近江商人の商いの心を描いた「てんびんの詩」という映画があります。
近江の商家の男の子が小学校を卒業し、父親から贈られたものは鍋の蓋だった。それを売ってこいと言う。それを売れるようになったら店を継がせる、と。
鍋の蓋だけを売るなんてことができる訳はない、と少年は思う。
それでも少年は泣きながらもその蓋を売ろうとする。しかし、蓋だけを買ってくれる人はいない。
苦労の末に、少年は商人としての心得を学ぶ。
おおよそこのような物語です。
私は会社勤めの時代は営業系の仕事に就いていた期間がもっとも長いです。
以前、ここへの投稿でも書いた「逃げるな、嘘をつくな、数字に強くなれ」はその時代に社長がよく仰っていた言葉です。
営業時代、私は売上ノルマというものを意識したことはありませんでした。それは良くないことかもしれません。
しかし、私はノルマのために売ることはしたくなかった。ただ一つ意識していたことは「常に誠意を尽くす」ということでした。
それは、自分が売る商品を自分でも使ってみるなどして徹底的に知ってその商品を好きになる、お客様が何を欲しているのかを対話を通じて知る、お客様が必要としないものは無理に勧めることはしない、買っていただいた後も訪問を続けて何か不都合がないかを聞く、等々。
そうすれば、結果は自ずとついてくる。そういう考えでいました。
「てんびんの詩」は私にそのようなことを教えてくれた人やモノのうちの一つです。そして、このような心は営業という仕事に限らず、普段の生活のうえでも必要なことだと思います。
「てんびんの詩」は教材用に販売されているものなので、おそらくレンタルDVD店にはおいていないと思いますが、何か機会がありましたらご覧になることをお勧めいたします。