神社本庁「神道は同性婚を肯定も否定もしていない」/神前結婚式は「各神社の判断に委ねる」と見解 | 成田雅美のBLOG

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神社本庁「神道は同性婚を肯定も否定もしていない」/神前結婚式は「各神社の判断に委ねる」と見解/尼崎でゲイカップルが挙式

神社本庁が、同性の神前結婚式について、「神道は同性婚を肯定も否定もしていない」「各神社の判断に委ねる」という見解を示したことは、以前の差別冊子配布事件からすると、大きな改善、進歩と言えるのではないでしょうか。


神道は多神教。今回、神前結婚式を受け入れた、尼崎えびす神社の女性宮司は、「それぞれの宮司の考えがある。今は時代の過渡期かもしれない」とした上で、「やおよろずの神というくらい、神道の神様は多様性に満ちていて、今の社会に通ずるものがある」とのこと。

尼崎えびす神社の公式サイトを見たところ、地元から愛されている、明るく楽しそうな神社ですね。神戸や大阪を訪れる機会があったら行ってみたいです。

 

当ブログ記事の最後に、国学院大学の「古事記 神名データベース」を添付しました。ご関心のある方はご覧ください。神道には、多数の多種多様な神様がいることが窺われます。

 

 

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「八百万(やおよろず)の神」とはどういう意味でしょうか?
家庭画報 2018/10/10 文/磯由利子 取材協力/神社本庁


日本人は古代から稲作をはじめとした農耕や漁などを通じて、自然と関わりながら生活をしてきました。

 

自然の恵みにあやかる一方で、台風や日照りなどの脅威にもさらされることで、人々は自然現象に神を感じるようになりました。

また清浄な山や岩、木や滝といった自然物にも神を感じて祀るようになり、その場所に注連縄(しめなわ)と紙垂(しで)を印し、建物が建てられて神社となりました。

神道の神々は、海の神、山の神のような自然界や自然現象を司る神々、商売や学問の神々、縁結びなど人間関係の神など、その数と種類の多さから「八百万の神」と言われています。

毎年旧暦10月には全国の八百万の神が出雲の国に集まり、出雲の各神社で「神在祭(かみありさい)」が行われ、縁結びや来年の収穫や諸事についての会議が行われるそうです。

「八百万の神」とは、私たちの日々の暮らしに、いかに神が身近に存在しているかを象徴する言葉ですね。

「八百(やお)」は数が極めて多いこと、「万(よろず)」はさまざまであることを意味し、「八百万の神」とは、多種多様な数多くの神という意味です。森羅万象に神を感じる日本古来の考え方で、神道に通じています。

 

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ゲイカップル「本当に幸せです」尼崎の神社で挙式 神社本庁「神道の考えには肯定も否定もない」
神戸新聞 2023/6/3


同性間の挙式を断る神社が多い中、兵庫県尼崎市内の神社で3日、ゲイカップルの神前結婚式があった。

 

式を前に神社本庁(東京)は取材に応じ、「神道の考えには、同性婚を肯定するものも否定するものもない」とし、受け入れの可否については各神社に判断を委ねるとの姿勢を示した。

■はかま姿で指輪交換

式を挙げたのは、尼崎市に住む松浦慶太さん(37)と、桜井英哉さん(38)=仮名。はかま姿で指輪を交換し、共に「受け入れてくれた神社には感謝しかない」と笑顔で話した。

 

ただ、式の数日前には神社側に「気持ち悪い」などと匿名の電話が寄せられたという。

 

複数の神道関係者によると、大半の神社は「男女の前提が崩れると本来の神事ではなくなる」「祝詞の内容には古事記の『国生み神話』が含まれる」など信仰上の理由で同性間の挙式を受け入れていない。

これに対し神社本庁は今回、「特に公式見解は出していない」とした上で、神道には同性婚の是非を示す教義や経典はないとし「受け入れるかどうか、新しい形式を作るかどうかは、それぞれの神社の判断になってくる」と述べた。

■「裏切られたような気持ち」

「こんなことが人生で起きるなんて、夢にも思っていなかった。本当に幸せです」

 

神社での式を終え、会見を開いた松浦さんと桜井さんは、ほっとした表情でお互いを見やった。

2人は2020年、尼崎市の「パートナーシップ宣誓制度」で婚姻に準じた関係と公認された。

 

しかし2年後の22年6月、神社本庁を母体とする政治団体・神道政治連盟(神政連)が差別的な文書を自民党員に配っていたことが明らかになる。

「同性愛は後天的な精神の障害、または依存症」。そう記された文書に、松浦さんは「身近な存在だと思っていた神社に裏切られたような気持ち」がこみ上げた。問題提起の思いを込めて挙式できる神社を探した。

何度も断られた中で唯一、受け入れてくれたのが今回の神社だった。

(中略)

■「前例がないから検討したことがない」

同性同士の神前結婚式について、今回の挙式を前に全国約10カ所の神社に取材した。

 

大半の神社が「受け付けられない」と答え、その背景について「前例がないから検討したことがない」とする声が多かった。

多様な性への理解の広がりを意識しながら、「できるとも、できないとも公式には出していない」と明言を避けたり、「時代の流れもあり、神社界全体の課題ではある」ととらえたりする神社もあった。

一方、明治神宮(東京)は「受け入れの可否は神社本庁の見解を踏まえ、有識者も交えて検討していきたい」との意向を示していた。(大田将之、名倉あかり)

 

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ゲイカップルが神社で結婚式 多くが断る中、尼崎の神社が受け入れ 宮司「多様な神様がいる」
神戸新聞 2023/5/28


(前略)

■やおよろずの神様

尼崎えびす神社の太田垣亘世宮司は「偏見もなければ特別視することもなかった」という。

「地域の人たちが幸せを願う場所であることが、うちのような地域の神社の役割なので。尼崎は多様性のまちですしね」

海外生活が長く、神職として現地で神前結婚式に立ち会った経験もある。異教徒間や夫婦別姓など式のあり方は多様だった。

 

「いろんな配慮をしながらバラエティーに富んだ結婚式をしてきました」。ゲイやレズビアンの友人はたくさんいる。

伝統は変容するものだと考えている。とはいえ、「それぞれの宮司さんのお考えがある。今は時代の過渡期なのかもしれない」と思う。

祝詞や誓詞といった式の内容は、2人と相談しながら決めてもらった。ただ、LGBTQを象徴する虹色にちなみ、参列者がカラフルな衣装を身に着けることは「あくまで神前なので」と控えてもらった。

式を前に、太田垣宮司は「選択肢の一つになれたのであれば良かった」とし「やおよろずの神というくらい、神道の神様は多様性に満ちていて、今の社会に通ずるものがある。大事にしていきたい」と話した。(大田将之)

 

 

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