厚生労働省の研究班の調査では、昨年のギャンブル依存症にかかっている人は536万人に上るという。

実際はこの数字を遥かに超えていると思う。

多くはパチンコ、競馬、競輪などがその原因である。

そして現在、国会ではＩＲ推進法案（カジノ法案）が可決される可能性が大きい。しかしながら、この法案を推し進めるのは現役の国会議員約２００名（主に自民、維新、生活の三党が中心である）で、驚くことに、安倍首相がその最高顧問として名を連ねている。

彼等は「先進国でカジノがないのは日本だけだ！」と理屈を述べる。

それではパチンコはどうなのだ？他の国にはパチンコは存在しない。

お隣の韓国にはかつてパチンコは存在した。しかし「パチンコは人間を堕落させ、人生を狂わせる」として、２００６年に禁止した。

この現実を知りながら、不思議にもわが国では未だにパチンコは存在している。そして今、カジノの法制度が問われているのである。

もし我が国に「パチンコ」がなければ「カジノ」の導入も考えられるかもしれない。しかしながらすでに、このパチンコ産業は年間２０兆円にも上る大産業に発展してしまっているのである。

そして５００万人以上のギャンブル依存症を輩出しているのだ。

この病気にかかると本人のみならず、周りの家族にも大変な迷惑を及ぼし、かつてパチンコに夢中になって幼い子どもを車に放置して死に至らしめる犯罪が煩雑に起きた。

私たちは決してこのような犯罪を許してはならない。

他人事ではないのである。

カジノを導入するメリットとしては、カジノ税収入などの新規財源の創出及び、地域での雇用促進や経済波及効果などがあるが、その反面デメリットとしては、ギャンブル依存症の増加や自殺、犯罪の誘発、周辺の生活環境の悪化などが考えられる。

一度「依存症」にかかると何があってもプレイを優先する。

負けを取り戻そうと必死になり、周りの人に大変な迷惑をかけてしまう。

そしてついには一家心中に至る場合もある。

この国は一見「民主主義国家」のように思えるが、実際はとてもそのレベルに達していない。もっと国民一人一人が自覚し、考え、努力して個々の人間性を高める努力をしなければならない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2015年地方新聞掲載記事より

新・花の道シリーズ「カジノもパチンコと同様にギャンブルか？」