2019 2/9 「マサラワーラーに学ぶカレー」@朝日カルチャーセンター
カレーとはなにか。 そのシンプルにして最大の難問に答えてきました。
この講座でお話したことは広く広めたいので、そのときに配った資料を特別にここに公開いたします! マサラワーラーに学ぶカレー
1:インドにいったらカレーがなかった!
インドといえばカレー、カレーと言えばインド!というように多くの人が連想します。 かつて「インド人もびっくり!」というカレーのCMがありました。インドといえばカレー!ナン! ターバン!ヨガ!映画!みたいなイメージが真っ先に思い浮かぶと思います。(しかし、じつはナ ンも…) では、インドのレストランにカレーを食べに行ってみましょう!きっとそこには多種多様のカレー が待ち受けているはず!!!
さて、飛行機でインドまでやってきました! インドの首都デリーに来たんだから、真っ先にカレーを食うぞー!と現地のレストランに入って メニューを開きます。メニューからカレーをさがします…
あれ? カレーがない!!
まさかのカレーが行方不明です。インドなのに、カレーがみつかりません。 メニューの端っこに見つけた!と思っても、なんか違う… しかし、周りの席を見渡すと、美味しそうにいろんなカレーみたいな食べ物を食べています。 その代わりに、マトンナハーリ、マトンコールマー、チキンシチュー、、、、、と料理名が並んで います…
2:インド生まれのインドにはない料理、カレー
こんな感じで、インドのレストランのメニューでカレーが見つからないことは、実は普通です。 ちょっと外国人が多い観光地などではCurryがメニューにある場合がありますが、それは外国人向 けに分かりやすく気を使ってくれているのです。
では、なぜカレー発祥の地であるはずのインドにカレーがないのか? ここには、歴史が関係しています。 インドの料理は地域によって多種多様ですが、だいたいの場合はスパイスを使うことが特徴です。
カレーライスとおなじように、ごはんやパン類といっしょに食べる汁状の物もあれば、炒め物や 煮物、漬物、焼き物、蒸し物、揚げ物、和え物などなど、いろいろな種類の料理があります。 そして、それぞれの料理には名前があって、だいたい材料の名前、または「材料」+「調理方法」 です。これは和食とか、世界中の料理と同じですね。例えばチキンマサーラー=チキン+マサーラー (スパイスと香味野菜などを炒め煮したもの)という感じです。 では、インドにない「カレー」がどうやって生まれたのでしょうか?
3:植民地支配とカレー粉の誕生。
インドにはあらゆる民族がやってきて群雄割拠してきた歴史があります。この歴史がインド料理 にも大きな関係があります。
古代から住んでいた先住民族はアボリジニーとおなじオーストラロイ ドだと言われています。その後、インダス文明を興した、現在ドラヴィダ人と呼ばれている人たち が定住し、次に北西からアーリア人と呼ばれる騎馬民族がやってきてインドのほぼ全域を支配し ました。
しかし、支配も南インドの端まではおよばず、南インドにはドラヴィダ人の人々が住んで います。その後、北西からムスリム(イスラム教徒)が侵略をしてきてインド中にムスリム王朝を 建てました。
そんなこんなしているうちに、ポルトガルだのフランスだのイギリスだの西洋の国々がやってきて インドの植民地化をすすめます。 そしてついにイギリスに統治されてしまいました。
さて、インドに住んだイギリス人、インド人の召使いに料理をさせます。 自国の料理を再現させるだけでは飽き足らず、やはり土地のものに興味が出ます。いろいろなスパ イスを使った料理に驚き、新しい味に興奮したのでしょう。 さらに、スパイスを使った料理は日持ちをすることから、大航海時代の船員の食べ物にもぴった りだったでしょう。
しかし、スパイスを使いこなせない彼らは、あらかじめ使いやすいように調合したスパイスミッ クスを開発します。これが、カレー粉の誕生でした。 そして、カレー粉を使って、シチューの調理方法で作ったのがカレーになりました。 しかし、なぜこれをCurry(カリー)と呼んだのか…
4:「カレー」の語源
この「カレー」は英語ではCurry(カリー)ですが、インドのレストランのメニューにないのに、 どうしてそんな名前になったのか?
