新サスケ「雨の日」 | 新サスケと短歌と詩

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短歌と詩を公開します。

僕の第1詩集「みだれた足跡」より、次の作品を紹介する。


  雨の日

    新サスケ


妻にも内緒で仕事を休んだ雨の日

県立図書館に入って

囲碁全集とマルクス・エンゲルス全集を確かめて

あとにした

傘をさして歩く私の

惹かれるのは

家々の軒下の草花の鉢

チューリップの咲いた花

まだ葉がのびあがっているだけの株

おもと

つつじ

アザレアかな

ばら

かえで

さぼてん

さらに電信柱の根元の

わずかな土に

チューリップ あれやこれやを植えて


芽吹きに慰められ

緑の葉に慰められ

花ひらくを喜ぶ

人々はわずかな場所に草木の鉢を並べ

わずかな土地に草木を植え

育てるために必死の思いをし

生かせつづける


この執着は何なのか

小さきものを生かせつづけることへの

傘に雨を受けながら

つつましい人々の夢を見て歩く


(注 1部、訂正、改稿してあります)