筒井康隆の原作「パプリカ」は夢の中に入り患者の精神を治療する少女のコードネーム。治療に使う機械「DCミニ」が奪われたことから現実と夢とが混じり合う世界のお話。

 

 

 

映画のテーマは「夢と現」が混ざり合いやがて「生と死」「嘘と真」「男と女」「美女と野獣」など様々な二元論が混じり合う。夢と現が
混ざり合う世界の表現は日本アニメならではのクオリティ。喝采。
 
今回のテーマはここから。物語の最後に、夢や想像の世界を「意識」で操るパプリカが突如、今敏の映画「夢見る子供たち」を紹介して終わる。一件なんの脈略もないのだが違和感がないのは、映画「パプリカ」のもう一つのストーリーラインになっている粉川警部がいるからだ。この警部は「映画をつくる若い頃の夢」を諦めたトラウマを抱えていてパプリカに治療してもらった経緯がある。映画嫌いのふりをしなくて良くなった患者に、主治医がこの映画良かったから見てね。とオススメするのが「夢見る子供たち」なのだ。
 
この映画「夢見る子供たち」は実際の世界でも今敏監督が「夢見る機械」とタイトルをかえて製作中に残念ながら監督は亡くなっている。
 
遺作「夢見る機械」は制作費用不足を理由に進んでないんだけど、作れない理由がストーリー。「電力を独占して世界を思いのままに操ろうとする軍隊から、津波で楽園を失った主人公の少年ロボットが世界を取り戻す為の冒険に出る。」このストーリーは311以降の日本ではなかなか発表しづらい。ただし、今敏監督は2010年8月に旅立たれている。
 
そして「夢見る機械」は「夢見る子供たち」に戻ってみる。パプリカのラストシーンは「PERFECT BLUE」「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」とパンして最後に「夢見る子供たち」で終わる。
 
人間の意識は二元も時空も超える。人の創造力は素晴らしい。敬礼。
 
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