私がリーダーをやっているプログレメタルバンド Papilio Effectus(パピリオ・エフェクトゥス)のセカンドアルバム "Metamorphosis" が9/21にリリースされました。少し早いですが作曲者としての曲振り返りをしたいと思います。

ちなみにバンドの全員でアルバム制作をワイワイと振り返った動画も作りました。
そちらは、10/1のレコ発ライブの予約特典となっていますので、チケットを予約して是非ご覧ください。
配信購入でも観られるのでそちらも是非ご検討を。

【その後追記:2024年某日】
2年近く経ったので、↑の動画を再度アップしてこちらからだけ観られるようにしました。

(動画は鬼のように長いので時間あるときの暇つぶしにでも観てやってください)

 

ライブ情報
https://www.papilio-effectus.info/live/




1枚目のフルアルバム(2016年)から6年ぶり、2枚目のミニアルバム(2019年)から3年ぶりの3枚目のフルアルバムとなります。
この投稿の最後に配信の情報とかをまとめて記載してますので、途中長いな思ったら1番下までスクロールしちゃって構いませんw

 

ざっとアルバム感じを聴きたい方は、試聴トレイラーを貼っておきますので是非見てみてください!

 

 

 

  バンドについて


バンド自体を知らない方も多いと思いますので簡単に紹介を。
ジャンル的にはProgressive Heavy Metal (プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル)に含まれるバンドです。通称プログレメタル(またはプログメタル)というジャンルで、Dream TheaterやSymphony Xなどが代表的(主観)なバンドだと思います。

個人的には、過去にやっていたTIANANOGUE(ティアナノーグ)というバンドがプログレハードというジャンルで、当時ガチのプログレバンドの方達とライブをやったりしていて、その影響でそっち方面のバンドもよく聴いています。当時のバンド時代は、大御所プログレバンドGERARDの結成20周年ライヴのオープニングアクトに起用していただいたこともあります。

Papilio Effectus (パピリオ・エフェクトゥス)というバンド(以下パピリオ )は、女性ボーカルのプログレメタルバンドということで、日本ではかなり珍しいのではないかと思っています。7弦のツインギター&6弦ベースというのも珍しいかもしれません。

あとは、基本的に歌詞は日本語です。日本語の言葉選びや表現に重きを置いているのが理由ですが、やはり母国語で歌詞を表現するのと英語に歌詞を置き換えるのは言葉選び的なものと発音による意味の伝わり方や表現を含めたニュアンスなど色々と違いがあるとも思っています。
(歌詞を英語にするか日本語にするかは、各バンドの戦略によるものなのでどちらが良いとかではなく、パピリオの場合はという話しです)

今回のアルバムの曲調については、変拍子というのにはあまりこだわらず作っているので、1曲の中でテンポや構成にかなり変化があるので複雑さはありますが、割とシンプル&キャッチーでありつつヘヴィな方向性に寄っているのかなと思っています。

プログレメタルだからDream Theaterっぽいのか?というイメージで聴くと、パピリオはテクニックの応酬って感じでもないのでアレって感じるかもしれないですが、Circus MaximusやSeventh Wonder、DGM、Opethなどの欧州プログレメタルが好きな方や、昔のマグナカルタレコードのShadow GalleryやDali's Dilemmaなどが好きだった方はハマっていただけるかなと思っています。

曲作り的にはDream Theaterにはあまり影響を受けていなくて(ああいう曲が作れないだけですが)、欧州プログレメタルや自分のルーツのSlayerやMegadethなどのThrash Metalの影響はCDを聴くと感じいただけるかなと思っています。
と言いつつ1番好きなバンドは何かと聞かれるとSymphony Xなのかなと思います。我々の曲もキーボードはプログレッシブよりもシンフォニック寄りなのかなと曲を作っていて思います。

John Petrucciは大好きで音作りやフレージングなどはめっちゃ影響を受けています。ライブでの現在のメインギターはKieselですが、レコーディングはずっとMusic ManのJP7を使っています。


  1:Siren


1曲目はSiren(セイレーン)。

曲順的にはアルバムの曲が揃ったタイミングでは、1曲目を今回2曲目のJuggleにしてその前にSEを作ろうかなと考えていたのですが、良いSEが思い付かなかったのと、あまり長いSEが1曲目だったりSE自体が面白くないアルバムは、個人的にその曲を飛ばしてしまうことが多いので、無理して入れる必要もないなかと思い、全曲のレコ―ディングが完了したタイミングでこの曲を1曲目にしました。

