思えば17才の時にAnimals (アニマルズ)のコンサートに行き、
リードヴォーカルだったエリック バードンが歌う
「Boom Boom」を聴いた。
その時、僕は身体中に電流が流れるぐらい感動した❗️
こんな素晴らしいモノが世界にあったんだ!
絶対これをやろう、Singer になろうと思った。
それから長い月日が流れある時兄が、「これはお前が持っていた方がいい 」と
僕に父の遺品のような2冊の楽譜集をくれた。
ベートーヴェンの交響曲第九番と、
ブラームスのアルトラプソディーだった。
父、上田正臣(まさおみ)は僕が物心がついた時には、もう家にはいなかった。
父は結核を患い、兵庫県三田市にあった国立結核療養所に結核入院をしていた。
だから父の思い出は、ほとんどない。
唯一覚えているのは、2ヶ月に一度療養所に見舞いに行った時の
ベッドで寝ている姿だ。
この当時結核は重い病気で、死亡率も1番高かったらしい。
父は敬虔なクリスチャンだった。
ベッドの脇には、常に聖書が置かれてあった。
父は、34才で逝った。
僕が9才の時だった。
最近よくこの楽譜を見ている。
嬉しいのはブラームスのアルトラプソディの手書きの譜面の右下に
m Ueda (1st tenor )と書かれてあるのを、発見したことだ。
ブラームスを哲学者ニーチェが批評している書簡を自筆で書き、
その後に自分のブラームスに対する賛辞を書き入れている。
ブラームスの楽譜集の最後のページに自筆でゲーテの
「冬のハルツの旅」を書き込み、
右下に京大合唱団上田正臣と書いてある。
この楽譜集を見ていると 父と対話しているように思う。
父と一緒に過ごす時間がなかったが、
今この楽譜集を通して父と穏やかに話が出来ている。
ここから父の意志も引き継いで、
上田正樹は集大成に入ります。
自分のルーツを発見して、
ちょっと誇らしい気分になりました。