瑪羅門の家族 × 単行本未収録 × 特別読切
《単行本未収録作品》
特別読切
『瑪羅門の家族』
そうか
検察庁はわしの起訴を ついに断念しおったか
吉岡社長:所詮 「法」などザルの目のようなもの
金とコネと知恵さえあれば この世に怖いものなどありゃせんわい
今日のわしは体調も最高だ
昨夜 家に腕のいい「指圧師」を呼んでな
なんでも古代インドから中国を経由して伝わった秘伝の療法とかで…
名は 確か…
瑪・羅・門 ‼︎
うおっ!?
部下:ど、どうしたんですかーっ!社長ーっ!
いきなり こんな猛スピードを出してーっ!
社長:わ わからん これはどういうのとだー!
足が勝手ににアクセルを踏み込んでおるんじゃー!
わしの意思とは無関係にーっ!
もうだめだー!
学歴社会の申し子
三男
瑪羅門 龍(ばらもん りゅう)
17歳 高校3年生
拳法部 主将
この俺だ
『疑惑の吉岡社長 事故死』
『老人を相手に詐欺まがいの先物取引で渦中の人物』
龍:けっ ざまあねぇぜ
こいつの為に何人の年寄りがクビを吊ったか知れたもんじゃねぇ
じじい:龍よ
今日はお前の17歳の誕生日じゃ
早く帰ってこい 皆で待っておる
母が早く逝き 家が寺ということぐらいを除けば
どこにでもある平凡な家庭だと思っていた
この日まではー
【学校 拳法部】
龍:正拳突き始めー!
顔色がよくねえな
おまえの家の事情もわかるが あまり無理をすると体をこわすぞ
光男:ち、違うんです 主将!
じ、実は 僕 昨日の晩…
大変なものを 見てしまったんです…!
‼︎
今日 貴様が十七の生誕日を迎えるにあたり 我家族は これより貴様に瑪羅門三千年の家法に従い 貴様に瑪羅門の秘密を明かし瑪羅門の秘拳を伝授する!
今をさかのぼること三千年前、古代インドの密教僧たちは当時の悪政を憂い世の平和と正義を願って想像を絶する秘拳を生み出し世界各地にその使徒を送り出してきた!
我家族はその末裔!現代においても法で裁けぬ悪を裁くのが我瑪羅門家の宿命でもあり使命なのだ!
翔:見るがよい!
龍:黙って聞いていれば…
ワッハハハ
気は確かかよ おまえら!
誕生日の余興にしてはシャレがきつ過ぎるぜ!
三文小説家のダメ親父に エロ坊主!
兄貴二人は 小さい頃から 虫一匹殺したこともないというのに
それが世の悪を葬ってきただとー!?
おまえら 全員まとめてかかってきても俺は負けはしねえぜ!
翔:ならば 私が相手となろう
じじい:三千年の歴史を持つ我一族の血にはチャクラと呼ばれる偉大な力が流れている
指先より発せられるそのチャクラを使い中国拳法と合わせて完成させたのがこの瑪羅門の拳だ!
龍:な、何をする気だ てめえら
父:これより貴様の中に眠っていたチャクラを目覚めさせる
これで貴様も史上最強の暗殺拳 瑪羅門の拳の使い手となるのだ!
主将へ
僕は殺されるかも知れない
龍の瑪羅門の裁きは下るのか?
いったい
どーなってしまうのか!?
つづく