プログレメタルあるあるで、歌が始まるまでに数分かかるというのがあると思いますが、この曲はいきなり歌で始まるので、そこも面白いところかなと思っています。

 

構成的にはイントロやアウトロは7/8拍子になっていますが、それ以外は割とシンプルな構成かなと思います。

コンセプトは、ギリシア神話に登場する女性の海の怪物(セイレーンまたはサイレン)を題材にしています(スタバのマークのアレです)。

 

曲中で出てくるシャウトパートは、セイレーン役の女性はBaのELCO、虜にされてしまう船乗り役の男性を私が担当しています。

 

Dream Theaterに作曲面の影響は受けていないと言いつつ、この曲の間奏の頭はDream Theaterっぽいかもしれませんw

 

  2:Juggle

 

2曲目はJuggle。

 

デモの段階では、仮タイトルが「DGM」でした。
※DGM:イタリアの爽やか系プログレメタルバンド

DGMっぽい明るい感じの疾走曲だと思います。

いつもは曲のコンセプトとタイトルのイメージを作詞を担当しているVoのSaeさんと共有してから歌詞を書いてもらう感じなのですが、この曲は聴いた印象第一で世界観はお任せで歌詞を書いてもらいました。Saeさんは曲を聴いて、ジャグリングのような慌ただしい印象を受けたようです。

 

普段は、曲の頭からイントロ→Aメロみたいな時間の経過順に作曲しているのですが、この曲だけはギターソロ後のピアノパート(CD 3分16秒)から作り始めました。このパートのヨーロッパっぽい雰囲気で好きです。更にその後には同じコード進行で歌入りのセクションもでてきます。

 

  3:Melting Souls

 

3曲目は、Melting Souls。

 

デモの段階での仮タイトルは、「Melting Pod(人種のるつぼ)」でした。

色々な要素を詰め込んだ正に「るつぼ」という感じで、このアルバムの中では、一番変拍子も複雑で構成も凝っていると思います。

 

全体的には複雑ですが、歌や所々のメロディはキャッチーに感じていただけると思います。
(過去作に比べて歌をよりキャッチーにすることはアルバム全体に共通しています)

 

イントロはヘヴィなリフで攻めて、間奏はメロウに、アウトロはいかにもプログレなフレーズで締めくくっています。

 

自分は作曲者ということもあり、あまりギターソロ自体に重きを置いていないというか、ソロは大事なパートではあるけど、テクニックを見せつける場ではなく曲のイメージをまとめた感じ、そして前後の展開の橋渡し的なソロにすることに注力しています。

 

この曲の自分のギターソロは、敢えて単独ではなくキーボードとの掛け合い(一部ハモり)にしていて気に入っています。

この曲の地味にヘンテコな箇所はCメロ(2分37秒)で、弦楽器は3連で刻んでいるところドラムは8分の裏にスプラッシュでアクセントを入れているので、ライブで観た人は慣れないリズムで何じゃこれになると思いますw

 

  4:Be kind to your self

 

4曲目は、Be kind to your self。

 

ライブでもやっていない&試聴トレイラーにも入れていないバラードになります。

途中から激しくなるのでパワーバラードの範疇に入ると思いますが、コード進行や拍子はかなり単純にしています。

 

この曲はプログレメタルかといういうと全くそうではないと思いますがw、色々な要素が詰まっていて楽しめると思います。

 

曲がかなりシンプルなので、Voのメロディはかなり苦戦して、複雑にしたりシンプルにしたり何度もバラシて1から考えることを経て、結局は単純化するアレンジの方向で落ち着きました。

 

曲のコンセプト的に自己の内面に向かっていくような感覚だったので、歌詞も自己愛とか自分を大切にみたいなニュアンスになりました。

 

3曲目の解説のところで書きましたが、ギターソロで目立つぜという感覚は高くないこともあり、この曲は2本のソロを入れる曲ではないなという判断から、相方ギターのFumingだけがソロを弾いています。

ギターソロについては、私の場合はがっつり作り込んでからレコーディングに臨みますが、Fumingは全部アドリブで弾いて良かったテイクを使うという感じで、この曲のソロはMarty Friedmanっぽい感じのベンドが効いていてかっこいいと思います。

 

  5:Unlocked

 

5曲目は、Unlocked。

 

各種販売サイトに記載いただいた情報では、CDの概要で新機軸のスラッシーに疾走する曲というのはこの曲のことです。

今後、こういう曲をパピリオの軸にするつもりは今のところないですがw

パピリオの多様性を示すひとつの要素ということで。

 

