「隣り合わせの命」
「隣り合わせの命」
1
生きている事が
不思議なくらい
いつも瀬戸際で
引っかかるように生きて
しがみつく弱さに
溜め息をつきながら
水平線のような
はざまで時を待つ
隣り合わせの命は
必然のふりをして
隣り合わせの命は
終わりを忘れさせる
無常が無惨な
仕打ちを投げかけて
問い続ける声だけが
透明に消されてく
2
歴史の本の1ページは
どれくらいの時間
誰かの記憶の隙間に
この一生はあるか
ぶらさがってる自分の
崩れそうな気配を
感じたままで繰り返す
行ったり来たりの心
隣り合わせの命は
守られているのか
隣り合わせの命の
その価値は何処へゆく
刹那の生死を
とわに感じさせながら
弱々しい浮力で
沈まないままでいる
海遊魚