子宮頸がん 若い世代に無料クーポン券配布 100%予防可能、検診受けて

2009627日(土) 産経新聞

検診でほぼ100%予防できる子宮頸がん


米国では検診受診率が80%を超え発症や死亡が減っているが、日本では24%にとどまり、年間2500人が亡くなっている。


特に若い世代の受診率が低く、厚生労働省は受診率アップを目指し、対象年齢の女性に検診の無料クーポン券を配布する。


専門医は「検診が自分の命を守るのに有効なことを知ってほしい」と呼びかけている。(平沢裕子)


◆検診で必ず発見

子宮頸がんは子宮の入り口(頸部)にできるがんで、性交渉によってHPV(ヒト・パピローマウイルス)に感染することが原因で起こる。


HPVはありふれたウイルスで性交渉があれば誰でも感染の可能性がある。


感染しても多くの人は自分の免疫力でウイルスを排除できるが、約1割がウイルスを排除できずに感染が持続し、さらにその中からがんに進行する人がいる。


ただ、感染からがんに進行するまでには5~10年以上かかり、がんになる前に細胞が変形する「異形成」という状態になるため、定期的な検診でがんになる前に必ず発見・治療できる

 以下略


「医療訴訟のとんでも判決が減少したように思う」のエントリで、子宮頸癌見落とし訴訟のことを書きましたが、この報道にはおかしな部分があります。

まず、子宮頸癌の診断について簡単に説明します。

子宮頸癌の好発部位

子宮頸癌の好発部位は、子宮頸部の扁平上皮と円柱上皮の接合部である扁平円柱上皮境界(SCJ)に存在する予備細胞とされています。

子宮頸癌の診断

悪性腫瘍の確定診断は組織学的に行いますが、組織の的確な採取部位を決めあるいは臨床進行期を決めるためにも、注意深い視診や触診が必要です。

() 細胞診

綿棒あるいは木製のヘラのようなもので子宮内壁をこすって分泌物(細胞)をとり、それをガラス板の上で乾燥、固定させた後、専門スタッフが色素で染めて(パパニコロウ染色)、1枚1枚顕微鏡で覗いて細胞の状態を調べる方法です。

細胞診の判定法には、パパニコロウのクラス分類が用いられるのが一般的です。

この分類法は、細胞異型の程度によってクラスⅠからⅤまでの5段階の評価を行うもので、クラスⅠでは正常、クラスⅡでは異常細胞を認めるが良好、クラスⅢaでは悪性を少し疑い、軽度、中等度異形成上皮を想定する、クラスⅢbでは悪性をかなり疑い、高度異形成上皮を想定する、クラスⅣでは悪性を極めて強く疑い、上皮内癌を想定する、クラスⅤでは悪性と断定し、浸潤癌(微小浸潤癌を含む。)を想定することとされている

() コルポスコピー

コルポスコープという双眼鏡に似た拡大鏡を用いて子宮の入口部分を5ないし40倍に拡大し、血管や粘膜に癌の徴候を示す病変がないかどうかを観察するものです。

正常所見はNCF、不適例(扁平円柱上皮境界が見えないもの)はUCFと記録します。

() 組織診

① 狙い生検

コルポスコピー観察下に子宮頸部の異常所見のある部位から組織を切除して、顕微鏡下で精密に検査するものです。

② 頸管内掻爬(頸管掻爬)

子宮頸管を金属棒等の器具で拡張し、頸管にキュレットと呼ばれるスプーン状の器具を入れて、子宮内膜や頸管内の組織を削り取り、これを組織標本とする検査です。

③ 円錐切除術

円錐状に子宮頸部を切除して組織標本とし、切除した標本の連続切片を作製して浸潤の状態を判定するものです。

>検診でほぼ100%予防できる子宮頸がん

検診で子宮頸癌の予防はできません。

クラスⅢaと判定された場合、コルポスコピーで確認し、組織診が行われます。

その結果、軽度異型性であれば、定期的に経過観察します。

高度異型性であれば、頚管内掻爬又は円錐切除が行われます。

これらは、検査であって、治療ではありません。

検診は、あくまでも細胞の検査に過ぎません。異型性が発見されても癌に移行させないようにする方法はありません。予防はできないのです。

>定期的な検診でがんになる前に必ず発見・治療できる

円錐切除で高度異型性が取りきれれば治療できることになるのかな?

子宮頸癌予防ワクチンが承認されれば、ある程度予防ができますが・・・・どんな取材をしてきたのかちら?