「深井龍之介さんと波頭亮さんの対談」に刺激を受け、「サルトルの実存主義」、そして「レヴィ=ストロースの構造主義」について自分なりに学んだことを、自分の頭の整理がてら書きなぐってみるシリーズ。
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前回は「サルトルの実存主義」について書いてみましたが、今回は「レヴィ=ストロースの構造主義」に挑んでみたいと思います。

 

 


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いやー、この構造主義は本当に難解でして、何度聞き返しても「ちょっと分かった→やっぱりわからない」を繰り返すような感じだったのですが、これについても「現時点での私の頭の中を整理する」という目的で書き記してみたいと思います。
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この構造主義についてまず思ったことは、「構造主義とはなんぞや?」を正しく理解することよりも、「構造主義的な視点を持つこと」が今日の世界では重要だなと、そう思いました。
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順を追って頭を整理していきますと、サルトルに対する批判のような形でレヴィ=ストロースの構造主義は出てきたので、その流れから始めます。
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サルトルの思想はプラトンから続く西洋哲学の集大成のようなもので、前回の記事を思い出していただきたいのですが、「実存は本質に先立つ」からの「アンガジュマン」の流れですね。
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その流れをざっくり言いますと、
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✅ヘーゲルの弁証法のとおり、テーゼ × アンチテーゼ ⇒ アウフヘーベンという形で歴史が発展してきたのは事実
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✅ゆえに、そんな歴史(を積みあげた社会)に対して主体的に関わっていけば社会は発展していく
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✅そして人間は本来自由な存在なのだから、まずは自分がどのように生きるかを自分で決め(実存は本質に先立つ)、そして歴史(社会に)に対して主体的にかかわっていけば(アンガジュマン)、自ずと社会は発展していくことになる
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✅だから、そのような生き方を目指して行こう