アルバムの裏コンセプトとして各メンバーのルーツを入れ込むというのを今回大事にしていて、この曲は私のルーツである80~90年代のThrash Metal要素を入れています。
 

各メンバーのルーツは何か書いておくと

・Vo Sae:洋楽のR&BやPOPS
・Gt Masaki:80~90年代のThrash Metalやプログレハード
・Gt Fuming:Yngwie MalmsteenやTony MacAlpineなどのネオクラシカル系速弾き
・Key Aoi:クラシックピアノ
・Ba ELCO:吹奏楽でのコントラバス
・Dr Mikey:Mike Portnoy大好き


私の場合は、ベイエリア・スラッシュやスラッシュ四天王が洋楽の始まりなので、非常に大事なジャンルです。

 

2ビートや、ひたすら刻むBメロなど、Thrash要素がたくさんありますが、プログレ要素としては間奏の頭のピアノパートで十二音技法というのを取り入れていて、一瞬のパートの中でオクターブ内の12音を全部使っています

 

私はピアノが弾けないので、こういうフレーズを考える時はパソコンで作成して弾けるかどうかはあまり考えてないので、キーボードのAoiちゃんは大変かもしれません。

 

↑のパートも影響を受けていないと言いつつ、Dream Theaterっぽいかもしれませんw

 

今回のアルバムは、表コンセプトは輪廻転生や継承(過去を持ちつつどんどん変容していく)ですが、個人的なコンセプトは「自分の喜怒哀楽を表現する」でした。

自分はリアルな場ではあまり感情を表に出さないので、曲で喜怒哀楽を表現します。

で、この曲は怒を表現したくて作ったのですが、VoのSaeさんは自分の殻を破って未来を創るみたいな前向きな印象を持ったみたいで希望系の詩を書いているので、曲と詩とで2面性がある面白い立ち位置の曲(竹中直人さんの笑いながら怒る人みたいな感じ?)かもしれません。

 

  6:Piece of My Prayer

 

6曲目は、Piece of My Prayer。

この曲は、今回のアルバムでは初期の曲だったような気がします。
先行配信シングルにもなっているし、ライブでもハイライト的な盛り上がる場面で演奏することが多いキャッチーな曲です。


イントロのキーボードから分かるように雰囲気的にAmarantheっぽいなと個人的に思っています。この曲も変拍子はなくリフで押していくような曲調です。

 

今作のギター録音は私の自宅スタジオで行い、その後ドラム&歌RecやMixとマスタリングでお世話になったCrunch Studioで、リアンプという作業をしています。リアンプとは、パソコンにギターの生音だけを録音して、それを後から本物のアンプを通して再録音する工程です。↓のような感じで作業しています。
 

 

あと、この曲はベースが色んなところでタッピングしているので、ライブでも映える。

目立つためではなく、ソロの裏でコード感を出すためなど渋い役割に徹してますがこの曲の聴き所のひとつだと思います。

 

歌もキャッチーで普段メタルを聴かない人もすぐに馴染めるくらい良い曲だと思います。

配信シングルはこちらをクリック

 

  7:A Turbulent Journey

 

7曲目は、A Turbulent Journeyです。

 

このアルバムのハイライト曲です。アルバムで一番長い曲で、デモの段階では10分を優に超えていましたが、最終的には9分30秒で落ち着きました。

 

デモの段階での曲名は「長い曲」w

 

自分の中では、Circus MaximusのLast Goodbyeみたいな壮大な曲を作りたいなと思って作り始めました。 

 

10分近くの長い曲ですが、時間稼ぎ的なソロパートの応酬は入れたくなかったので、間奏はそれほど長くはないし、曲頭もいきなり歌から始まります。

 

曲名の通り「波乱万丈な人生の旅」という感じで人生を振り返り来世に繋げる曲になっています。

 

ライブで披露した時に、長い曲だけど長く感じないという感想をもらうことが多いですが、それは裏の隠し味的な要素が関係しているのかなと思っています。

曲が長いこともあって、展開も色々ありつつテンポもかなり変わるのですが、実は同じサビでも前半と後半では微妙にテンポが変わっています(他の箇所でも細かくテンポを変えている)。
※ライブでもドラムはクリックを聴いて叩いているので、ライブでもテンポは音源通りです。

そのテンポ(bpm)にも意味を持たせたくて、サビのところのbmpは「煩悩の数」であるbpm108になっています。除夜の鐘は、108の煩悩を除くことを願って108回の突くといわれていますが、煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)という考え方があるそうです。この曲は除夜の鐘的な効果があるのかは分かりませんが。。。

