089. BOB CHOW SPECIAL .45 (Vol.2)
1970年代後半から80年代にかけて日本人で銃器に興味のあった人たちはたぶんイチローといえばガン・フォトグラファーでシューターでもあったイチロー・ナガタ氏を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか、氏が当時GUN誌上で繰り広げたいくつかのシューティング・マッチの記録は当時のガン・ナッツの心をとらえていました。そして1981年10月号に掲載されたこのボブチャウ・スペシャルの衝撃は今でも鮮明に思い出されます。 当時多くのシューターが45オートのカスタムを使っていましたが、いずれもかっちりエッジの効いたカスタムが主流で、この天才ガン・カスタマーでシューターでもあるボブ・チャウ氏がイチロー氏のために造った45オートのすべてのエッジを削り取ったルックスはあまりにも新鮮に感じました。エッジを落として角をなくすというイメージは丸みを帯びた優しいルックスを想像させますが、実物はその真逆。史上最強のコンバットガンの名も聞こえてくるほどの精悍さで僕たちのハートを鷲掴みにしました。
モデルガンはMGCのカスタム品でかなり細部まで忠実にナガタ氏の実銃を再現してくれています。それでは細かく同機の特徴や購入後に手を入れた個所など見ていきましょう。
グリップ前面の滑り止め加工はチェッカリングやセレーションではなくステッピング。普通カスタムガン・メーカーは自社の工房を持ち各種の機械工作により加工するのが常識なのですが、このボブチャウ・スペシャルに関してはほぼすべての工程をボブ氏本人が各種のヤスリ等を駆使してハンドメイドで仕上げられているということです。
ステッピングはトリガー・ガード前面にも。トリガーはセレーションなしのアジャスタブル。
実際のGUN誌1981年10月号が手元にないのではっきりとは言えませんが、たしか登場時のメイン・スプリング・ハウジングはノーマルだったような気がします。現在ナガタ氏が所有している同機の動画を見ると、ストレートでステッピングが施されているタイプになっているので、ここはたぶん追加で特注されたものではないかと想像しています。購入時にはアーチ型の通常版が付いていたのですが、他の機種を購入時についてきた画像のアーチ型にステッピングがあったので今はこちらを付けています。
グリップはMGCの木グリを加工したものが付いていたのですが、一番上の部分が平らになっていたりマグキャッチリリース用の抉れが中途半端だったりしたので、ヘレッツ社の実銃用木グリを加工してつけてあります。
独特な形状のナショナルマッチ用リアサイトもすべて角を落とされています。ここの再現はばっちりですね。
フロント・サイトとスライド最前部。
バレル・ブッシングも丸く削られて、前にはCHOWの刻印が・・・文字の横の抉れが後から発表されたWAのものにはなかったのですが、ここはどちらが正しいかよくわかりません。
スライドにはNM7791435の刻印、バレルには.45AUTO NM7791414 CHOWの刻印どちらも実銃を完全再現しています。この刻印の番号を僕はずっとシリアル・ナンバーだと思っていて、いつぐらいのモデルかと思って調べてみたのですが、NMで始まるシリアル・ナンバーが見つからず、いろいろネットで探してみたところ、どうやらこのナンバーは銃の固有のシリアルではなく、それぞれスライドやバレルのロット・ナンバーあるいはパーツの型番のようなものらしいことがわかりました。
ステンレス製のアンビ・セイフティ。左右ともにスウェンソンの刻印がしっかり入れられ、ここもしっかり角落としがなされています。
購入時にはついていなかったベルト・クリップ。オークションで見つけたので付けてみました。
フレームのシリアルナンバーは13365870とあり、こちらは1916年ごろの製造ということになりますが、この辺は定かではありません。
いかにもコンバット・ガンという感じの布製ケース。これもいろいろなタイプが存在しますが、しっかりした作りが気に入ってこちらを買いました。
外観はこんな感じ。
以上ボブ・チャウ・スペシャルでした。
090はホーグの6インチ・カスタムを予定していますが、まだ所有していませんので、091の.22オートマチック・ターゲット・ピストルを・・・