針生検で検査入院していた時の事です。

一応、形式上2泊でしたが、
前日は外泊許可が出ていたので、実質は1泊のみ。
しかも、検査で長時間部屋に居なかったので…。

お部屋の滞在時間は、
そう長くはありませんでした。


最初、咳が酷くて受診したのですが…。
やはり、ずっと咳は続いていていました。

とはいえ、絶えず咳をしている訳ではなく
時々、咳が止まらなくなると
むせ込んでしまう…。
という程度でした。

多分。

ちょっと、風邪で酷い時
ぐらいの感覚です。

私的には。

他人がどう思うかは、分かりませんが…。


咳が出て、苦しんでいると、カーテンの向こうから
小さな声で、しかし確実に聞こえるように

「もう!いい加減にしてよ!」

と聞こえてきました。


???聞き間違い???


それから、咳をする度に
「もう止めて!」とか
「もう!」とか
暴言を吐かれるようになります。


極めつけは、朝
看護師さんが血糖値を測りに来たとき(糖尿の患者さんです)

これまた、聞こえよがしに
「昨日はうるさくて眠れなかったから
体調がとても悪い」
だの
「こんなに酷い状態なら
きっと、血糖値は上がっているはず」
だの
「こんな劣悪な環境で入院していたら
病気がもっと悪くなる」
だとか

散々、言いたい放題です。

担当の看護師さんは
「そうですか?今日の数値は、いつもより良いですよ。」

と言っても聞きません。

「そんなはずはない。絶対に悪くなっている!」


確かに、うるさかったかもしれません。
しかし、遊んでいたわけでもなく、
病気で苦しんでいるのに。

まして、ここは病院です。
症状が有って、入院しているのです。

信じられませんでした。

もうすぐ退院だから
と、
必死で耐えていました。

でも、もう限界です。


先程の看護師さんを捕まえて、
事情を話し、上の方にお話しして欲しい。
と頼みました。

ところが、彼女の口撃は全く収まる気配がありません。


そこで、ナースステーションに行き
師長さんに相談しました。

師長さんは、血相を変え
しばし考えた後

「お部屋変えましょう。」

「もうすぐ退院なので、我慢しますが…。(涙)」

「そんな事言ってる場合じゃ無いわよ。
今すぐお隣のお部屋に移って。
荷物は、こちらで取りに行きます。
あの部屋には、戻らない方がいいわ。」

さすが!師長さんです。
決断が早い!!

そして
「後で、お話ししておきますから。」

どんな風に説得するのだろうと、
ちょっと気になり、尋ねてみました。

「説得なんて、しないわよ。大部屋なんですからね。
ワガママを言うのなら、個室に行ってもらいます。」


帰り際に、師長さんに
お礼を言いに行きました。

「入院してると、いろんなストレスが溜まるからね。
彼女は、まだ4日目。
日が浅いから余計に不安だったかもしれないわ。」

お話ししているうちに、
師長さんの懐の深さを感じ、思わず涙しながら

私は病名がついてはいないものの
どうやら「がん」だと宣告された
と、話しました。


すると、1つ1つ言葉を選ぶように
ゆっくり丁寧に

「本当に辛いのは、これからよ。
あの人だけでなく、世の中には本当に理不尽で
酷い事を平気で言う人もたくさんいるのよ。

私たちだって、公務員ですから、
本当にお役所仕事で、酷いことも
時には言わなくちゃならない。

その度に傷ついていたら、負けてしまうわ。
強くなりなさい。」


思わぬ所で、素晴らしい言葉をいただきました。






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