諸説ありますが、よく言われているのが、タミル語のகறி"(カリ)が起源という説です。 マサラワーラーに南インド料理を教えてくれた先生の一人のViji Varadarajan先生は著書の中で野 菜炒めをカリという項目にまとめていて、その冒頭でこう述べています。
The word'curry' comes from the word'kari'that is Tamizh word for a preparation of dry vegetable with spices. The British in India added water and meat to the 'kari' and it came to be known as the Madras curry. Curry/Kari is basically vegetarian and later began tobe associated with meat dishes. In a Chettiar and Mudaliyar community a stir-fry vegetable is known as ‘poriyal'.
「Curry(カリー)」という言葉は、スパイスと野菜による汁気のない料理を表すタミル語の「க றி"(カリ)」という言葉から来ています。 インドにいたイギリス人は水と肉を「カリ」に加えました、そしてそれはマドラスカリーとして知 られるようになりました。 カリー/カリは基本的にベジタリアン料理で、後で肉料理に関連するようになりました。 チェッティヤールとムダリヤールのコミュニティでは、野菜炒めは「ポリヤル」として知られてい ます。 (SAMAYAL Viji varadarajan著より)
ちなみに、ここで語られているチェッティヤールの人たちの料理でウップ(塩)カリという料理 があります、これは肉を炒めた汁気のない料理のことを言います。チェッティヤールやムダリヤー ルの人たちは肉を食べる人たちなので、普段食べる材料を炒めたものを「カリ』と呼ぶのかもし れません。
さて、そこで想像です。マドラス管区に住んでいたイギリス人のジョン。現地の人が食べているも のがうまそうだったので、何を食べているか聞いてみます。 「おい、それは何食ってんだ?」 「これ、カリだよ」 「そうか~、これはカリーという料理なのか。」 ってことで、インド料理全般のことを話すときにカリーと呼んでいたのではないか?という話です。
それにしても、多種多様なインドの料理を「カリー/カレー」で括ってしまうのは、いささか乱暴 なんじゃないかなーと、ぼくは思ってしまいます。
余談ですが。西インド、グジャラートあたりの料理でकढ़ी(Kadhi 発音はカリー)という料理があ り、これも名前からカリーの起源と思われることがあるが、ベーサン(ヒヨコ豆の粉)とヨーグ ルトを煮た料理なので、関係ないと思われます。
*2020 4/18追記 アジアハンター小林さんからの情報より
イギリス人が入植した時点ですでにカリという言葉はポルトガル人の間で使われていたようです。ポルトガル人が入植したのは東側のタミル・アーンドラではなくマラバール(ケーララ州北部のアラビア海沿岸地域)からゴアにかけてだったので、元はマラバールあたりで使われていたカリという言葉がポルトガル人に使われるようになり、それを踏襲したのがイギリス人、という流れのようです。
ちなみに、現在ケーララの料理で「ミーンカリ(魚のカレー)」や「クートゥーカリ(クートゥ)」などと「カリ」がついた名前の料理があります。これはマラヤーラム語(ケーララ州の公用語)のカリはいわゆる現在のカレーに近いけど、イギリス経由で逆輸入されたカレーの定義に逆にカリの方を寄せていった結果だとか。
5:カレーのせいで、カレーのおかげで
と、いうことでカレーとはじつにややこしい言葉なのです。ただでさえややこしいインドの料理の 話をしているときに、カレーという言葉に引っ張られると、さらに複雑になります。
インド料理 を作るときは、カレーのことを忘れた方がうまくいきます。別物だと思ってください。
しかし、ぼくはカレー、好きなんだなあ。カレーって、おいしいですよね。 植民地支配という暗い歴史がきっかけですが、文化の衝突、交流から生まれた素敵な食べ物だと 思います。
・もっと詳しく知りたい方へ
参考書籍
インド・カレー伝 / リジー・コリンガム / 河出書房新社
インド・カレー紀行 / 辛島昇 / 岩波ジュニア新書
SAMAYAL / Viji Varadarajan / Orient Enterprises
マサラワーラーのホームページリニューアルしました!
