インドでは最近、こんなことが問題になっています。
「タラーク、タラーク、タラーク」
と既婚男性が唱えるだけで、離婚が成立してしまいます。
「タラーク(Talaq)」とは、アラビア語で「離婚」の意味です。
これは、インドのイスラム教徒の間で残る、悪習の一つです。
インドでは少数派のイスラム教徒ですが、割合が約15%と少ないだけで、
人口はインドネシアに継ぐ、世界第二のイスラム国家となっています。
この風習は、他の多くのイスラム国家では禁止されていますが、
インドで残っており、最近物議を醸しています。
最近では特に、口頭や書面ではなく、Whatsapp(LINEと似たもの)やfacebookなどの
電子媒体を介して、「タラーク x 3」を伝えて、離婚するケースが急増しているようです。
イスラム教の聖典コーランは、離婚の手続きには90日間が必要と記しています。
最初にタラークを伝えてから30日後に、もう1回、さらに30日後に
もう1回通達することによって、初めて離婚が成立します。
しかし、インドでは慣習上、間髪入れず、連続して唱えても、離婚成立となっています。
(写真は、重婚やタラーク x 3の廃止を求めるイスラム教徒の女性。)
ここで少し、インドの法律の話をします。
そもそもインドの憲法第44条には,
「国は,国民に対し,インド全域にわたる統一民法典を確保するよう 努力しなければならない」
と宣言されています。
しかしながら、この宣言はいまだに達成されておらず、現在のインドでは,
婚姻に関して、民事婚姻法と宗教婚姻法とが併存する形になっています。
民事婚姻法には,1954年の「特別婚姻法(Special Marriage Act)」という法律が
存在し、異宗教、異カーストの間で、必要な手続きとなっていますが、
実際には、インド人の間ではあまり行われておらず、外国人と結婚したインド人が、
配偶者のために婚姻登録を行うために使われるケースが多いです。
宗教と生活が密接に関わっているインドでは、宗教婚姻が非常に重要となっており、
インド人のほとんどが、この宗教婚姻を通して、結婚を宣言します。
宗教婚姻法には,
「ヒンドゥー婚姻法」、「キリスト教婚姻法」、「パールシー婚姻及び離婚法」
の3つの法律が存在します。
イスラム教徒の婚姻法に関しては、成文化されておりませんが、
「イスラーム法」が適用されるとされ,婚姻は当事者間の契約と解されている。
なお、ジャイナ教、シーク教、仏教の人々は、
これらの宗教の性質がヒンドゥー教に近いため、ヒンドゥー婚姻法に基づいて、
行われます。
また、これらの3つ法律では、「重婚」の禁止が明記されていますが、
インドのイスラム教徒は、4人まで奥さんを持つことが許されています。
これも、インド社会の中で、大きな問題となっています。
今回の騒動がきっかけで、「タラーク x 3」や「重婚」の廃止の運動が
盛り上がっていますが、現時点で最高裁は正式なコメントをまだ発表していません。
成文化されていないイスラーム法の一部をどうやって、禁止するのか、
興味ありますが、一刻も早く、斯様な悪習がなくなることを望んでいます。
それにしても、仏教徒がヒンドゥー教の慣習に基づいて、
結婚しなければならないとは、ちょっと複雑です。
<参考資料>
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