先日、菊野克紀さんが主催されている、敬天愛人手合わせ稽古会に参加させていただいた。
約二年前、初めて参加させていただいたので、今回が二度目。
開始時間を30分勘違いしていて、現地に一時間以上早めに到着してしまった(笑)
会場の目の前には、コンパクトなグラウンドがあり、そこで野球少年が元気に練習をしている。
昔の自分を思い出すようで、懐かしいなぁなんて思いながら、身体を冷やさぬよう、ウォーミングアップ。
稽古会の時間となり、周りと軽く挨拶。
前回来た時よりも、人数が多い。
元UFCファイターであり、現在は武術家として多方面で活躍されている菊野さんをはじめ、幅広い分野の方々が、総勢50名。
伝統空手のガーナチャンピオン、フルコンタクト空手、中国拳法、日本拳法、剣術、合気道、ジークンドー、ボクシング、ムエタイ、などなど、錚々たる顔ぶれ。
ルールは、実践を想定して、まずは素手素足で、基本的にはノールール。
もちろん寸止めで、お互いが怪我しないように、超ライトスパー。
僕の今回のテーマは、まず『正中線』。
自分の正中線と相手の正中線を結ぶ。
自分の正中線は守る。
相手の正中線を捉える。
自分の攻撃は全て、一次元上の直線的な動きの中で、攻撃を当てる。
自分の攻撃は全て、自分の正中線上を通過するので、攻撃=防御にもなる。
前後移動の右半身と左半身が入れ替わるときは、前の肩は動かさず、肩幅よりも狭い、壁と壁の間をすり抜けるように。
芹川さんはイメージの中で、日本刀の横幅(4ミリ?)の間に、身体を圧縮させるのだそうだ。
そして、次に『仮想重心』。
重心を、身体の外に出す。
後ろに移動する時も、重心は身体の前。
その仮想の重心に、良い姿勢で落ちる。
そして、もう一つは『喉輪』。
喉輪が、実戦で使えるかどうか。
無想会空手で習う形の初動。
その多くは、喉輪で始まる。
前回の無想会東京同好会での稽古会の時、初めて素手での組手を行い、その時は一度だけ極めることが出来た。
喉輪が、他流の方との組手で、どのような効果が出るのか、試そうと思っていた。
正中線、仮想重心、喉輪。
三つとも、重要なテーマ。
さて、結果は…
・・・
三つとも、予想以上の収穫。
それには、自分でも驚いた。
僕が手を前に出し、前に出した手と足に自分の正中線を隠しつつ、その正中線を、相手の正中線にロックオンすると、多くの方が一瞬戸惑っているように感じた。
相手が攻撃してくると同時に、自分は相手の正中線へ倒れるようにして、四肢のどれかを真っ直ぐ当てる。
よほどタイミングを間違えなければ、ほとんどカウンターが取れる。
相手が距離をつめてきても、バックステップは、絶対に使わないようにした。
なぜなら、前後左右どこにでも、ステップした瞬間に、居着いてしまうから。
仮想重心を前に出したまま、右半身と左半身を仙腸関節のスライドで後ろに下がれば、相手の攻撃は自分には届かず、自分の攻撃は体重の乗った状態でカウンターが取れる。
下がりながらの突きは出来たけど、蹴りは出せなかったのは、今後の課題。
そして、喉輪は、手応え抜群。
「あれは何をしているんですか?」
「目つきを狙っているんでしょうか?」
「中国拳法ですか?」
僕が「喉輪です。」と答えると、多くの方が驚き、興味を持ってくださった。
そして、単純に目突きを狙ったり、拳で顔を突いたりするよりも、ものすごく安全な感じがした。
やる側は、突き指や拳を痛める心配がない。
受ける方も、ほぼノーダメージ。
サミングの心配がないわけでは無いけれど、10回以上喉輪を試したけれど、アティファ(当法)の稽古をしていれば、たぶんサミングはしないのでは?と思った。
広背筋を効かせ、上腕のトルクをかける。
脇をねじり締め、肘窩を上に向ける。
そうすれば、人差し指から小指は外を向くから、目には直接向かわない。
親指は目の方を向いているといえば向いているけど、照準がよほど狂わなければ、目にはいかないのでは?と思う。
なので、素手での組手でも、ある程度のスピードで攻撃することが出来る。
素手での組手稽古では、喉輪はかなり効果的かつ必須な技術だと実感した。
このブログを書いている時、ちょうど無想会沖縄同好会のYouTubeチャンネルが更新され、内容が非常にタイムリーだったので、【素手の打撃の正しい防御法】について詳しく知りたい方は、ぜひ動画をチェックしてほしい。
予想以上の収穫を得たが、それ以上に大きな課題を突き付けられる出来事があった。
素手のノールールの後、拳サポや脛サポなどをつけて、ライトコンタクトルールでのスパーリングが行われた。
そこで僕は、ある方と手合わせをした。
現役自衛官の、長身サウスポー。
前手のジャブが、とても上手。
それが嫌で、懐に入った瞬間…
気づいた時には、床に倒れていた。
右の脇腹に、大きな衝撃。
左の膝蹴りが、レバーに突き刺さった。
息が出来ず、一旦その場を離れた。
ダウンしたのはいつぶりだろう?
一緒に、心も折れてしまった。
その後、和気あいあいとした雰囲気の中、MMAルール、短刀で攻撃された場合、どこかを負傷したケースの場合、などを、試合形式で行う時間も設けられたが、残念ながら参加することは叶わなかった。
とても悔しかった。
高ぶりかけた心が、砕かれた。
でも、果敢に挑戦した自分をほめよう。
この場に参加できたことに感謝しよう。
後日、菊野さんにメッセージをした。
スパーリングの時間が気になったから。
「なぜ20秒で回すのですか?」
「相手との一合(いちごう)を大切にする稽古です。実戦を想定したら、20秒でも長いくらいです。」
菊野さんは、そう答えてくださった。
菊野さんの人徳で、多くの方が集まった。
縁あって参加できたこと、深謝。
帰宅して、色々と話す僕に、妻が一言。
「ってことは、収穫ばっかりだね!」
そう、収穫だらけなのだ。
自信と傷心、そして成長。
一日一歩、一ミリずつ、コツコツ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。