Al、Zn、Sn、Pbは両性元素として知られる。私は授業では語呂合わせで『あ(アルミニウム)あ(亜鉛)すん(Sn)なり(鉛)』と教える。そして、周期表でこれらより左側がアルカリの性質を、右側が酸の性質を示すこととなる。例えば両性元素より左側のNaの酸化物Na2Oは塩基性酸化物であり、塩基としてふるまう。一方、両性元素より右側のSの酸化物SO2やSO3は酸性酸化物であり、酸としてふるまう。ではAlのすぐ隣のSiはどうなのか・・・。

 先月の化学の集まりで、実験が示された。まずSiの性質について追ってみよう。Siの単体は半導体として知られる。Siを加熱した後にオルゴールと接続すると、一方のSiはオルゴールが鳴るのに、もう一方はほとんど聞こえない。一方プロペラについては、片方は回るのに、もう一方は回らない。この差は・・・。実は試薬屋で手に入るSiのうち一級か特級で差が生まれるのだ。特級の方が純度が高いため、本当に電流がほとんど流れず、一級はわずかに不純物を含むため電流が流れるのだ。

 では、酸性酸化物である性質を見るにはどのようにすればよいか。ここではSiの粉末を使う。結晶ではSi-Siの共有結合が強いため、反応が進まないのだ。加熱したNaOH水溶液の中に入れると水素を発生する。一方塩酸には反応せず、Siは酸性の性質を持つことが示せるのだ。