初めて彼の演奏を聴いたのは、横浜の馬車道の近くにある、パラダイスカフェという、友人のやっているライブハウスだった。

 

左手で、いい感じのベースラインを弾きながら、右手は、クールなバッキングと歌のレスポンス(response)を、こともなげに演奏していた。それを聴いた瞬間に、目が丸くなるぐらい、ビックリした。

 

この驚きは、だいぶ前のことではあるけれど『Tower of Power 』と大阪の府立体育館で共演した時に、ハモンドオルガンの名手 チェスター •トンプソンが、ハモンドのPorta B-3 を弾きながら、コーラスも歌いながら、足で早いテンポのベースラインをこともなげに弾いていたのと似ている。曲は、確か『What is Hip』だったと思う。

 

ライブ中に、ベーシスト フランシス•ロッコ•プレスティア(Francis Rocco Prestia )が、突然両手を挙げる、しかしベースの音は、鳴り続けている。今のデジタル化しているステージならわかるが、アナログど真ん中の時代に何故ベースが聴こえる?と全ての聴衆が思うその時、チェスターにスポットがあたりそれがオルガンベースだと分かる凄い歓声が聞こえた。

 

パラダイスカフェでも、僕は1人で歓声を出していた。

 

ステージが終わるやいなや僕は堺くんに「一緒にバンドをやりたいです!」と言うと、彼は快く了承してくれた。それから、たくさんのセッションをやった。

 

彼は、僕に、ボソッと『ブルーズは、あまり上手くないんですが。』と言う。彼のブルーズのソロは、以前に見た、B.B King  Blues Session に出て来たクラプトンや、スティーヴィレイヴォーンという、ブルーズミュージシャンの中で弾いているジェフ• ベックと、よく似ている。

 

しかしそれこそが、彼のやり方であり、彼しか出来ないワンアンドオンリーであり、本当にいつも感動する。ある時『Soul Power 』という曲を作り、譜面にクラビネットと管楽器のセクションを書き、それをKenny と樋沢くんと堺敦生とYoshie.N4人で演奏したことがある、彼は左手でクラビネットを弾きながら、右手でホーンセクションを弾いた‼️右手だけでも難しいのに、左手でクールなグルーヴをキープする‼️

 

ジャズやフュージョンやR&Bやシャンソン、日本の音楽やすべてのジャンルを超越して堺敦生は存在する。ちなみに彼は、ドラマーでもある。

 

アルバム「Final Frontier」で堺くんとレコーディングした「In our Life」をたくさんの日本のミュージシャンに聴かせると、イントロのクラビネットのフレーズにみんなが驚く。「これ、誰、日本人じゃないよね?」と決まって聞く。そして僕はこれは堺敦生だよ!と自慢する。

 

圧巻はYoshie.Nと堺敦生の2人だけでレコーディングした『Wonder of Wonders』だ‼️ これは是非聴いて欲しい。

 

改めて、ピアニストとしての凄さを感じています。