電話営業の世界では(僕が所属していた会社だけかもしれないが)、電話を打つことを「打電」と呼んでいた。

 

1打電、2打電とカウントする。

 

「今日の目標は何打電だ?」

 

朝礼でよく上司にきかれたセリフだ。

 

 

経験値が少ない新人は、1日あたり300打電が一つの目標となる。

 

そのうち主権者につながるのは、20~30件くらい。

 

主権者につながるまでは淡々と業務的にスピーディにこなしていき、主権者につながった瞬間、フルテンションに切り替える。

 

とにかく好印象を残すためだ。

 

 

基本的に、相手は仕事中。

 

一方的に個人的な内容の商品を売り込みにかかるので、要件を伝えるとほぼ切られる。

 

「興味がない」か「忙しい」という理由が大半。

 

まぁ、実際には興味がなくても仕事中で忙しい状況だったら、断り文句として「興味ない」と言ってしまうのもわかる。

 

まわりの目もあるし。

 

 

 

 

それから、営業成績の上がっていない社員の事を「タコ社員」と呼ぶ。

 

2か月成績が上がっていなければ「2タコ社員」という感じ。

 

3タコしてしまうと、固定給が下がる仕組みだった。

 

 

ちなみに、同じ意味合いで「ボウズ」と呼ぶ地域もあるようだ。

 

 

 

新入社員の研修中(3か月間)はカウントされず、4か月目から3か月間、つまり入社して半年経過した時点で成績が上がっていなければ、給料が下がってしまうという事になる。

 

結果重視の世界。

 

周りを見ると、新卒で入社して10年経過した係長がいたり、入社4年目で部長になっている先輩もいた。

 

まさに弱肉強食・下剋上の世界だ。

 

 

 

入社年齢も性別も関係なく、スタートラインも同じ。

 

年下の女の子が、突然上司になるという事も、十分にありえる状況だった。

 

 

当時は同期の女子の勢いがすごく、男に比べて商談APO取得の量、契約の量もスピードも速い。

 

強力なプレッシャーが、僕らに襲い掛かってきていた。