ハーフガードにおいて脇を差すことは基本中の基本と私は教えている。
しかし実際脇を差すまでに無数の攻防があるし、脇を差してからもまだ技に差し掛かるまでの段階がある。
しかし脇を差すことは絶対必須で、差されてからの技に入ることも出来なくはないがハイリスクになってしまう。
技がかからなかった時のエスケープに脇を差しているといないでは大違いだし、相手の体重をコントロールするという理由でも脇差は重要な一手である。
立ち技の組み技競技においても相撲を始めレスリング、柔道と脇を差すことは基本とされて来た。相手を投げる、コントロールするならこれが基本なのだ。
そして長い歴史の中で脇差しは研究されてきて脇を差したら「腕を返す」「脇を絞る」「下手を取る」の三つに別れる
ただ差しているだけでは小手巻きや閂といった対抗技術に負けてしまう。
まず「腕を返す」とは差した前腕を内側に捻り差した腕の親指が下を向くようにする技術である。
これを行うことで相手の脇を浮かし重心を傾かせることができる。
次に「脇を絞る」とは脇を差したところから肘を内側に絞り手を差した肩に引っ掛けるという技術。
これは相手の重心を落とすために使われる。レスリングでよく使われる技術でもある。
そして「下手を取る」とは相手の帯や腰骨に手を引っ掛ける技術である。
これは相手の腰を引っ張り腰そのものをコントロールする技術である。
脇を差しただけでもこれだけのバリエーションがあり同じ技でも時と場合ではこの差し方を変えて使用しなければ上手に技が掛からないこともある。
しかし、原理原則を知り相手の状態を知り引けばいいのか押せばいいのか落とせばいいのか上げればいいのかが分かっていればこの技術は大いに役に立つ。
脇は人を投げる最高の取っ掛かりであるのだ。