新生JALとしての「求める人財像」をベースに、客室乗務職には特に以下の三つの要素を求めたいと思います。
① 心
② 資質(基本品質である知識と技術)
③ 人間力と感知力
「心」はその人の「資質」と「人間力と感知力」を支える大きな土台となるものです。お客さまの尊い命をお預かりするため、そしてお客さまと心の通い合うサービスを実践するためには、豊かで美しい心が何より大切です。具体的には、何事にも常に明るく前向きで、感謝や思いやりの気持ちを持ち、自然な笑顔のある、人としての基本を持った人であることです。
経営破たんを経て、JALに対する現在のお客さまの評価は、残念ながら他社の後塵を拝しています。その中で、新生JALは「世界で一番お客さまに選ばれ、愛される会社になる」という目標を掲げました。この高い山をめざすために、これからのJALを支える客室乗務員には、あらゆる場面で、お客さまの心に寄り添い、ご要望を先取りし、柔軟にお応えできることが求められます。それには昨日よりは今日、今日よりは明日というように、日々改善していく努力や、お客さまが感じていることを察して行動に移せる姿勢など、地道な労力を惜しまず、さらには豊かな心を育てながら、熱意と覚悟をもってこの目標に進んでいく人財であることが求められます。
「心」に加えて必要なものは「資質」です。「資質」にあたる基本品質、すなわち、安全とサービスについての知識や技術は、入社後、私たちが責任を持ってプロフェッショナルに育成いたします。厳しい訓練にも責任感、使命感をもってついてきていただきたいと思います。
そして最後に、「人間力と感知力」です。「心」と「資質」で客室乗務員の仕事は完成するのかもしれませんが、さらに「人間力と感知力」を備え発揮してこそ、世界一に至れるのだと考えています。「人間力と感知力」は言わば、良き個性をいかに生かして、ひとつのフライトを創り上げるかということです。「心」や「資質」といった土台や基本を備えたうえで、安全・サービスについて一人ひとりの気づきや感性といった良き個性を生かしてサービスを創造し、JALにしかないフライトを皆で、チームで創りあげたいと思っています。JALはフライトのたびに安心や期待が広がると、お客さまに常に新鮮な感動を得ていただくためには、以上三つの要素がとても大切だと考えています。
まず、数ある航空会社の中から新生JALを選び、志望していただけることに心から感謝を申し上げます。そのうえで求めさせていただきたいのは上記の「心」に通じる「熱意」と「考え方」です。
すべてのJALグループ社員が共有する「JALフィロソフィ」には、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という「成功方程式」があります。「能力」とは前述した資質(基本品質)です。これは厳しい訓練を通じて共に育ててまいります。一方、「熱意」は皆さんの意志しだいです。「能力」と「熱意」はそれぞれ0点から100点まであり、掛け算であることを考えると、自分の能力を鼻にかけ努力を怠った人よりも、自分には大した能力はないと思って誰よりも情熱を燃やして努力した人の方が、はるかに素晴らしい結果を残すことになります。そして、「考え方」はとても大事な要素です。「考え方」とは、生きる姿勢であり、マイナス100点からプラス100点まであります。素晴らしい考え方はプラスの結果を残すことができますが、掛け算ですから、否定的な考え方は、たとえそれがわずかであっても結果はマイナスとなってしまいます。「考え方」は日々の生活から正していくことができます。一日一日を大切に、感謝しながら過ごすこと、学校でもご家庭でも人に喜んでいただける行動をすること、困っている人に手を差し伸べることなど、今そこでできることを心がけて実践し、豊かな心、美しい心を育んでいただきたいと思います。小さな心がけひとつでも続ければ変わっていきます。
私たちは、この会社の歴史と現状を正しく理解し、新生JALに心から共感していただき、情熱と、覚悟と、誇りとを持って一歩一歩、仲間と共に世界一の頂をめざしていただける方に出会いたいと強く願っています。私自身も、客室乗務員として最前線の仕事を長く経験した者として、全乗務員の先頭に立って努力を続ける覚悟です。
お守りします、お客さまお一人おひとりの安心で快適な空の旅を
私たちの仕事は、お客さまの尊い命をお預かりし、安全に目的地までお運びする仕事です。
保安要員としての客室乗務員の役割は、責任感と使命感を持ってパーフェクトに果たされなければなりません。それは、決して何らかの緊急事態が発生してしまった時にだけ発揮されるものではありません。お客さまの安全と安心を守るために、一人ひとりが常に担っている役割なのです。
