恋はいい。

好きな子からメールがくるだけで、ドキドキする。

メールが帰ってこないだけで、胸が苦しくなる。

来たメールをどう返そうか、それだけで一日がたってしまう。

すぐに返信したら、ガッついているように思われるのでは…と。

やはり、恋はいい。


久しく忘れていたこの感覚を取り戻しつつある昨今、

己を見失わないために買ったのが「戦国自民党50年史」


自民党の歴史は、ヘビー級の欲望の衝突の歴史だ。

なんといってもスケールがでかい。なにしろ国家を舞台としている。

この国を、おれの思うようにさせろと、国民に子分に訴える。

こんな濃厚な連中が面白くないわけがない。


軽武装経済重視路線の吉田の系譜を受け継ぐ

田中派(旧経世会)に対するは、

重武装経済軽視路線の岸の系譜を受け継ぐ

福田派の申し子たち。


いわゆる角福戦争自体がねじれたGHQ政策の

吉田と岸の代理戦争であり、いまもってその戦がつづいている。

このダイナミックな世代を超えた物語は、

源氏物語なんかよりも面白い。


現実的に改正不可能な硬性憲法をおしつけたGHQ、

しかし共産圏へのけん制のために日本に武装させたいGHQ。

「9条」をめぐる精神分裂を引き起こした自民党。

CIAがA級戦犯をよみがえらせ、傀儡とした「昭和の妖怪・岸」


このむちゃくちゃっぷり。

一国を舞台にしたパワーゲームも、

この恋同様にときめきますわ。


政局が戦争なら、金は実弾。

本書の価格は、第二次角福戦争で

田中が用意した実弾30億円也。

「あしたのジョー」「空手バカ一代」とくれば、

「男の星座」に行き着くのは、自明の理。


梶原一騎の未完の人生回顧録として、

男クサイ漫画ファンのなかでは、

もはや必読書ともなっている本書。


胡散臭いお話は数多いものの、

大山倍達伝「空手バカ一代」における

マス・オーヤマVSタム・ライス戦同様、

事実を究明するのは、野暮というもの。


戦後まもなくからケンカ癖で救護院へ、

商業高校へ進学するも、中退。

編集者の父の薫陶を受けて、18歳で作家デビュー。

マス・オーヤマ、力道山などを取材し、

さまざまな人脈が形成されていき、

人間・梶原一騎ができあがっていくというもの。


プロレス裏話も豊富だが、やはり真偽は問うべきではない。

それがロマンであるからだ。


本書に出てくる梶原一騎とならぶ、数多くの男の星座。

時代が違うものの、この男の星座の一角に、

いつかワタクシという男の星座も輝かせたい。


1950~60年代という激動の日本再生期に青春を過ごし、

爆発的エネルギーに満ちた巨人の星座。

この本に値段を付けることは出来ない。

梶原一騎という存在そのものが経済性に還元されない

男の星座なのだから。

拘置所の朝食が朝8時頃に終わり、

ホッと一息ついていると、

いつもよりも多い足音がガッガッガッと

静かな拘置所内に不気味に響く…。


朝9時、本日「死刑執行をする」と宣言され、

片付け、遺書、荷物整理などなにもできない状態で、

刑務官数名に両脇をかかえられ執行場へ連れて行かれる…。


この辺は、これまでもいくらか情報はあった。

本書の切り口である「死刑囚の最後」には、

じつはそんなに興味は無かった。


目を引いたのは、死刑場の詳述。

死刑場は法務省タブーのなかの一つ。

絶対に公開しない。公開したら次官のクビが飛ぶ。

とまで言われている全国に8箇所ある死刑場。

タブーの理由すらはるかかなたに覚束ないくらいに、

十重二十重にモンスター化したタブー。


これを、かつての検察幹部が詳述し、

図解してあるのだ。これは必見とばかりに買ってしまった。

死刑の執行には係官、拘置所所長、医師、検察官、検察事務官の

立会いが法律、おそらく刑事訴訟法か執行法で義務付けられている。

そのため、検察官は死刑に立ち会えるのだ。

ちなみに、その検察官ですら当日まで死刑立会いを知らされない。


二階建て構造、死刑執行閲覧室、執行スイッチの位置、

ロープの太さ、防音構造、検死確認、…

多くの施設が詳述されている。


昨今、死刑について意見が分かれつつあるものの、

やはり、生かしちゃおけねえ野郎はいる。

冤罪可能性だの、なんだの言っても、

生かしちゃおけねえ野郎はいる。

要は死刑賛成だ。


死刑囚は死刑場に着くと、遺書を書くことが許される。

願い出ればタバコも一本許される。

ということで、本書の値段、タバコ一本分16円。