マサラワーラーのホームページをリニューアルしました!
きっと見やすくなっています!
新しいURLはこちらなので、登録の変更をお願いいたします。
https://masaalaawaalaa.wixsite.com/masalawala
スケジュールもたくさん更新しました!いろいろやってますよ〜!
ここから見れます!
https://masaalaawaalaa.wixsite.com/masalawala/blank
今後ともよろしくお願いいたします!
え!?寿司屋で南インド料理で絵を描く!?魚友2019
今年もやります。
湘南の奇祭。
マサラワーラー結成前から続く伝統行事
『え!?寿司屋で南インド料理で絵を描く!?』
前回はこんな感じでした!
定員:25名(超絶満員、店からはみ出します!最高に暑いです。狭いです。そんな祭りです!それでも楽しめる方のみお越しください!)
*いま受付開始しました!このブログのコメント欄にて承ります!
お名前、人数を書いてくださいね。
日付は8/12(月・祝)
時間:17時くらいから(だいたい18:00くらいになります)
料金:3000円(生ビール飲み放題、南インド料理で描いた絵食べ放題、演奏し放題つき)
場所:逗子 魚友
〒249-0005
神奈川県逗子市桜山1-2-21
電話/FAX:046-871-3046
JR逗子駅・京急新逗子駅より徒歩10分
横浜横須賀道路逗子インターより、2.5km
「ナマステ富山」のときのレポートがメシ通にのりました!
名ライターのワダヨシさんの取材が実り、マサラワーラーのナマステ富山のときのレポートとインタビューがでました!
ぜひぜひ読んでみてください。丁寧な記事でおもしろいですよ〜!!!
未知のジャールカンド料理に挑戦!
こんばんは!マサラワーラーです!
先日、「ゴーゴー インド」などの旅行記でもおなじみ、旅行人の蔵前仁一さんの、インドの民族画コレクションの展覧会&トークイベント「インド先住民アートの村へ」というイベントがありました!
そこでのマサラワーラーの使命は「ジャールカンドターリー」を作って食べさせること!でした。
南インド料理を主に作っているマサラワーラー、北インド料理も一通りはつくれますが、ジャールカンド州には行ったことはないし、そこの料理を食べたこともない!
聞いてみると、ジャールカンド州というのはもともとビハール州から分離してできた新しい州らしい。
ということで、調べてみるとほぼビハールの料理。
そのなかから二人で手分けしてメニューをきめました。
1日目はドゥスカー(イドゥリみたいだけど発酵させない生地を揚げた料理)、キチュリ(コメと野菜の雑炊みたいな料理)、チャナグレイビー(ひよこ豆の煮物)、ルグラー(きのこのサブジ)、リッティ・チョーカー(リッティ:全粒粉の団子にスパイスで味付けした粉(サットゥ)を入れて焼いたもの。とチョーカー:焼いた野菜のマッシュ)、デーハーティーチキン(マリネした鶏肉をマサラで煮た料理)、生姜のアチャール(つけもの)
2日目は、蔵前さんの「白いコメとシャバシャバのダールが食べたい〜」というリクエストにより、キチュリの代わりにごはんとダール、そしてミックスベジのサブジをつけました。他の料理は1日目と同じです。
↓きてくれたお客さんのインスタグラムより。
会場でジャールカンドの行ったことがあるのが蔵前さんと京子さんの夫婦だけだったのですが、ビハールにいった経験のある阿部櫻子さんから「懐かしい」とのお言葉をいただいて、わりといい感じのものができたんじゃないかなあ〜って思いました。
インド料理はほんとに多種多様でまだまだ知らないことばかり。
これからもいろんなインド料理に挑戦してみたいなあ。
そして、できたら答え合わせの旅に出たい!と思いました。
蔵前さん、京子さん、KAILASの二人、スタッフのみなさん、そして何よりお客さんのみなさま、ありがとうございました!!

