no concept(無題) -2ページ目

嫌だから嫌だの理論

立川にまつわる私の記憶は一番古いもので
高校の受験時代にさかのぼる。トフルという塾へ高校の友人達と
ワイワイ通っていた。

学校帰り戦争孤児のように腹を空かせた私たちは
ある時はコンビニの肉まんを頬張り、
またある時はモスバーガーへ(ロッテかも)
たまに親父達に紛れてあじさいの立ち食い蕎麦を
食べ十分に栄養を付けてからでないと塾へ
行かなかった。

塾へは1年半ぐらい通っただろうか。

友人と密かに「ポパイ」と呼んでいた
受け口の先生が懐かしく思い出される。

その次の立川の記憶は立川勤務のピーチである。
去年の冬、彼女とたまに北口の
ドコモショップの前で踊っていた。

去年まで立川へたまに行っていたとは言っても、
改札を出るとすぐに北口へ向かっていて、
更にいつも決まって夜だったので立川の
変化には全く気がつかなかった。

今日久しぶりに昼間の立川へ行った。
昼間の立川はバラバラな人種がぱらぱらと
四方八方に散っており、てんでまとまりが
ないことは数年前から変わっていなかった。
駅前では未だに生息し続けるギャル夫とギャル
がケタケタと笑い声を立てており、その前を
携帯に向かって必死に何かせわしなく言い立て
ているサラリーマンが通る。

ゲートを進み懐かしい南口を出ると
陸橋が以前よりウェブ状に伸びており、
そこに見知らぬビルが沿うように建っていた。

陸橋から諸行無常の風を受けていると
キャッチが声をかけてきて慌てて
「いそいでるんで」とすっかり板についた
台詞を素早く述べた
気を抜けない街だ。

陸橋に寄り添うようにニョキニョキと建つ
ビルを見ていると、一体どこまで続けて
いくのかと途方に暮れる。

新しいビルはパチンコやスロットが多い。

嫌だ。

「いやだからいやだ。」

これは内田百けんがなにかの委員になる名誉を
与えられたときに言った断りの文句だ。

「駄目だから駄目」

これは、藤原正彦が「なんで人を殺してはいけないの?」
という一時よく議論のネタになった疑問に対して
世の中の全てが論理で解決できるわけではない、
と「国家の品格」で述べた理論により導かれた
答えである。

私は立川にそこまで郷愁を覚えることはないが、
こうやって世の中の事象が電光石火の勢いで
先へ先へと変わって行くのを哀しく感じる。

なんかよくわからないけど嫌なんだよね。

私は今日立川でちょっとそう思った。

藤原 正彦
国家の品格
内田 百けん
百鬼園随筆