*全て妄想です












「どういう意味だ? 人の怖がるところを見て笑うってのか!!?」



怒鳴る翔くんにどうしようと思いながら、和くんの言うことが分からなくて………。

大野くんが和くんを庇うように和くんの前に出た。
大野くんは何も言わないけど、怒鳴った翔くんを睨む。

和くんはひとりクスクス笑って大野くんの肩に手をやり、大丈夫  と言った。



「怒んないでよ。これでも一応悪いとは思ってるんだけどね。
笑うために肝試しをやったんじゃないよ。短い時間でみんなの本性が分かるのに手っ取り早いと思ったんだ。で、分かった」



どこか悪いと思ってんだよ。とぶつぶつ言って ムッと怒ってる翔くん小瀧くん藤井くん。僕もいい気はしないけど、どうして見たかったのか気になる。



「んで?お前の思惑通り分かったんだろ?どうだったんたよ?」



「うん。みんないい人だね。小瀧くんと藤井くんは怖がりだけど嘘のつけない素直な人。ふたりが祠で何か見たって言ってたのは見間違いだよ。風も吹いたでしょ?」



「………そう言えば…………うん。吹いてた……気がする」



「木が揺れたのを怖くて見間違えたんだよ。きっと。なんせ俺ら一度も見たことないし」



そう言った。………ってことは何回か行ったことあるんだ………。




「で、櫻井くんは…」



和くんが翔くんの側に行き、耳打ちした。
何て言ったのか分からないけど、翔くんが目を大きくしてびっくりした。口をパクパクして顔が赤くなっていった。



「あたり、でしょ?」



クスクス笑う和くんに何も言わず ふんっ と顔を背けた。



何だ  どうしたんだ?と藤井くんと小瀧くんがふたりに詰め寄るけど、翔くんは  うるせえ!!  と言い、和くんは知らん顔。

僕は和くんを見る。
和くんは僕が見てるのに気付くと、ニコッ と笑って  良かったね  と言った。………けど



「和くん?」



「ん?大丈夫。そのうち分かるから。まーくん、もし この先 困ったり迷ったりしたらここにおいでよ。俺が居るから、ね」



僕は意味が分からなかったけど、頷いた。きっといつか分かる日が来る気がするから…。



「おい!俺たちのことは分かった!雅紀のことはどうなんだ!?」



「まーくんは、昨日ゆっくり話したし、おじさんの息子だからね。言わなくても翔くんには分かるでしょ?」



意味ありげに翔くんに微笑む和くん。
翔くんはまた ムッとしたけど  もういい   と言ってテーブルにある置いてある買ってきたペットボトルのお茶を飲んだ。



和くんたちが帰る間際、和くんが翔くんたちと話してる時、大野くんが僕にこっそり言った。



「和は人が怖いからつい試すようなことをする。けど、本当は優しいんだ」



と 笑顔で教えてくれた。










つづく