2021.3.24  一日一季語 花見(はなみ)  【春―生活―仲春】

 

お花見や揃へて脱ぎし子供靴  高橋ひろ

 

屋外で、レジャーシートを広げ、楽しむ家族の姿を想像できます。乱暴に脱ぎ捨てているのが当たり前の子供の靴。キチンと揃えてあるのは、この一家の几帳面さ、躾の良さなのかもしれない。

江戸時代から花見には花見弁当が欠かせないものとしてあり、日本酒も持ち運べる構造の段重ねの重箱などが使われたそうです。

「花より団子」という諺の元にも成っている、花見団子。花見の供として江戸時代から定番となっており、桜色(薄い赤色)・白色・緑色などの色で華やかな色彩を付ける。この3色の組み合わせが一般的だそうです。サクラ色はサクラを表して春の息吹を、白は雪で冬の名残を、緑はヨモギで夏への予兆を表現しているそうです。

 

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*2019年 4月 板橋区赤塚公園にて 

 

【傍題季語】

観桜(かんおう《くわんあう》) 桜狩(さくらがり) 花の宴(はなのえん) 花筵(はなむしろ) 花見酒(はなみざけ) 花見客(はなみきゃく《はなみきやく》) 花見人(はなみびと) 花人(はなびと) 花見舟(はなみぶね)

 

*2021.3.22  上野にて

 

【季語の説明】

桜の花を観賞し、楽しむこと。花見(はなみ)は、春の訪れを寿ぐ日本古来の風習である。日本の花見は奈良時代の貴族の行事が起源だといわれる。奈良時代には中国から伝来したばかりの梅が鑑賞されていたが、平安時代に桜に代わったおいうのが通説。花見の風習が広く庶民に広まっていったのは江戸時代といわれています。

桜の花は開花から散るまでの期間は2週間足らずであり、「花吹雪」となって散り行くその姿は、人の命の儚さになぞらえられたり、

桜狩は、桜の名所を訪ね歩き、その美を賞すること。

*2019年4月1日 目黒川にて

 

【例句】

花見酒肩巾で足るカウンター      きくちきみえ

城跡の折目正しき花見客          近藤幸光

妻の座をきちつと決めて花見茣蓙     布川直幸

石垣は野面積なり花見酒             中根健

糸尻で包丁を研ぎ花見茶屋           山田六甲

 

 

【豊臣秀吉】

醍醐の花見

京都醍醐寺に招き、絢爛豪華な花見を楽しみました。この日のために早くから醍醐寺の整備を進め、あらたに700本の桜を植樹したそうです。のちの時代に制作された『醍醐花見図屏風』には、満開の桜のもとで笑顔を見せる秀吉の姿が描かれています。

このとき、今に伝わる三色団子が初めて作られたという話があります。上から順に赤、白、緑の三色の団子が串に刺さった三色団子は、諸説あるものの、赤い桜と白い雪、緑の新緑で春のおとずれを表現しています。

*2021年3月22日  上野にて

 

【徳川吉宗】

江戸で最も名高かった花見の名所が忍岡(しのぶがおか)で、天海大僧正によって植えられた上野恩賜公園の桜なのだという。しかし格式の高い寛永寺で人々が浮かれ騒ぐことは許されていなかったため、1720年(享保5年)に徳川吉宗が浅草(墨田川堤)や飛鳥山にサクラを植えさせ、庶民の行楽を奨励したのだそうです。吉宗は生類憐れみの令以降途絶えていた鷹狩を復興させた際、鷹狩が農民の田畑を荒す事への対応策として、鷹狩の場にサクラの木を植えることで花見客が農民たちに収入をもたらす方策をとったとされています。

江戸の城下・近郊の花見の名所は上野寛永寺、飛鳥山、隅田川堤の他にも、御殿山 (品川区)、愛宕山、玉川上水などあったそうです。この時期の花見を題材にした落語としては、『長屋の花見』や『あたま山』、飛鳥山の花見を想定して作られた『花見の仇討(あだうち)』などがあります。

 

 

今日は何の日

檸檬忌

作家・梶井基次郎の1932(昭和7)年の命日。その作品は死後に評価を高めた。

代表作の『檸檬』から檸檬忌と呼ばれる。

 

牧野信一忌

大正・昭和期の小説家・牧野信一の1936(昭和11)年の忌日。

1935(昭和10)頃から神経衰弱に悩み、小田原の実家の納屋で首をつって自殺した。

 

マネキン記念日

1928(昭和3)年のこの日、上野公園で開かれた大礼記念国産振興東京博覧会で高島屋呉服店が日本初のマネキンガールを登場させた。

 

ホスピタリティ・デー

日本ホスピタリティ研究会(当時)が1994(平成6)年に制定。

 

数理学的に、3は新しいものを創り出すエネルギー・創造・自己表現等を、2は調和とバランス・思いやり・協力・理解力・人間関係を象徴し、4は全体をつくりあげる基礎を表わす数とされ、3・2・4はホスピタリティに関連性の高い要素が多く含まれていることから。

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

(575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)