援を送って下さった皆様も
全ての想い全部ちゃんと伝わりました。

この1ヶ月間・・・
いえ、
今井さんから電話で冗談のように
笑いながら術後の病状を話してもらってからの半年間
ほんまにあっという間でした。

今年に入ってから今井さんがレギュラー出演していた
ばら色ダンディの収録にお邪魔し
その後一緒に食事に行った時も

「医者が笑うんだから俺らも笑うしかない」と
自分の体の酷く先が全く期待出来ない状況でも笑っておられた。

自暴自棄になったのではなく
本当なら去年の余命三日という状態の時に
死んでいたのかもしれなかったが
俺はこうやって生きてる。
そう思えばこうやって年越して生きてる事がどれだけ幸せか。
朝起きた時に今日も生きてると実感し
舞台に向けて体力を回復させる為に歩く。
太陽の光を浴びると
また改めて生きてる事に感謝するんだと
澄んだ眼差しで話された。

今井さんから
「勝、必ずウインズの舞台
そしてその後の手つなの映画はやるから頼むぞ!」
と握手した時はまだ全然手の力も強かったんですよ。

稽古に入る3ヶ月前・・・1月の終わりぐらいやったか
それぐらいのタイミングで
今井さんから電話があり

「勝、すまんが皆と一緒に肉練やるまでの体力が戻らない。
悪いが俺は別メニューで芝居だけに集中する形になると思うから
その辺のとこ任せたぞ!演出は陽子がやってくれるから」

もうこの時点でも体はとんでもなくしんどかった筈なのに
肉練の心配しますか普通?(苦笑)
僕には稽古に入る前にはこういう感じの電話が
割とありました。

「見よう見まねで敬礼するのと
腕立て1000回やってるやつの敬礼はやっぱ違うんだよ!
役者の役作りとしてきっちりやれよ!」

これはなんかあった時にいつも今井さんから出る言葉。
芝居の中身は陽子さんが演出してくれるけど
体作りの部分は今まで通りしっかりやれよって
その心配の電話でした。

今井さんは重松にも別で色々お願いしてたんですが
それはしげ自身が書くと思うのでここでは割愛しますね。

稽古に入り
稽古場で僕らが肉練やってる横で
歩行や自転車をこいで
舞台復帰に向けて黙々と体力を戻すために
トレーニングに打ち込む姿は
この人なら本当に舞台復帰出来るんだと
信じれました。

稽古場で今井さんと話をした時に
今井さんは
「死ぬことに対しては本当に何も怖くないねん。舞台に立たれへん事の方がほんまに悔しいんや。けど俺は絶対に舞台に立つし映画にも出る!今はそれが兎に角第一の目標や」

おっ!今井さん関西弁出ましたねと二人で少しだけ笑った。

東京新国立劇場での舞台初日
舞台本番前にお客さんへの挨拶の
リハーサル。

現状を知ってる誰もが吃驚する
プランを言いました。
お客さんの前に自転車を乗りながら登場し
挨拶をすると。

その時稽古場から居た全員が納得した。
この為に自転車を漕いでベルを鳴らしての
練習をしてたんだ。
ただのリハビリではなく
ちゃんとこの時を想定し自分で演出した
お客さんに見せたい画の為に
稽古場で毎日自転車漕いでたんだ。

涙を堪えるのが必死だった。

リハーサルで試みたが無理だった。
だけど舞台中央まで弱々しく歩いていく姿だけは絶対に観劇に来られた皆さんに
見せたくない!
色々な案を出すスタッフに納得いかない
今井さん。
奈良橋陽子さんが
「ならMasayukiこれならどう?」
と身振り手振りを交えて
今井雅之登場の演出をつける。
それに納得し東京公演の今井さんの
挨拶が出来上がった。

東京公演期間中
酸素吸入のチューブをつけましょうという
医者の勧めを
「そんな姿をお客さんに見せる事は出来ない!」と突っぱねた。
そしてお客さんの前で舞台挨拶をした。

