ライフシフト塾の服部です。

​ずっと気になりながらも読んでいなかった「ファイナンス思考」を今回読んでみたのですが、キャリア視点でも示唆があるなぁと思いましたので、そんなことをいろいろ書いてみたいと思います。

 

 




━━━━━━━━━━━━
▼ファイナンス思考とは
━━━━━━━━━━━━

まずこの「ファイナンス思考」で書かれていることはどんなことかと言いますと、「短期視点」ではなく「長期視点」で考えようということですね。その長期視点で考えることを「ファイナンス思考」、逆に短期的な思考を「PL脳」と呼んでいます。



まずはPL脳について簡単に説明しますとPLというのは損益計算書のことで、「売上がいくら」「利益がいくら」という世界ですね。そして、損益計算書というのは「一会計期間」で評価するものですので、最長で1年です。なので、「この1年どうだったか」にフォーカスして考える姿勢というのが「PL脳」ですね。


一方「ファイナンス思考」というのは、ファイナンスの「企業価値」にフォーカスする視点ですね。企業価値というのは「この企業は将来どれだけのキャッシュを稼ぐのか」という長期視点の指標です。巷でよく聞く「企業価値の最大化」というのは、「将来に渡ってどれだけ稼ぎを多くするか」ということですね。ちなみにその「企業価値」を発行済株式数で割ったものが株価になります。だから株価が高い企業というのは「将来むっちゃ稼ぐと思われている企業」ということです。


で、この本で強調されているのは、日本企業にはPL脳が蔓延しているということ。この1年の売上、利益ばかりにフォーカスしているということですね。新聞報道でも「増収増益」「減収減益」という言葉をよく聞くと思いますけど、これは「売上の増減」「利益の増減」を意味するものですので、企業だけでなく報道機関もPL脳になっているということです。


で、「PL脳は悪いのか?」ということなんですけれども、昔の高度経済成長期は悪くなかったんですね。人口ボーナスなど外部の追い風要因に恵まれ、経済のパイが放っておいても大きくなっていった時代ですので、「PL脳」ベースで活動しても企業価値が増えていくという「ファイナンス視点での効果」も結果として実現していたんですね。


だけど、バブル崩壊以降の30年間はそういう時代ではなくなり、PL脳的行動様式では企業価値が増えていくことがなくなりました。なのでこれからのVUCAの時代は一時的に売上や利益が落ち込んだとしても、長期的に企業価値が伸びていくような投資を積極的に行っていく「ファイナンス思考」で考えていくことが必須です、というのがこの本の主張です。有名なところではAmazonがそうですよね。ずーっと赤字でしたけどそれは企業価値向上のための投資をガンガンやっていたから、というのは有名な話で、今のAmazonを見れば誰もが納得できますよね。


と、ここまでこの本の話をざっくりと書いてみたのですが、「これってキャリアでも同じことが言えるよなー」「人生100年時代のキャリアについては特にそうだなー」と思いましたので、その辺についてちょっと書いてみたいと思います。


━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼キャリア視点でのファイナンス思考
━━━━━━━━━━━━━━━━━


キャリア視点におけるPL脳ってどういうものかな?と考えてみたんですけど、一番当てはまる行為は「今月の残業代を増やすことに汲々とすること」でしょうか。特段忙しくないにも関わらず、仕事をダラダラやって残業代を増やすという行為ですね。これ、かつての自分もやったことがあることをここに白状いたします(笑)


この「仕事をダラダラやって残業代を稼ぐ行為」というのは、確かに今月の給料はその分増えますけど、ビジネスパーソンとしての成長はしていないですし、成長するために投資すべき時間を浪費している行動とも言えますよね?
ということで、長期的な自分の稼ぐ力を高める行為とは真逆のPL脳的行為と言えます。


一方でキャリア視点におけるファイナンス思考的な行為はどういうものかと考えてみると、大きく分けて2パターンあるかなと思いました。


1つは、昇進や転職に必要な経験を積んだり専門性を磨いていくための勉強をしたりすることで、将来的な給与アップを目指していくという姿勢ですね。
こういった自分への「投資」に時間をかけていくことで昇進や転職を実現し、将来稼ぐ総額を増やしていくという行為は企業価値ならぬ「自分価値」を高める行為ですので、まさにファイナンス思考的な行為と言えるんじゃないかと思います。


ただですね、この場合留意しないといけない点がありまして、人生100年時代を見据えるとそれだけでは不十分かもしれないということです。


先ほどのパターンですと「60歳定年で後は余生」が許される時代であればそれでも問題ありませんが、年金の仕組みと人口動態を考えたらそこからさらに20年長く働いていくのがこれからの時代です。
ということでその先20年間稼いでいく準備が必要になるのですが、それが「昇進」や「転職」に最適化した自分への投資だと、下手すると定年を迎えた時点でその自己投資が無効化されてしまう可能性もあり得ます。


もちろんその専門性を活かしてもう20年働いていくこともできるかもしれませんが、その場合も1つ条件があります。それはその専門性が「自分のやりたいこと」であることです。もしそれが「できるけど、やりたくないこと」であれば、それを定年後20年も続けていくのは精神的にもちょっとしんどくなってしまいますよね。


じゃあどうすればいいのかというと、そこで登場するのがもう1つのファイナンシャル思考パターンである「定年後に自分のやりたいことで稼いでいく準備を40代のうちから始めていく」ですね。もう少し具体的にいうと、「定年までは現職の仕事で食べていき、その裏では自分のやりたいことである『自分軸』を定め、その自分軸に沿ったことで稼いでいく準備をじっくり進めていく」ということです。


そしてこれがまさに書籍ライフシフトの中で「レクリエーションからリ・クリエーションへ」という文脈で語られていることですね。


ということで、短期視点で給与を上げていくための自己投資も素晴らしいのですが、人生100年時代を迎えた今は「80歳まで稼いでいくためにはどうしたらいいか?」という長期視点に立った自己投資がこれからはより大事になってくると私は思っていまして、それが人生100年時代のキャリア視点での「ファイナンス思考」になるんじゃないかと思いました。



ということで、今日はファイナンス思考をキャリア視点で考えてみたというお話でした。少しでも今後の生き方のヒントになれば幸いです。



 ​
 ​
今日も読んでいただきありがとうございます。​



━━━━━━━━━━━━━━━​
▼無料コンテンツ​はコチラ

【8日間動画講座】
ライフシフトの「基礎知識」​

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 ​
━━━━━━━━━━━━━━━​
▼ライフシフト塾第3期準備中​

募集は2021年2月下旬の予定です​
━━━━━━━━━━━━━━━​


━━━━━━━━━━━━━━━​
▼お客様の声はコチラ​

 

━━━━━━━━━━━━━━━​


━━━━━━━━━━━━━━━​
▼講師プロフィール(しくじりの歴史)はコチラ​

 

━━━━━━━━━━━━━━━​


━━━━━━━━━━━━━━​
▼ライフシフト塾の
   全てを知りたい方はコチラ​

 

━━━━━━━━━━━━━━