さてフィリピン滞在二日目は僕の撮影初日。

まず今回の映画は特殊なエフェクト効果を使っての撮影で

スタジオのセットが舞台の書き割みたいなんです。

板に絵を描いてるみたいな感じでしょうか。


ちょっと驚きました。


フランスやヨーロッパ諸国では既にこの技法で映画は撮られてるそうで

一瞬「マジで?なんじゃこりゃ?」って思いますが

ライティングとスモークとが合わさってモニターのプレイバックを見ると

ものごっつ立体感が出てくるんです。

ほんと浮き出てくるみたいな。

なんやろ良い表し難いですけど

今までに経験した事がないやり方でしたので刺激的でした。


そんなこんなで映画「Death March」の撮影に参加。



松本勝オフィシャルブログ「勝のでんがなまんがな!」Powered by Ameba-Death March

実際にフィリピンで戦争中にあった出来事を元に映画化しております。

脚本・監督:アドルフォ・アレックス(Adolfo Alix, Jr .)



松本勝オフィシャルブログ「勝のでんがなまんがな!」Powered by Ameba-Masaru Matsumoto/Adolfo Alix, Jr.

こちらはアドルフォ監督に動きの指示を受けてる

松本勝です。


僕は日本人の将校役でした。

初日の撮影はいきなり僕が鬼門としてた

タガログ語の台詞のシーン。

当然カットを割ってくれると思ってたんですが

がっつりやりましたわぁ(汗笑)

戦争中の話で僕は日本人役なので

ネイティヴなタガログ語は勿論求められてないのですが

せめて途中でカット割ってくれよって思ったぐらい

台本でいえば4ページがっつり一発でいきましてね。


白髪になるんちゃうかってぐらい集中しましたわ(笑)


このシーンで共演したのは

フィリピンでは誰もが知ってる人気俳優。



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特に一番右の彼はシド・ルシセロ(Sid Lucero )という

両親とも超有名な俳優という芸能一家で

彼自身ももベストアクターを受賞してたり

TVでも見ない日はない人気俳優でして

この日も、もう6日間まともに寝てないと嘆いてました。

映画の撮影が終わるとすぐに中抜けしてドラマの撮影現場に向かい

ドラマの撮影が済んだらまた映画の撮影に戻ってくるという

強烈に忙しい彼なんですが

とても人当たりが良くてええ人ってのが滲み出てる。

彼の名前の発音が難しくて四苦八苦してると

「シロー」と呼んでくれと(笑)

彼は大の日本好きで日本語も少し知ってるし

日本の文化がとても好きなんだそうで

彼の飼ってる犬もスタジオに連れて来てたのですが

名前は何故か「ユミコ」でした(笑)

ほんまにええ芝居してたわ。


その左側もバンバンTVに出てる俳優ですな。

彼もええ芝居してたましたな。

そんな二人相手にタガログ語でバシバシ攻める訳なんですわ。


いやぁきつかった(苦笑)

あの空気たるやなんとも形容し難い。

この日はエキストラだけで50人以上。

スタッフ全員含めると150人以上がスタジオにいまして

しかもスタジオ内で爆撃のシーンがあって

実際爆発させたそうですが火薬の量が多すぎて

初日に5人病院に搬送された流れがあってのこのシーン。

そういえば隣のスタジオで待ってる間

あまりの爆発音に

ジャッキーさん(Jacky Woo )に「大丈夫なんですか?」と聞いたら

いや怪我人が出てるし

こんだけ広いスタジオの隣のスタジオにまで

あの音とこの振動だから下手すりゃヤバイよってな話で(汗)


まぁエキストラの子たちからすれば

戦友を日に日に怪我で失い

自分らが憧れ、その人になりたいと思ってる有名スターの相手を

日本からきた観た事も聞いたこともない役者がするんですから

なんやろあの「お手並み拝見」的な空気は。

それはスタッフ陣からも強烈にありましたね。

それでもジャッキーさんが初日に自分が日本から呼んだ

俺の友達だと皆に紹介してくれたので

監督を初め上の人は好意的に接してくれましたが

やっぱり芝居を見るまではって空気はひしひしと感じました。


タガログ語の足枷はあれど

芝居に入ったら国や言語は関係ないですから

のっけから思いっきりやったりましたわ(笑)


監督がやり過ぎや押さえてくれってぐらいに(笑)


