フランスの反カルト法を支持する日本人に欠けている認識 | 成田雅美のBLOG

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フランスの反カルト法を支持する日本人に欠けている認識

フランスの反セクト法と同様の、カルト宗教を規制する法律を、日本でも作ろうという動きが、国民民主党を始めとして、出ているようです。

宗教団体に、何らかの法的規制を課すこと自体は、必要なことであり、良いことだと思います(課税が一番効果的と考えますが)。


しかし、フランスの反セクト法を称賛する日本人に欠けている認識があることを、私は指摘したいです。

これは、フランス在住や、フランスに詳しい人でも、知らないことかもしれません。何故なら、日本の統一教会問題と同様に、表面化しづらいことだからです。

その指摘とは、フランスでは、反セクト法によって、「政教分離」と「人権尊重」が実現できているという認識は、誤りだということです。間違っています。

フランスでは、カトリック教会=バチカンが、絶対的な権力を持っています。

 

そのため、カトリックを批判する団体、カトリックの脅威になる団体は、人権侵害や犯罪行為が無くても、フランス政府から、カルト認定され、攻撃、迫害の対象になることがあります。


私は、フランス発祥の「ラエリアン・ムーブメント」という非営利団体(宗教法人ではない)の会員でした。30年間会員で、最後の数年間は、ガイドと呼ばれる幹部でした。

今は退会済みです。退会して良かったと思っていますし、再入会するつもりは無いですが、そういう個人的なこととは別に、

フランス政府が、どのようにして、カトリック教会=バチカンを批判する団体を、人権侵害や犯罪行為が無くても、迫害していったかを、内部から見てきました。

ラエリアン・ムーブメントは、創設当初から、カトリック教会=バチカンの腐敗と搾取を、厳しく批判してきました。特に、聖職者の小児性愛、性犯罪を糾弾してきました。

 

そのため、フランス政府から、人権侵害や犯罪行為が無くても、カルトと認定され、攻撃されてきました。

そういう内情を知っているので、フランスにおける伝統的宗教、すなわち、カトリック教会=バチカンの権力の大きさを知らずに、「フランスでは、反セクト法によって「政教分離」と「人権尊重」が実現できている」という、やや安易な、事実認識に欠ける言説が流布されることを、苦々しく思っています。

 

要は、本来、必要とされる規制も、政府や伝統的宗教という権力に悪用される可能性を考慮しなければならない、ということです。

 

日本国憲法でも保障されている「信教の自由」と「政教分離」は、そう簡単に両立するものではなく、新興宗教の規制も重要ですが、伝統的宗教の巨大な権力を抑制することも重要で、それは骨の折れる作業になります。