以前参加した無想会の懇親会で、新垣師範に質問しました。


「過去の達人にもし会えるとしたら、誰に会いたいですか?」


すると、新垣師範はおっしゃいました。


「…松村宗昆と宮本武蔵…だろうな。」


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宮本武蔵の書いた五輪書は、現代人の僕たちにも、たくさんの知恵を与えてくれます。


個人的に【水の巻】が特に好きで、最近は、現代訳よりも原文で読むことの方が、なんかしっくりきます。


水の巻では、目についての記述がたびたび出てきます。


目つき、観の目、見の目、などなど


あらゆる箇所で、目についての説明が出てきます。


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無想会セミナーで、新垣師範は何度も何度も受講生に言うことがあります。


それは、「自分の拳足を見るな!」ということです。


ナイファンチにおいても、最も大切なことは、目付だそうです。


どんな目をするか?どこを見るか?というのは、どうやらとてもとても重要なことみたいです。


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今週、自分がどんな目をして、どこを見ているのか?ということについての観察を続けています。


ものすごく、たくさんのことに気づき続けています。


まず、これまで僕は、一日の多くの時間で、かなり下を見続けていたんだなぁ…という事実です。


スマホを見る、字を書く、本を読む…


立つ、歩く、座る…


日常のありとあらゆる場面において、武蔵や新垣師範の要求する見る角度よりも、明らかに下向きなのです。


見る位置を上げると…色んなことを制限されます。


いっそ、目を閉じてしまった方が楽だな…と思わせられるぐらいです。


で!実際に目を閉じて、色々とやってみます。


なんか…頭の位置・角度が、自然と良い位置に収まる感じがします。


別の言い方をすると、脳が地面と水平の角度に保たれ、頭がスッキリ、耳が敏感、手足が鋭敏、そんな感じ。


アメリカのマジシャンで、全盲の方がいらっしゃって、その方の技は、他のマジシャンには真似の出来ない特技があるそうです。


それは、箱から出したばかりのトランプの表面を触るだけで、それぞれのマークを瞬時に判別するスキルです。


触った瞬間、スペードやハートなどの形や色の違いが、温度によって分かるそうです。


にわかには信じがたい話ですが、実際に目を瞑って色んな作業をしてみると、あながち無理な話でもなさそうな気がしてきます。


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武術・武道関連の本を読むと、西洋がベースとなっている現代に、明治維新より前の、古来の日本の心身文化を再興しようとする流れ、志を持つ方々がいらっしゃることに気づきます。


僕自身もそのことに同意していて、自分の身体を使って、そのことを実験して、どうなるか?を続けるつもりです。


最近は、これまでのYouTubeチャンネルを全部解除して、新しく、舞踊の動画を観るようになりました。


日本舞踊の歩き方や、手の形、めちゃくちゃ面白くて、勉強になります。


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宮本武蔵は五輪書の中で、目の他にも、顔についてたくさんの情報を与えてくれます。


その中でも個人的に好きなのが、「額のシワを伸ばし、眉間のシワを寄せる」というもの。


僕はずっと前からそのことを知っていて、自分でも意識しながら生活しています。


でも、これがまた、簡単そうでなかなか難しい…。


僕に無想会空手を叩き込んでくれた、恩師の南教授、その南教授の師である新垣師範。


お会いする機会のある方は、お二人の顔をよく目て欲しいです。


二人共、おでこのシワはなく(多少あったかも?)、眉間にシワが寄っています。


先ほど、沖縄武道空手の極意に掲載されている、新垣師範の写真を確認しました。


まだ40歳代の若き新垣師範、既に眉間にシワが寄っています。


そして、写真では少し強面な印象がありますが、実際にお会いすると、こちらが恐縮してしまうぐらい腰が低く、セミナー中ではしょっちゅうギャグを言う、ユニークで穏やかな方です。


素晴らしき先人に学べることに感謝しつつ、自らの身体を今日も観察しようと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。