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という、そんな感じかなと理解しています。
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そして、このサルトルの考えには
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「西洋社会は発展していて、未開の地(ブラジルの部族社会など)は遅れている」
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という前提があり、このような「アンガジュマン」的な関わり方をしていくことで、そのような遅れている地域も西欧のように発展していきますよと、かなり上から目線で未開の地の人たちを捉えていたんですね。
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まあこれはサルトルが傲慢というよりも、先進国に住む人間であれば(私も含めて)、誰しもが少なからず持っている感覚ではないかと思います。
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で、そこに立てついたのがレヴィ=ストロースなんですね。
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サルトルの考え方って完全に西洋人の視点であり、ユニバーサルなものじゃないですよねと。今風に言うと「それってあなたの感想ですよね?」という感じのことを言ったわけです。そしてそれを単なる思いつきで言ったわけではなく、むっちゃ考え抜いた結果言ったわけですが、その考え方が「構造主義」になります。
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では、構造主義というのはどういうものかというと、、、これはほんとに難解だったので私のざっくり解釈でお伝えするのですが、結論からいいますと、西欧人であれ未開の土地の部族であれ、ものすごく抽象度を高めると思考様式は同じであると言っているんですね。
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だから、未開の地の人は西欧人に比べて劣った人たちではなく、西欧人ともヨコの関係の、あくまでフラットな立ち位置にいる人々なんだと。そんなことを言ったわけですね。
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どういうことかといいますと、当時の西欧人は未開の土地の人達に対して、呪術的といいますか、合理的ではないよくわからないことをやっている人たちに見えていたんですね。だから「知性の劣った遅れている人たち」だと捉え、そんな人たちも西欧的な知性を身につけていけば、西欧のように発展できると、そんなふうに思っていたんです。
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ですがレヴィ=ストロースはその点に疑問を持ち、西欧人が未開の地としているブラジルの部族の中に入っていろいろ調べて研究したんですね。
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で、いろいろ研究した結果、彼らの思考の根源を突き詰めていくと、ある2つの対立概念を用意し、その対立概念と照らし合わせながらその他の物事を捉えていくという、そんな考え方をしていることを突き止めました。つまり、西欧人からは呪術的に見える挙動にも、よくよく調べていくと、そのような「思考様式」が存在していたということですね。
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で、その「ある2つの対立概念を用意し、その対立概念と照らし合わせながらその他の物事を捉えていく」という思考様式は、「西欧の人」も「未開の地の人」も同じであるとし、だから両者の間に「進んでいる」も「遅れている」もないんだと、そう主張したわけですね
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表層的に見えている具体事象は全然違うもののように見えるけど、その根底にある思考の「構造」は同じであると。ゆえに「構造主義」と言われているわけです。
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以上ここまでが、私なりの構造主義に関する「超ざっくり解釈」なわけですが、ここからは現代社会においてどのような示唆があるか、私なりの考えを書いてみたいと思います。
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コテンラジオでも深井さんが仰っていたのですが、現代社会においてこの構造主義の考えを活かすとするならば、難解な構造主義をちゃんと理解することを頑張るよりも、「構造主義的視点」を持つことが大事だなと思いました。
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それはレヴィ=ストロースがサルトルに対して指摘した、「それってめっちゃ西洋的視点だよね?」という「視点」ですね。
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現代社会においては、特に「どっちが優れている・劣っている」という考えに振り回されがちですが、その「優劣」の視点によって、いろんなしんどいことが起きているような気がします。
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例えばキャリアですね。
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現代でいうと、「お金を稼いでいる人は偉い人」「お金を稼いでいない人はダメな人」「だからみんなお金を稼げるようにならないとダメだ」という「視点」が少なからずありますよね?
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たとえば年収数百万円の会社員が年収1億円稼いでいる人を前にしたら、思わず「なんかスゲー人だ」と思っちゃうじゃないですか。
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だけど、その根底には「幸せを感じながら生きて行きたいと思い、その実現のためにキャリアを育んでいる」という共通した「構造」がありますよね?
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そしてその「幸せ」の形は人それぞれなので、そのような「構造」まで降りて相手を捉えると、良いも悪いもなく、関係はフラットであると認知できます。
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だから、表層的な「年収」で優劣を決めるのではなく、そのような「構造」を捉えることで、あくまでフラットな関係性だと認識することができれば、これからの社会を生きて行くうえでとても「生きやすくなる」と思うんですね。
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また、先日読んだ別の本からの示唆としては、「地域活性化」に対する考え方なども似たような問題をはらんでいるなと思いました。
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都会に住んでいる人は、「衰退した地域は活性化しないとダメだ」と思って地域に関わったりするんですけど、実は現地の人は「現状維持」を望んでおり、「放っておいてくれ」と思っていたりします。
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都市部の人は地方の表層的な部分を見て、「地方も発展したほうがいい」と思うわけですが、根本の「構造」に降りて考えてみると、「それぞれが幸せを感じる生活を望んで暮らしている」という構造がそこにはあります。
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そう考えると、都会の人からみたらたとえ村社会的で息苦しそうな社会に見えても、根本には「それぞれが幸せを感じる生活を望んで暮らしている」という同じ「構造」があり、今の状況で幸せを感じているのであれば、「なるほど、そういうスタイルなのね」と相手を尊重できるんじゃないかと思います。
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※もちろん別の問題として、「社会インフラがこのままでは維持できない」といった「物理的な問題」をはらんでいるのであれば放っておくわけにはいきませんが。
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そのようなことを考えると、ちょっと論理の飛躍になるかもしれませんが、構造主義は「相手を尊重する」とか「多様性を尊重する」といった文脈で、これからの時代では非常に重要になってくる概念かもしれません。
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1つの正解とされる生き方がなくなり、それぞれが多様な価値感に基づいて、多様な生き方を模索せざるをえない時代に突入した今、この「構造主義的視点」は、「相手の目線に立って考える」「相手の考えを尊重する」「多様性を尊重する」といった「わかっちゃいるけど、ついつい忘れがちなこと」を思い出させてくれる、そんな思想かなと思いました。
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以上、とりとめもなく書いてしまいましたが、一旦現時点での私の解釈・考えを書き残しておくということで、また日が経ってから見返してみて、理解をじわじわ深めていければと思っています。
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読んでいる皆さんが、少しでも参考になったのであれば幸いです。
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<参考にした解説のリンク>ㅤ


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『実存主義とは何か』J.P.サルトル1
https://voicy.jp/channel/794/112632
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『実存主義とは何か』J.P.サルトル2
https://voicy.jp/channel/794/112633
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『実存主義とは何か』J.P.サルトル3
https://voicy.jp/channel/794/113787
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知の巨人 レヴィ=ストロース 〜世界を席巻した文化人類学者の足跡〜【COTEN RADIO ジンブンガク #01】
https://youtu.be/fLBdrmq8HuU
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構造主義への目覚め 〜チョキをチョキと認識する為に知らなきゃならない言語の本質〜【COTEN RADIO ジンブンガク #02 】
https://youtu.be/jztJx5UQBHM
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構造なんなん?インセスト・タブーが明らかにした数学と婚姻の数奇な関係【COTEN RADIO ジンブンガク #03】
https://youtu.be/ElCF_xksyU0
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構造主義とは何なのか? 〜西洋哲学の腹を食い破るエイリアンの正体〜【COTEN RADIO ジンブンガク #04】
https://youtu.be/npW5IeC8S3I
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今日も読んでいただきありがとうございます。​



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