完全成果主義。
まさにこの言葉がしっくりくる職場だった。
僕が営業部に配属されたころ、同じフロアに5つの営業課があった。
右も左もわからないまま、ひたすら名簿と受話器にかぶりついていたころ。
僕は仕事に慣れるために必死になっていたころも、先輩方は成績を競い合っていた。
5つある営業課の1つのライン長。
新卒ではなく、もともと地方でマルチレベルマーケティングをしていたといううわさを聞く。
僕も学生の時にかじったことがあったので、どんな世界なのかはイメージできるが、
地方とはいえ、かなり成果を出していたらしい。
その仕事ぶりは、新築ワンルームマンション販売でも発揮されていた。
僕らが配属されて間もない5月。
入社4年目にして次長から部長代理へ昇格。
フロアには1つの部、5つの課があったが、そのF次長が部長代理へ昇格したため、2つの営業部、6つの課ができた。
昇格の辞令が出た時にF新部長代理が言った言葉、
「入社当初、僕は入社4年目には専務になっている目標だったが、それに対して大幅に遅れています。ここからはよりスピードアップさせ、会社も飛躍的に成長させます。」
という言葉が衝撃的だった。
仕事の「し」の字もわかっていない僕にとって、入社4年で専務という目標は考えられなかったが、マルチの時に教わった「できる目標設定」という話を思い出した。
結局自分はほとんど成果を出せず1年が経過してしまったが、フルコミッションの中成果をだした人は、いう事もオーラも違うなぁと感じた。
しっかりとした商品を売る環境があり、上昇志向の人たちと一緒に仕事ができるという事は、当時の自分にとって、とても心強く思っていた。