手紙を読み終わったナスは、それを引き出しにしまって俯く。その胸中は複雑であった。
何も知らずにいた自分。兄であるクラに何もしてやれないこと。手紙にあった学生生活を楽しむ、ということが真に彼の望みであったとしても、さりとて文面通りに楽しむことができる心境になれる筈もなかった。
(確かに、今はなにもできないかもしれない。でも、それはあくまで「今は」だ)
ナスは顔を上げる。
(私が力を、この状況を打破する力を身に付ければいいだけの話だ。そのためにも学校に通い続け、私なりにEVPの原因を調べてみよう。何かできる事が見つかるかも知れない)
いつのまにか頬を伝って流れかけていた涙を慌てて拭うと、ナスは愛用のハーモニカと、ベル状の打楽器であるクラリネットを磨き始める。EVP以降校内のあちこちで起こる異変に対応するために、武器となる楽器-ミューラ-やその他の武具はいまや学生たちにはなくてはならない存在となっている。
各学年の武具について書かれた参考書を開き、その特性、力の引き出し方について記された解説に目を通していく。EVPという巨大な現象に流され、ただなんとなく過ごしていた今まで。しかし、これからは違う。
(なるようにしかならない、と考えるのはもうやめだ。私が、この流れを変えるんだ)
ふと、机の上に目をやると、そこには数枚の写真。ナス自身を含め、大勢の生徒が一緒になってダンスをしている様子が写っている。学校生活を一緒に送っている、頼りになる仲間たち。
(一人でできないことでも、あるいは仲間と力を合わせることができれば・・・)
ナスの脳裏には仲間たち、そして、新たに仲間と呼ぶことのできそうな少女の顔が思い浮かぶ。
(明日、あの娘をみんなに紹介して、全ては明日、あした・・・)
まどろみの中でそんなことを考えながら、彼は眠りに落ちていく。
(つづく)
何も知らずにいた自分。兄であるクラに何もしてやれないこと。手紙にあった学生生活を楽しむ、ということが真に彼の望みであったとしても、さりとて文面通りに楽しむことができる心境になれる筈もなかった。
(確かに、今はなにもできないかもしれない。でも、それはあくまで「今は」だ)
ナスは顔を上げる。
(私が力を、この状況を打破する力を身に付ければいいだけの話だ。そのためにも学校に通い続け、私なりにEVPの原因を調べてみよう。何かできる事が見つかるかも知れない)
いつのまにか頬を伝って流れかけていた涙を慌てて拭うと、ナスは愛用のハーモニカと、ベル状の打楽器であるクラリネットを磨き始める。EVP以降校内のあちこちで起こる異変に対応するために、武器となる楽器-ミューラ-やその他の武具はいまや学生たちにはなくてはならない存在となっている。
各学年の武具について書かれた参考書を開き、その特性、力の引き出し方について記された解説に目を通していく。EVPという巨大な現象に流され、ただなんとなく過ごしていた今まで。しかし、これからは違う。
(なるようにしかならない、と考えるのはもうやめだ。私が、この流れを変えるんだ)
ふと、机の上に目をやると、そこには数枚の写真。ナス自身を含め、大勢の生徒が一緒になってダンスをしている様子が写っている。学校生活を一緒に送っている、頼りになる仲間たち。
(一人でできないことでも、あるいは仲間と力を合わせることができれば・・・)
ナスの脳裏には仲間たち、そして、新たに仲間と呼ぶことのできそうな少女の顔が思い浮かぶ。
(明日、あの娘をみんなに紹介して、全ては明日、あした・・・)
まどろみの中でそんなことを考えながら、彼は眠りに落ちていく。
(つづく)