一読者の感想。日経さん。あんたはそんなに偉いんか?
新聞の見出しに「暗躍するトランプ氏」とあった。たしかに記事本文には暗躍や「介入の意向」「牽制の声」といった冷静な記述も見られる。だが、見出しの一言に私は足を止めた。
「暗躍」という語には、裏で悪だくみをするという強いニュアンスがある。読者に「この人物は信頼できない」という印象を先に植え付ける。報道機関が客観を装いながら、さりげなく色をつけてくる。ここに私は「鼻につく」ものを感じる。
日経の読者層は、事実と数字をもとに自分で考えたい人々だろう。にもかかわらず、わざわざ感情的な語を添えて「どう受け取るべきか」を誘導する。それはまるで「お前らは自分で判断できまい、だからこう導いてやる」と言わんばかりの態度に見えてしまう。
そんなとき、胸の奥で自然に声が湧き上がる。
「あんたはそんなに偉いんか」。
報道とは、導くことではなく、材料を提示することではなかったか。言葉の一滴に込められた傲慢さは、記事そのものの信頼を損なう。結局のところ、トランプ氏よりも、記事を書いた側の姿勢にこそ眉をひそめたのである。
