営業マンにとって、まさに理想形である「申し込み」という結果。

 

その結果が作れた商談を終え、僕はY係長と、帰社するために駅へ向かった。

 

 

いつも移動中は無口だったY係長だが、結果が作れたという達成感からか、いつもと違い、話しかけやすい雰囲気だった。

 

 

 

Y係長は以前1度だけあった営業部の飲み会でも、あまり積極的に会話をするようには見受けられなかった。

 

僕は、先輩たちがどんな状況から、どうやって営業で成果をしてきたのかがきになっていた。

 

同じ会社で、同じ新卒として入社し、どんな道を歩んだのか?

 

だれもが気になるところではないだろうか。

 

 

僕はここぞとばかり、質問に切り込んだ。

 

 

僕「Y係長の初契約は、どんなお客様だったんですか?」

 

Y係長「俺はなぁ、同期の中でもかなり遅かったんだ。」

 

僕「え、そうなんですか!でも、いまは2年目の方々の中ではかなり活躍されておられるじゃないですか。」


Y係長「今は順調にみえるかもしれないけど、1年目はなかなか売れなかったんだ。」

 

僕「Y係長にもそんな時期があったんですね。」

 

Y係長「今日の商談がまとまれば、お前の方が全然早いぞ。」

 

僕「そうなんですね。でも、コンスタントに成績を上げるためには、商談APOの取得も安定的にとっていかないといけないですよね。」

 

Y係長「そうだ。わかってるじゃないか。だから、早く契約がとれたとしても、調子に乗ったら終わりだぞ。」

 

 

Y係長のこの一言は、かなり重い説得力を感じた。

 

 

僕「はい。わかりました。

 

ちなみに、Y係長の最初のお客様はどんな方だったんですか?」

 

 

具体的に効きたくて、最初にした質問を、ここでもう一度質問した。

 


Y係長「電機メーカーの管理職の人だよ。」

 

僕「電話営業からですか?」
 

Y係長「そうだ。最初は興味ないって断られていたけど、何度も何度もかけ続けていたら、

 

’お前面白いヤツだな。そこまで言うのなら一度来いよ’

 

って言ってくださって商談APOが取れたんだ。

 

そこからN次長に同行してもらって、その日に申し込みになったんだよ。」

 

 

僕「すごいですね。お客様にそこまで言ってもらえるなんて、Y係長にもお客様にも男気をかんじますね。」

 

Y係長「そうだろ。そのお客様には翌月にもう一件買ってもらったぞ。」

 

 

普段はぶっきらぼうにみえるY係長が、笑顔で成功談を語ってくれた。