朝顔(あさがお《あさがほ》)  【秋―植物―初秋】

牽牛花(けんぎゅうか《けんぎうくわ》) (あさがお《あさがほ》)

 

朝顔のみな空色に日向灘   川崎展宏

 

 

【季語の本意】

朝顔に釣瓶とられてもらひ水 千代女  この句で有名な朝顔。

熱帯アジア原産のヒルガオ科の一年生蔓草の花。千百年以上も前の奈良時代に遣唐使が中国から薬用として種子(牽牛子(けんごし))を持ち帰った。鎌倉時代以後、観賞用に栽培され、江戸時代に広く親しまれるようになった。牽牛花は漢名。日没してから約10時間後に 開花する(朝4時頃)。朝のうちが、花に勢いがある。

 

 

【薬草】

古代の中国では 朝顔は高価な薬で、牛と取引されたということで、漢名の「牽牛(けんぎゅう)」「牽牛子(けんごし)」の名前があるそうです。今でも漢方では種子を下剤や利尿剤に使うそうです。和名を阿佐加保と書き後に朝に咲く花である事から朝顔と言われるように成ります。

日本でも、奈良時代に到来した当時は、貴族が薬草として用いていました。そのうち花がきれいだということで観賞用として栽培されるようになり、平安、鎌倉を経て、室町以後、庶民の間に少しずつ広がっていったのです。

江戸時代になって、中上流階級では菊やつつじが人気がありましたが、アサガオはもっぱら庶民に愛されました。鉢植えや垣根で手軽に育てられることや、朝早く咲くという性質が、江戸庶民の早起きで勤勉な生活に合致したのでしょう。

 

【朝顔市と七夕】

伝来当初に、ケンゴシの花と言う事で別名を牽牛花(けんぎゅうか)とも言われています。牽牛花と言うのは、七夕の牽牛・淑女の、牽牛の花と書くので、朝顔市は七夕の前後の三日間、開催されるようになりました。

朝顔まつり(朝顔市)は毎年七月の六日から八日までの三日間開催します。この朝顔市と言いますのは、入谷鬼子母神を中心として、言問通りに百二十軒の朝顔業者と百軒の露店(縁日)が並び、毎年四十万人の人出で賑わいます。

なぜ入谷の朝顔がこんなに盛んになったのかと言いますと、入谷田圃の土が朝顔造りに適していたこともありますけれども、当時流行しました朝顔と言いますの は「変わり咲き」です。この「変わり咲き」と言いますのは朝顔の花が、桔梗の花のように咲いたり、牡丹の花のように咲いたり、二重に咲いたりして、花粉の 交配によって色々な花を咲かせる事ができたので、最盛期には一千種類もの朝顔があり、変化にとんだ花を咲かせ楽しませてくれてたのであります。(入谷朝顔まつり(朝顔市)公式ホームページ引用)

 

【花言葉】

朝に咲いて朝に散る短命な花として知られるあさがおの花言葉は「はかない恋」です。夏の暑さの中を健気にたくましく咲くイメージとぴったりですね。

また、ツルがしっかりと巻きつくことから「偉大なる友情」という花言葉もあるようです。

ツルが絡みつく姿から「貴方に私は絡みつく」という花言葉もあるようです。