去年(2018)の学会での発表ですが、いま研究室の学生と共に、
ディープラーニング(人工知能、ニューラルネットワークの一手法)を使って、
ヴァイオリンの音色の識別を試みています。
先に、結論を述べると。
仕組みはそんなに難しくない、けど、大量の音データを集めるのが大変!
やはりな・・・という感じですね。
開放弦では学習データとテストデータが同じ楽器のであれば、いま開発したプログラムで
95%くらいの識別ができました!
基本的なプログラムの動作確認ができたということです。
音データとしては、短い0.03秒ほどの音波における、この図のようなスペクトル包絡を使いました。
ざっと説明すると、
あるストラディヴァリ「S1」の「A線」というラベルを付けてあげて
ほかのヴァイオリン製作者のファニオラ、ロッカ、ガリンベルティ、トノーニ・・・・等々、
同じようにヴァイオリン×弦でラベリングをして学習させます。
その学習したネットワークに、
トノーニ(T1)のE線の音データを与えると、
「これはT1のE線」
と95%の確率で当てられるわけです。
まあ、開放弦はやや周期的な波形なので精度は、このくらい出てもおかしくはないというか、出てほしいところ。
でも、別のトノーニのヴァイオリンを持ってこられると、当てられません。
というのは、「トノーニ」という楽器製作者の作った「たくさんの」ヴァイオリンの音を
学習させないとトノーニさんの楽器かどうかの音色の個性を語れないわけです。
ストラディヴァリのヴァイオリンかどうかの「鑑定」をするには、
たくさんのストラドの音データを集めなければなのです。
これは大変な作業です。
まずストラドの音を取らしてもらえるかどうか・・・協力していただける方(所有者、楽器店、財団etc)が欲しいですね!
人工知能をつかった音色識別の詳しい手法については、
学会で発表していますのでこちらの論文をご覧ください。
http://www.cello-maker.com/research/pdf/deeplearning-violin-otogakusinpo.pdf
学会
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音楽と楽器の研究:
https://yokoyama-music-research.jimdofree.com/
筆者(横山真男)のHP(楽譜のダウンロードもできる作品リスト)
https://www.cello-maker.com/research/music/japanesemusic-score.html