例えば、楽しいご旅行の最中に、お客さまが機内で怪我をしてしまったら・・・。機内で万が一火災が発生してしまったら・・・。そのようなことが起きないよう、客室乗務員は常に五感を働かせ、確認をしながら乗務をしています。飛行機の機内には、ちょっとしたきっかけで大きなトラブルにつながる可能性が多く潜んでおり、危険予知能力を働かせ、それらを事前に摘み取るよう努めているのです。また、万が一緊急事態が発生した場合にお客さまの安全を責任持ってお守りするための誘導や脱出手順、非常用器材などについての知識は保安要員として必要な要件です。尊い命をお預かりする仕事であることを胸に刻み、一人ひとりがプロ意識を持って毎回の乗務に臨んでいます。
心で感じ、心を尽くすということ
お客さまにとって最高のサービスを創り上げること。それが、私たちのもう一つの大きな役割です。
お飲み物やお食事のサービス、機内販売といった仕事をしながら、お客さまに少しでも快適にお過ごしいただけるよう、乗務員は常に考え、アンテナを張り巡らせています。例えば、小さなお子さま連れのお客さまの場合、お子さまを抱きながら当日多くの荷物を持ってのご移動や機内でお子さまが泣かれないかという不安な気持ち、そういったことを想像しながらお迎えします。また、長い飛行時間にもかかわらず、航行中お休みにならずにずっとお仕事をしているお客さまがいらしたら、タイミングを見計らって、温かい日本茶をそっとお出ししたり、お化粧室に立たれた際に少しでも気分転換になればとの思いから、青竹踏みでのリフレッシュをお勧めしながら会話をしたりと、客室乗務員はお客さまの様子を常に気に掛け、気持ちに寄り添い、お客さまのために何かできることはないか、と想像力(創造力と言った方がよいかもしれません)を働かせています。また、中には旅のお疲れから機内で体調を崩される方もいらっしゃいますので、お客さまの健康状態にも気を配りますし、基本的なファーストエイドの知識も身につけています。
お客さまが飛行機をご利用になる目的はさまざまですから、お客さまの想いやニーズも千差万別です。お客さまを観察し、ご要望をいち早くキャッチする、また、どうすればお客さまの心に届くサービスができるのか・・・心の感度を磨くことが求められます。
お客さま視点を徹底的に貫き、お客さま一人ひとりのご様子や会話から心で感じる。心を尽くしてサービスをする。それが私たちの役割です。感動していただけるサービスはマニュアルからは生まれません。だからこそ、お客さまと心が通じ合えた瞬間は、何ものにも変えられない私たちの喜びにもなるのです。お客さまから「JALに乗るたびに新鮮な感動がある」と言っていただける。そんなサービスをJALの客室乗務員は実現していきます。
キャリア・パス
入社後は初期訓練にて、JALの客室乗務員として必要な基本的知識と技量を学びます。訓練は大別して2つあります。1つは保安要員としての訓練です。この訓練では、緊急事態が発生した際にお客さまの安全を守るための脱出手順などを身につけます。もうひとつはサービス要員としての訓練で、JALの客室乗務員に求められるサービスマインドや、言葉遣い、英語、飛行機に関する知識など、その内容は多岐に亘っています。また、機内さながらの訓練施設にて、実際の乗務を想定したサービス訓練も繰り返し行われます。他にも急病人の発生に備えた救急救命措置や応急処置なども学びます。その後実機でのOJT(=On The Job Training)を終え、全ての審査をクリアしてから国内線乗務が始まります。
その後1年半ほど国内線乗務を経験したのち、更に訓練を経て国際線に乗務します。国際線ではサービスも多様になりますので国際線移行訓練では更に幅広い知識を習得します。食事やアルコール、各国の入国管理などの知識、また海外の文化や習慣など国際線ならではの訓練が行われます。国際線乗務開始後も、更なるステップがあります。JALでは乗務員の経験と能力に応じた育成を行なうことから、国際線ではまずエコノミークラスを担当、その後訓練を経てエグゼクティブクラスへ、更に訓練を重ねてファーストクラスを担当できるまでに仕事の領域を広げていきます。特にエグゼクティブクラスやファーストクラスでは、より高度な技量やより深い知識が求められますので、JALの客室乗務員はみな、自己啓発に余念がありません。
その他にも、訓練インストラクター、サービス企画、広報、宣伝などの分野で、これまで培った客室乗務員としての経験や知識をJALの品質向上に活かす業務に一定期間従事する場合もあり、活躍のフィールドは機内だけに留まりません。
また、乗務経験を積んだ後には、能力、適性に応じて仕事や責任の幅が更に広がっていきます。エグゼクティブクラス及びエコノミークラスのクラス責任者であるリードキャビンアテンダント、また機内の全責任を担うチーフキャビンアテンダント、更には客室乗務員のマネジメントを担う管理職へのキャリアアップなど、自分のキャリアを磨いていく環境が整っています。