袖から見てた僕は
もうこの目の前で起こってる事が
奇跡なんかも知れないと思った。
多分皆もそう思ったんやないかな。

その奇跡が
舞台公演
そしてその後に撮影する映画まで
続いてくれと願いました。

東京公演最終日の5月5日。
僕らの舞台終わりまで
楽屋のモニターで芝居を観て
待っていてくれた。
キャスト全員と陽子さんで
真っ先に今井さんの楽屋に向かいました。

笑顔で
「良かったぞ お疲れ様」
その途端全員今井さんの手や足に
すがりながら溢れる涙を止められませんでした。
嗚咽をあげ泣く僕たちを
うんうんと頷きながら見る今井さんが
僕たちに言った一言で一気に笑いになった!

「で、今日は何分だった?」

こんな時にダメ出しするんですか!?
皆泣きながら大笑いして
ほんまおかしい感じになった。
今井さんが本番に入るといつも芝居にかかった時間を気にして
間延びしてるときは僕らに喝を入れるもんですから(苦笑)

時間を伝えると

「今日は東京の最終日だから仕方ないけど
北海道以降テンポ意識してちゃんとやれよ!」

末期癌で痛い苦しい身体の状態で
そんなん普通言います?
この人はほんまに役者バカというか
自分の命とかそういうことより
目の前の芝居が一番大事なんやと改めて思った。

その後の打ち上げまで顔出されました。
その時の素敵な写真は
ブログ掲載の許可をまだ貰ってないのでまた改めて。

その時にジンシャーエールを飲みながら
北海道公演
そしてその後の大阪京都神戸公演に向けての話で

「残念ながら北海道には間に合わんが
関西にはなんとかな」

一同「・・・えっ!?マジっすか?」

「もしそれに間に合わなかったとしても
絶対沖縄公演は立つからな!
その時はしげすまんけどフォローよろしくな
途中でやばいからもしれないからいつでも変われるように
袖で待機しておいてくれ」と。

おいおいこの人マジで言うてるわ。
でも今井さんやったらまさかのまさかで
あるんちゃうのん?と思わせてくれる
時間でした。

初めは30分程で挨拶したら病院に戻ると言ってたのですが
気が付いたら1時間半ぐらいかな。
ようさん話しました。

僕が今井さんに会ったのはこの時が最後になりました。

関西公演を終えて
沖縄に行く前に挨拶をしてから
行くことを井戸田潤と福島彰吾と
時間を合わせて予定を組んでました。

間に合いませんでした。

「お前ら読みが甘いな!」

と今井さんに笑われてるような
そんな少し微笑みすら感じ取れる
横顔でした。

綺麗な横顔でした。

こうやって書いてても
ほんまにまだなんかしっくり来ないんです。
引きずってるとかそんなんでもなく
舞台は終わりましたが
まだ「手をつないでかえろうよ」の撮影は
今から始まります。

多分ですけど
映画のクランクアップまでは
僕の中では消化出来ないのだろうなと。

取りあえず撮影までまだ時間ありますから
それまでは色々人に挨拶いかなあかんやろし
大好きな酒をずっと呑めてなかったので
好きなだけ呑んで待っといて欲しいですしね。

なんか言葉を探してたんですが
ホテルで風呂に入りながら
携帯でこれまで今井さんと一緒に居て
聴いていた曲を色々流してましてね。
その中で
すっと涙がでたフレーズがあって
いまは今井さんに対してこうなんや、
そういう合図なんかと思って
今回のブログの最後は
その歌のフレーズで締めますね。

♪~

そうなんだきっとこれが僕らが
ココに居る意味なんだ
あぁたったひとつコトバを見つけたよ


"ありがとう"

~♪

映画「THE WINDS OF GOD - KAMIKAZE」
テーマソング「ゆらゆら/風味堂」より

押忍!


松本勝