7年前、僕は一大決心をして、

神戸に向かっていた。

6月22日だった。

アパートを借りて、

神戸でひとり暮らすことを選んだ。

結局、1年持たず、

次の年の3月には、

夢破れて松本へ戻った。

 

これまで生きてきて、

一生、

忘れることはないだろうという日が

何日かあって、

この神戸に向かった6月22日も

そのひとつ(1日)だ。

 

6月にはもう1日あって、

それは6月13日。

大好きだったプロレスラー

三沢光晴さんが、

リング上の事故で亡くなった日だ。

この時は、大好きな彼女と

一緒に居たから、

それも相まって、

忘れることができない。

 

6月、いつものように

プロレスを見ていたら、

プロレスリング・ノア

「潮崎豪デビュー20周年記念大会」

の試合終わりに、突然、

スパルタンXのテーマが流れた。

三沢さんの入場曲だ。

ライブで見ていたので、

うれしい驚きとともに、目頭が熱くなった。

会場にいた人たちの中には、

涙を流していた方もいた。

 

スカイ・ハイが、

映画ではなくマスカラスの曲に

なっているのと同じように、

今やスパルタンXの曲は、

三沢さんの曲と言っても

言い過ぎではないだろう。

 

 

忘れかけていたが、

三沢さんの最後の試合、

タッグパートナーは、潮崎豪だった。

 

もう1試合、

小橋建太プロディース

フォーチュン・ドリーム9でも

試合終わりに、スパルタンXが

流れていた。

三沢と対決するときは、

遺書を用意していたと言う小橋。

まさに命を懸けた戦いをしてきた

2人だった。

 

さて、6月とは関係ないけれど、

僕にとって

忘れることができない日は、

他の月にもある。

例えば、14年間勤務した

町役場を突然、辞めた3月31日。

 

消防の夜警を終えて、

朝方、実家で寝ていたら、

台所で母親がすすり泣いている。

夢かな?と思ったら、夢では無かった。

仕事でだまされて、

家まで失うと分かった、12月29日。

 

そして、

もっとも忘れることができないのが、

ある月のある日だ。

辛くて悲しくて、悔しくて、

僕が終わったあの日。

一生分、泣いた。

 

振り返ってみると、

忘れることができない日は、

みんな良くない日。

悲しみに暮れた日々だ。

そんなものなのかな。

 

この前も、記憶力がいい、

なんて言われたばかりだけど、

忘れたいことばかりなんだ。