愛媛から東京に向かう飛行機の中だ。

今の自分に果たして翼は生えたのだろうか?



明日はいよいよガンバレ☆プロレス後楽園ホール大会だ。

ガンプロがなければ今の自分はいない。

そう強く思う。




2013年2月

左足首を複雑骨折。
同月に予定していた「学生プロレスサミット2013」のメインイベントを欠場することになった。

その後控えていたユニオンプロレスでのプロデビュー戦も延期。



辛かった。


2013年4月

複雑な気持ちのまま博報堂に就職した。

大手広告代理店だ。

心は迷っていた。

すごく迷っていた。

一流企業でお金を稼ぎたいのか。

広告の仕事に人生を賭けたいのか。

それともまだ、プロレスがしたいのか。



人生の分岐点に、ボクはいた。


2013年〇月

スーツ姿に左足首にはガチガチのギブス。
まだ研修期間だったため、会社を定時で出た僕の足は、自然と新木場に向かっていた。


そこには学生時代からお世話になっていた

木原さんがいた。
ばってんさんがいた。
今成さんも叫んでいた。

そして大家さんがいた。


ガンバレ☆プロレスが、そこにあった。


まだ、プロレスがしたいのか。

プロレス、頑張ってみたいのか。

自分に問いかけた。




プロレスを……やろうと決めた。



2013年7月28日
ユニオンプロレスでプロデビュー戦を迎えた。

石川修司戦。
ボコボコにされた記憶がある。

でも何か物足りなさを感じた。

それからもずっと物足りなかった。

その物足りなさは自分の背中に重くのしかかり、次第に苦しくなっていった。

プロレスで迷った。


会社員としても、迷っていた。

とてもとても、迷っていた。


誤解を承知で言うならば、ユニオンプロレスにいた時の自分は、どこか遠慮して、本気でプロレスに向き合えていなかった。


そして、会社員としての僕は、毎日毎日仮面をかぶって、仮面をかぶってしかいなかった。

次第に息苦しさは、生きづらさに代わり、

自滅していった。

全部自分のせいなのだ。




会社を辞めた。

人生で初めて完全なる敗北を迎えた瞬間だった。

2014年1月のことである。




時を近しくして、ガンプロがユニオンプロレスに殴り込んできた。

こちらも語弊を承知で言うならば、とても嬉しかった!

人生の勝ち組から負け組に転落しようとしていた僕にとって、

今成さんや大家さんは、最高にロックで最高にカッコよく見えた。


だから本気で殴りあった。

本気で、ガンプロで試合していきたいなと思った。


だんだんと、心が解放されてきた。


それからガンプロによく上がるようになった。

河村とのガンプロ参戦は良い思い出だ。

月イチだったけど、その日が来るのが楽しみでしょうがなかった。


2015年2月

調子に乗った。
SNSが炎上した。

今思うとバカだった。


その時真っ先にメールをくれたのが、

マッスル坂井さんと大家さんだった。

救われた。


最高にダメなことしたのに、最高の転機を迎えた。


腐らずに、頑張ろうと思った。



2015年春

復帰した。
シバターと出会った

彼は最高にクレバーで、最高にひねくれている。
刺激をたくさんもらった。


炎上軍が出来た。
のびのびと、プロレスが出来るようになった。

初めてユニットというものに入れて、

そのユニットに誇りが持てた。

嬉しかった。



2015年6月

振り切れた。

ガンプロの王子大会で、挫折しかけた自分の思いをぶちまけることができた。

ありがとう大家さん。
ありがとうシバター。
ありがとう炎上軍。
ありがとうガンプロ。


それから、自分のプロレスに迷いがなくなってきた。



ガンプロで試合する時は、色んなものから解放された。

だから、見ているお客さんにも自由になって欲しい。

色んなものから解放されてほしい。



自由の精神が、この頃から芽生えた。
いや、昔から心の底にあった自由の精神を思い出してきたのだ。






2015年10月

ユニオンプロレスが解散した。

答えはとっくに決まっていた。

自由に生きると。


そんな折にKAIさんと出会った。

学プロの先輩である翔太さんと合流した。

自由な仲間たちと、大家さんが繋がった。


点が線になった。



だからプロレスは面白い!

だからプロレスはやめられない!



学生プロレスサミット2013で上がれなかった後楽園ホールのメインイベント。

形は違えど明日、後楽園ホールのメインイベントのリングに立つ。


これもまたプロレス。


プロレスって素晴らしい。





ありがとうプロレス。
ありがとうガンプロ。
ありがとう炎上軍。

ありがとう大家さん。




色んなありがとうがリングに集約されていく。


だからこそ、思わず明日の自分にこう言い聞かせたくなる。


ガンバレ☆俺。


2016年10月2日
いざ、決戦。