
(数日後)
薄暗い部屋の中央には、奇妙な装置がある。最先端技術の粋を凝らしたと思われる機械類のあちこちに、古ぼけた工芸品のようなオブジェ-アンティーク-が埋め込まれている。あちこちに透明のチューブのようなものが這い、蛍光色に光る液体が流れているのが見える。装置の傍らには一人の若い女性が立ち、計器類をチェックしているようだ。彼女自身も、様々な装置やチューブのついた風変わりな服を身に着けている。
そこに、グレイとモカ、やや遅れてメフィが入ってくる。メフィは、物珍しそうにキョロキョロと周囲を見回している。
グレイ「クリス、準備は出来ましたか?」
クリス「・・・・あ・・・グレイ・・・所長・・・順調です・・・」
グレイ「メフィ、こちらはクリスティーン。時空移動の、いわば案内人です」
クリス「・・・よろしく・・・」
メフィ「あ、は、はいっ、よろしくお願いします!」
装置に見とれていたメフィは、慌てて視線を紹介された女性に戻す。彼女の方はメフィの慌てた様子にはあまり関心がないといった様子で、装置の操作を始める。ほどなくして、プシュッというエア・コンプレッサーの音とともに、装置の一部が-人が通れるほどの広さに-開いた。
クリス「・・・さあ、わたしについてきて・・・」
メフィ「えっ、も、もう行くんですか!?」
グレイ「クリスが、装置の準備ができていると判断したなら、それが正しいのでしょう。それに、装置の安定している時間は短いのです。移動後の注意などは昨日までに伝えたとおりです。・・・気をつけて」
モカ「私からは、これを」
メフィ「当時のエスティバーの制服ですね?ありがとうございます!」
クリス「・・・急ぎましょう・・・」
メフィ「は、はいっ、で、では、いってきます!」
グレイとモカの二人に見送られながら、クリスティーンとメフィの二人は装置の中に消えていく。
一方、装置の中は、細長い通路が続き、二人は数分間歩き続けている。明らかに既に先ほどの部屋の中ではないことを、メフィは感じていた。前方には学校の教室のような空間に、整然と並んだ机と椅子。さらに先は、空間自体が陽炎のように揺らいでいるのが見える。
クリス「・・・今日は、大人しいのね・・・」
メフィ「え!?何が大人しいんですか?」
クリス「・・・いすとつくえ・・・」
メフィ「!?(椅子と机?普段は暴れてたりするのかなっ!?)」
クリス「・・・この先は、あなただけでいくのよ・・・」
空間が揺らいでいる境界付近まで来て、二人は分かれる。
メフィ「どうもありがとうございました。クリスティーンさん」
クリス「・・・また・・・会えるわ・・・」
クリスティーンは踵を返して元来た道を、メフィは空間の揺らぎの向こうに足を踏み出す。
(つづく)