 

サビは煩悩の数のbpm108ですが、最後の転調した後の大サビはエンジェルナンバーである116(bpm116)になっています。

 

新たな始まり示す「1」と光り輝く様子を示す「6」の組み合わせは、明るい未来を約束してくれる数字だそうです。ちなみに私は全くスピリチュアルにも傾倒はありませんw

単純に数字であるbpmにも意味を持たせたいと思っているだけです。

 

Last Goodbyeっぽい曲と書きましたが、コンセプト的には自分がよく見ている海外ドラマのSuper Naturalの影響を受けていると思います。

 

そこから↑のエンジェルナンバーとかの発想が沸いた訳です(Super Naturalには天使とか悪魔が出てきますが、エンジェルナンバーは関係ないと思います)。

 

間奏の後に出てくるシャウトパート(CD 7分13秒あたり)は、1曲目のSirenと同様にELCOが担当しています。
歌詞は全部VoのSaeさんが担当していますが、このシャウト部分は、自分で考えてみました。
A never given up spirit (絶対に諦めない心)
Be proud of your choices (自分の選択に誇りを持て)

この部分の歌詞は自分で作っただけにお気に入りです。

 

  8:Succession

 

8曲目は、Successsion。

デモの段階では、Epilogueという仮タイトルでした。

 

7曲目でアルバムのハイライトという構成になっているので、最後のこの曲は映画でいうところのエンドロール(Epilogue)の意味合いで作った曲です。

 

Successionは「継承」という意味で、この曲で終わりということではなく、ループして1曲目に続く、または次のアルバムに継承するというニュアンスを表現しています。

 

5曲目の「Unlocked」の解説のところで書いた各メンバーのルーツということでいうと、この曲はベースのELCOちゃんのルーツであるコントラバスをフィーチャーしています。
レコーディングでは、リアルなコントラバスを弾いています。

 

 

ギターはアコギに終始して、歌もしっとりした感じでVoのSaeさんもメタルの歌唱とは違う優しい感じの雰囲気で歌っています。

 

  余談:今回のこだわりポイント

 

今回は色々と誰も気付かないというか自分のこだわりでギミックをしこんでいます。
 

パピリオの今回のコンセプト的なところ(というかこだわり点)をまとめると以下のようなことがあります。先日のメンバーとの制作を振り返る動画で話したことも含まれていますが、自分の中だけのこだわりでメンバーも知らないこともあります。VoのSaeさんには、歌詞書く時に必要だろうということで割とこの辺の曲ごとの意味合いみたいのは普段から共有しています。

 

  • 永遠に続く(輪廻転生)みたいなのを全体的にコンセプトにしている
     
  • 特に7曲目のA Turbulent Journeyは人生を振り返る的なイメージで作曲をしている
     
  • 8曲目のSuccessionは連続、継起、継承という意味であることからまた1曲目に繋がってループするであったり、過去を継承して次の作品に繋げるみたいな意味合いを持っている
     
  • Dream Theaterもたまにやりますが、過去曲のワンフレーズを入れたりもしている(1stのTravelerであったり、自分の過去のバンドのワンフレーズとか)
     
  • 今回のアルバムはトータル「45分00秒」にしていて「死後(45)は無限(00=∞)」現世は終わっても次の生の始まりに繋がる、つまり輪廻転生を意味している

    ※マスター作成時の時間を基準にしているので、サブスクとかでは数秒の誤差があるかもしれません
     
  • 曲内のbmpや拍子は、なんとなくではなくフレーズや歌詞の意図に沿って意味のあるものにしている

 

  最後に紹介:音源やYoutubeなど


※Music Videoは9/26、9/27あたりに公開予定です。
 どの曲になるかはお楽しみに!

後日追記:Music Videoは1曲目の「Siren」になりました。

 

 

先行配信 Piece of My Prayer
https://diskunion.lnk.to/kkmwj1U4
後日追記:↑でアルバムも配信されているので是非聴いてみてください。

9/21発売フルアルバム情報
https://www.papilio-effectus.info/discography/

アルバム視聴Trailer
https://youtu.be/5v24H8DTDv8

 


ライブ活動もしているので、是非会場にもお越しください!

↓ライブ情報
https://papilio-effectus.info/live/
2022/10/01(土) 目黒LIVE STATION ←レコ発主催イベント
2022/11/27(日) 立川BABEL
2022/12/03(土) 仙台FLYING SON
2023/02/04(土) 渋谷CYCLONE ←主催イベント(CHAOS CONTROLと共同主催)