カバのアンガスは同じ年のジェニファーに恋をしていました。しかしジェニファーの周りにはいつもオスが集まり、アンガスには付け入る隙がありません。
ある日、アンガスが川岸で日向ぼっこをしていると、ジェニファーが川から上がってきました。どうやら食後のお昼寝の時間らしく、今にも眠たそうな、とろんとした目でジェニファーはアンガスを見つけました。
アンガスは絶好のチャンスだと思い、ジェニファーに思いの丈を伝えました。
「ジェニファー、実は僕は以前から君のことが気になっているんだ。付き合ってくれないか?」
ジェニファーは気持ちを伝えてくれたことは嬉しかったが、付き合う気などありませんでした。
「ごめんなさいアンガス。残念だけどあなたとは付き合えないわ。」
断りの言葉を伝え、ジェニファーは早く寝ようとしましたが、アンガスは食い下がりません。
「ジェニファーなんでダメなんだ。僕のどこがいけない?」
アンガスは迫りました。一方ジェニファーはとにかくもう眠りたかったので、適当に言い訳を作りました。
「だってあなたは口髭がないじゃない。立派な男は口髭を生やすのが普通よ。」
ジェニファーはそう言うと、さっさと横になり眠りに入ろうとしました。
一方アンガスは自分には口髭を持つ必要があると知り、大慌てで川に入り、水草でつけ髭を口の周りにつけました。
さあアンガスは戻る川岸に戻ると、ジェニファーを起こして伝えました。
「ジェニファー見てくれ、この立派な口髭を。深緑の、奥行きのある男に見えるだろ?」
いよいよ眠れると思ったジェニファーは、寝入り際を起こされ、イライラしました。そして次こそは眠ろうとして伝えました。
「アンガス、たしかにあなたには立派な口髭が生えていたのね。でもその真っ白な足はあまりかっこよくはないわね。立派な男は足が黒いのよ。」
ジェニファーはそう言うと体をひるがえし、寝る体勢になりました。
アンガスはこれまた大慌てで川辺に行き、泥で足を汚し、黒い足を作りました。
そして急いで川岸に戻り、ジェニファーを起こして言いました。
「ジェニファー見てくれ、この真っ黒な足を。この足こそがさまざまな大地を踏んできた勇敢な足だ。」
ジェニファーはまた睡眠が邪魔され、大変イライラしました。もうこれ以上起こされたくない彼女は、今度は簡単にはできないお題を出すことにしました。
「アンガス、確かあなたの足は黒くて立派だわ。でもどうやらあなたは狩りが下手のようね。立派な男は魚100匹捕まえるのだって朝飯前よ。」
ジェニファーはアンガスが魚を捕るのが下手なのを知っていました。これでようやく寝られる、ジェニファーは安心して寝る体勢になりました。
一方アンガスは今度はどうすればよいかわかりません。自分で100匹魚を捕まえるなんて到底無理だし、手伝ってくれる仲間もいません。
アンガスは何もできないとわかると急に悲しくなって泣き出しました。アンガスの目から流れ落ちた雫は下に大きな水たまりを作るほどでした。
そこに偶然、川登りをしていたサケの群れが通りかかりました。サケはアンガスが悲しんでいる理由を聞くと、「俺たちに任せろ」といい、先程アンガスが作った水たまりに進んで飛び入りました。
アンガスはそんなサケに大喜び。急いでジェニファーを起こして水たまりで泳いでいるサケを見せました。
ジェニファーはもう眠れずクタクタになっていたのでお題を出す気力もありません。しぶしぶジェニファーはアンガスを恋人と認め、ようやく眠ることができました。
アンガスは大喜び、ついにジェニファーを恋人とすることができました。
それから数時間後、ジェニファーが目を覚ますと、口にダラしなく水草をつけたアンガスが目の前でジェニファーからのキスを待っていました。
ジェニファーは驚き、アンガスに何をしているか尋ねました。
「何って、キスだよ。恋人はいつもキスをするって相場が決まってるんだ。」
ジェニファーはそう言ったアンガスに驚き、思わずビンタをしました。アンガスはまったく恋愛というものを知らなかったのです。
アンガスのそんな態度に怒ったジェニファーはそれ以降二度とアンガスと口を聞くことはありませんでした。
一方アンガスはそんなジェニファーの態度が何を意味するかわからず、ずっと2人は恋人だと思っていました。
