国は、各省庁が協力して救急医療崩壊を促進する


総務省、搬送先リスト策定義務化 急患受け入れを分散

 医療機関による救急搬送患者の受け入れ拒否問題の改善に向け、総務省消防庁は5日開かれた有識者検討会で、患者の容体に応じた搬送先の医療機関リストなどを盛り込んだ「搬送・受け入れ基準」の策定を都道府県に義務付ける方針を示し、了承された。

 9日の消防審議会答申を経て、消防法改正案に盛り込み、今国会への提出を目指す。改正法が成立すれば年内にも施行、2009年度中に各都道府県に基準策定を促す。

 搬送先リストをあらかじめ定めておくことで、救急隊員が円滑に搬送先を選定できるほか、救命救急センターなど一部医療機関への急患の集中を分散させ、「たらい回し」の発生を抑制する。

また遅延傾向が続く搬送時間の短縮にもつなげる。

 搬送先リストには、例えば

(1)心肺停止状態なら救命救急センター

(2)重症の脳疾患はA病院

(3)軽症の心疾患はB病院-など

症状の種類と程度に応じた具体的な医療機関名を載せる。

山陽新聞(252030分)


救急搬送拒否対策を検討 総務省消防庁の作業部会発足

産経ニュース12.13

 医療機関による救急搬送の受け入れ拒否が問題となっていることから、総務省消防庁は13日、医療機関との連携強化や再発防止策を検討するための作業部会を設置し、初会合を開いた。来年3月までに報告書をまとめ、全国の消防本部や厚生労働省に改善策を申し入れる方針。

 今年8月、奈良県の妊婦が搬送先が見つからず死産となるなどの妊婦の救急搬送の受け入れ拒否が各地で相次ぎ、消防庁などが実施した調査では平成18年に3回以上、医療機関から受け入れを断られたケースは全国で667件に上ることも判明した。

 こうした実態を受け、同庁が既に設置している「救急業務高度化推進検討会」内に作業部会を設置。東京都、宮城県などの消防関係者や有識者ら9人で構成される。

 作業部会では、病院側が空きベッドの状況などを消防本部に提供する「救急医療情報システム」の適切な活用方法のほか、救急隊員が患者の病状を的確に把握する手法や医療機関への受け入れの照会方法なども提言する。




どのようなメンバーの検討会かと思えば、消防関係者や有識者9人なので、救急医療に携わる医師は、メンバーにいないようです。

どの新聞もほぼ同じ内容の記事であることを見ると、消防庁からのアナウンスであると思われます。しかし、消防庁が「たらい回し」という表現を使うとは、何をかいわんや・・・ですorz

救急医療については、各都道府県が策定している、地域保健医療計画で、地域の特性ごとに2次医療圏が設定されており、1次から3次救急を担う医療機関が指定(3次救急がない2次医療圏もあります。)されています。

受け入れができない病院がなぜあるのかについて、この検討会では何も審議されていないものと思います。

たとえ、記事の例のように搬送リストを作成しても、現実に受け入れ不能の状態が解消されるわけではありません。

重症の脳疾患を例にとると、脳梗塞⇒神経内科  脳出血⇒脳血管外科になりますが、両方の科の医師が常駐している病院は、少ないと思われます。どちらも対応できる病院は、やはり、救命救急センターを開設している病院に限られます。

例えば、そこの病院で、脳神経外科医が緊急手術中であっても搬送されるということであれば、搬送された患者は、見殺しです。

どこの病院でも、救急部門は赤字なのです。

これを解消し、医師の過酷な勤務条件を改善するとともに、ドクターフィーにかかる部分が直接医師の収入になるようなシステムを構築することが、最優先です。

マスコミの「たらい回し」、「受け入れ拒否」報道と、厚労省の医療費削減、今回総務省が法改正する受け入れ義務化で、ますます救急医療は崩壊します。

奈良県の野良妊婦が死産であったのは、搬送先が見つからなかったわけではありません。子宮内胎児死亡であったのです。2次医療圏にお産を取り扱う医療機関が絶滅したところもあります。

厚生労働省も総務省も救急医療崩壊に拍車をかける施策を次々と出してくるのです。

周産期医療・・・・既に崩壊

救急医療・・・・・崩壊寸前(ところにより崩壊済み)

小児救急・・・・・崩壊進行中(ところにより崩壊済み)

外科系・・・・・・医師数減少中、崩壊の兆し

内科系・・・・・・新型インフルエンザのパンデミックで崩壊予定