僕の最初のインパクトとしては十分過ぎたんでしょう。

そのシーンが終わった途端

お試し空気から一気に仲間であったり尊敬の空気に変わりまして

それから最終日まで本当に皆さん好意的に接してくれました。



松本勝オフィシャルブログ「勝のでんがなまんがな!」Powered by Ameba-Masaru In Death March

ちなみに向こうのエキストラは大体一日

日本円で500~700円ぐらいが相場だそうで

この日も朝5時から深夜2時ぐらいまでかな。

その次の日も強烈に長かったですが

皆時折項垂れながらも

けど目はギラギラしてる感じで

最近日本の現場でたまにだらだら仕方なしにやってるような

エキストラや端役の子を見てムカついてたので

彼らのギラギラ感は凄く心地良かったです。


本当に今のフィリピン映画界は

僕が諸先輩方たちやその当時を生きた方から

話を聞き恋焦がれてた時代。

東映、東宝、日活が全盛期の時代。

今から40年前ぐらい前の日本みたいな

「仁義なき戦い」みたいに端役やエキストラも

全員ギラギラしながら死に物狂いでやってた時代。

ピラニア軍団みたいな

そんだけのエネルギーを感じましたね。



松本勝オフィシャルブログ「勝のでんがなまんがな!」Powered by Ameba-フィリピン兵士役と一枚

皆ええ顔してるでしょ?


朝早くから全力でやってましたよ。



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勿論中には俳優を目指してなくて

フィリピン在住で他の仕事をしてるが

今回日本語が話せたり容姿が役にあってたり

とかの理由で参加してる人も居てましたので

皆それぞれ映画に対する向き合い方が違いましたが

そんな人らを監督の指示を踏まえ修正するのが

日本人でフィリピン在住20年以上の大江プロデューサー。



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監督とのタガログ語での会話を

日本語で教えてくれます。

監督のこだわりが非常に強く

細かな動きの指示があったので

流石にファジーな英語では対応できなかったので(苦笑)

動きが決まってからの芝居のエモーションなりは

監督と直接英語で話して確認しながらやってましたが

どうしてもテクニカルな部分での細かいニュアンスの違いは

大江さんの助けが必要でした。

要は監督とのやりとりより

その周りの日本人兵士役日本語が話せなく

英語もあんまりなエキストラの人らのケアとか

全部大江さんがやってましたので大変だなぁと。


あと監督のこだわりである今回のセットと撮影技法。

冒頭でも触れましたが

最初見た時は正直「なんじゃこりゃ?」って感じ。



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これまだスモークと照明がちょっとあるんで

奥のほうは幻想的ですが

手前の左側とかみればペラペラなんが分るでしょ?(笑)

けどライティングとスモークと

なんか後黄色をちょっと足すみたいな事も言ってましたが

兎に角モニターでプレイバックを見ると



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このシーンだと分り辛いですが

山の中や森林の中に居るようにちゃんと見えるんです。

ちなみに左が僕で右が僕の部下役をやった

ジャスティンという韓国人なんですが

彼はビジネスマンでコーヒーマシーンのレンタル販売をやってて

自社ビルも持ってる凄い頑張ってる人で

今回も僕の背丈より高く役どころにぴったりの体格だったのと

アジア顔ってことで

エキストラ出演を引き受けてくれたそうですが

彼は真面目過ぎる故に色々やらかしくれまして(苦笑)


多分誰よりも自分の出番以外でずっと撮影の見学を

してたのがジャスティンでした。

演技は初めてだから皆の足を引っ張らないように

頑張るんだという意気込みがひしひしと伝わってきましたが

それがとんでもない空回りを生む羽目に(汗笑)

あぁええやつやけど日本でもこんなやつ居るなぁと

一人微笑んでました。


僕の相棒ジャスティンの話はまたの機会にしないと

ものごっつまだまだ長くなるので(笑)


撮影が終わってシローが一緒に写真を撮ってくれと。

シロー曰く:勝の芝居が本当に怖かったからリアルに良い芝居が出来たと。

半分お世辞にとっても嬉しい限り!

「Masaru Oni Masaru Oni(勝 鬼!)」と

はやし立てられました(笑)


いつか日本に遊びに行くし

Masaruがフィリピンに来たらいつでも連絡してくれということで

連絡先を交換。

そして2人で写真を撮ろうとしたら

俺も入れてくれとジャスティンが(笑)

そりゃジャスティンからしたらものごっつビッグスターですから(笑)



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左からシロー、勝、ジャスティン


シローの芝居ほんまええ感じやったなぁ。



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