梅雨に入り、雨が降る日が続く。

 

研修期間3か月が過ぎ、正社員となった7月。

 

雇用形態が変わり固定給が上がったが、同期女子の勢いがすごく、うれしさよりもプレッシャーの方が少しずつのしかかっていた。

 

 

 

5月に大学時代の教授の紹介で商談APOが取れたI、

 

 

その時の話はこちらをどうぞ✋

 

123kgの巨漢

 

 

 

その時のお客様とは、結局2回商談をし、検討するという話で終わっていたようだ。

 

聞いている話だと、知り合いにも相談しているという事だった。

 

 

 

2回の商談APOが終わった後も、Iは定期的に電話でお客様とコンタクトを取っていたようだが、

 

しばらく進展はなさそうな雰囲気だった。

 

 

 

2か月ほど経過したある日、Iのそのお客様から連絡が入り、

 

「会社を見てみたい」

 

と言われているとのこと。

 

早速、来店APOを調整したI。

 

 

「会社を見たいという事は、前向きな可能性が高いぞ!」

 

今月、係長から昇進したS課長代理が、期待を込めてこう言った。

 

 

営業の「カタ」として、とにかく間をあけずスピーディに話を進めろという事を口酸っぱく言われていた。

 

間を開けると家族や知り合いからネガティブな事を言われ、購入に対してマイナスに働くから。

 

逆を考えれば、そうしなければ売れない商品だという事がわかる。

 

そのセオリー通りにはいかなかったので、どうやら先輩たちはこのお客様の見込み度は低かったようだった。
 

 

 

商談当日、お客様が来店され、IとS課長代理が応接室に入りで接客。

 

1時間くらい経過したころに、営業部を見学に来られた。

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

電話営業の最中、来店されたお客様にみんなで元気よくあいさつする。

 

お客様の若手の営業マンだけあって、終始ニコニコされていた。

 

その後、再び応接へ。

 

 

 

その30分後くらいに、IとS課長代理が戻ってくる。

 

戻って来るやいなや、

 

「申し込みもらいました!」

 

Iが、大きくて高々とした声で、言い放った。