山田悟は工場勤めの26才。妻子を養うため今日も汗水垂らして働く。彼は高校まで暴走族として遊びまわり、よく警察のお世話になっていた。

 

そんな彼も高校を卒業して以降バイクから離れ、真っ当な人間になろうしてと生きている。

 

しかし彼に突然悲劇が襲う。一人娘が交通事故で亡くなってしまったのだ。しかも事故を起こしたのは昼間っからバイクを飛ばしていた暴走族だ。彼は悲しみにくれ、何もする気力が湧かなかった。当然仕事も休み、ご飯すらロクに食べれない状況だった。

 

そんな彼を見かねて奥さんは昔悟が着ていた特攻服を物置から出してきた。

 

「あんた、それでも暴走族だったの?暴走族なら潔く、体使ってケリつけるもんでしょ。ない頭使って無理やり納得しようとしてんじゃないよ!」

 

その通りだった。彼は立ち上がり事故を起こした相手に果たし状を出した。幸い相手は同じ暴走族ということで、警察に届け出ることもなく、悟の申し出を快諾した。

 

それから1週間後、ついに決闘の日が来た。オーディエンスは超満員。元々悟は地域で一番大きな族に入っていたため、昔の仲間を呼ぶと、100を超える元ヤンが集まってくれた。一方相手側も仲間を呼んだらしく50人はいよう、若手の、いかにもチンピラという風貌をした若者が集まっていた。

 

決闘は一対一の真剣勝負。両者はオーディエンスで囲まれた円の中で、刻一刻とその時を待った。

 

カーン!

 

ついにゴングが鳴った。両者はジャブを打ちながら距離を詰め、相手がまずはじめにストレートを放って来た。悟はそれを鮮やかにかわせ、なかった。そもそも喧嘩は8年ぶり。鈍りに鈍った体は様子見で放たれたストレートすらかわすことができなかった。悟は崩れ落ちた。

 

仲間ももう少しアツくなったらいざ知らず、こんなあっさり負けた悟のために大乱闘を起こすモチベーションすら湧かなかった。悟はそのまま意識を失い、目を覚したのは3日後、病院のベットの上だった。

 

体を起こそうとすると、全身に痛みが走り、身動きが取れなかった。そこに奥さんがトイレから帰って来た。

 

「あんた、本当に情けないわね」

 

「情けない。これでも俺は元暴走族か?」

 

不甲斐なく悟は憤った。

 

「くそ!次は思いっきりぶっ倒してやる!」悟の目に闘志が宿った。