5、 長田の文ちゃん(その1)
家の前に、おじいさんの家と同じような門のある家がありました。
私が学校から帰る頃、いつもその門によりかかって立っている男の子がいました。
頭はくりくり坊主で、かすりの着物を短く着て、黒い鼻緒の下駄を履いていました。
或る日、私が学校から帰って来ると、その子は待っていたかのように、私のそばに来ました。
「ねえ、君、僕と遊ばない?」と云いました。
私は、「カバンを置いてからね」と云って、家に入りました。
私も近所に友達がいなくて淋しかったので、うれしくなってカバンを置いてすぐ外に出ました。
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