アラスカで行われたトランプとプーチンの会談。

「タフな結果」という見方が広がる中で、私はむしろトランプだからこそ可能な外交スタイルが垣間見えたと感じる。

日本の識者やメディアは相変わらず彼を「道化」として扱い、わけ知り顔でニヤニヤ語る。

だが歴史に学べば、強硬派・異端児だからこそ成し遂げられる外交がある。

ニクソンが中国訪問で冷戦構造を揺さぶったように、トランプもまた「中国封じ込め」の戦略を念頭に、ロシアとの関係を動かしているのだろう。

「語り得ない中国対応」

表に出せない交渉の根源には、あまりに危険で言葉にできない「中国対応」がある。

外交の歴史を振り返れば、キューバ危機でも公にならなかった密約(トルコの米ミサイル撤去)が存在し、三十年後にようやく明らかになった。

今回の会談にも、同じ二重構造が潜んでいるかもしれない。

一対一中止と「ビースト同乗」

注目すべきは、予定されていた一対一会談が急に中止され、その代わりにプーチンが米大統領専用車「ビースト」に同乗したことだ。

外国首脳がビーストに乗り込むのは極めて異例。しかも移動は20分あまり。

厚い装甲に守られ、盗聴も遮断されるその車内こそ、通訳を外した「真の密談」の場となり得た。

プーチンの英語

プーチンは公の場では必ずロシア語を通訳を通して話す。

しかし彼は元KGB要員であり、英語訓練は必須だった。

報道によれば、この日も短いフレーズを英語で口にしたという。

「China, problem」「NATO, limit」──それだけで十分、相手に意図は伝わる。

トランプが「Of course, just you and me」と応じた光景を想像するのは、決して荒唐無稽ではない。

歴史の闇に沈むもの

外交の核心は、しばしば「語られない部分」に宿る。

それは表舞台の声明ではなく、密室の沈黙と断片的な言葉の交換の中にある。

今回のトランプ–プーチン会談も、未来の歴史家が公文書公開の中でようやく解き明かすことになるのだろう。