奈良市の公民館は社会教育施設として中学校区ごとに配置され、年間延べ40万人の市民が利用する人気施設です。ところが奈良市は、今年に入り、公民館利用に片寄りがあること(高齢者の利用が多い)、行財政改革が必要であるとして、市内24館のうち18館を廃止し、これを地域ふれあい会館に移行する計画を発表しました。


 しかし計画が明るみになると、9月定例会でも全会派が取り上げました。共産党市議団は代表質問などで「市長は公民館の廃止ではなくふれあい会館に移行するだけだと言うが、今ある公民館をふれあい会館にしようとすれば、条例で公民館を廃止しなければ移行できないはずだ」など、9点にわたり、具体的に問題点を指摘しました。また公民館利用者を中心に200人規模の集会が持たれるなど存続を求める声が大きくひろがりました。

 

 市長はついに計画の撤回を市議会閉会後の定例記者会見で表明しました。当初の廃止計画は撤回に追い込みましたが、市長は議論は続けるとしており引き続き注視していきます。
 

 

 図書館や博物館などは戦前からありましたが、同じ社会教育機関である公民館は新しい日本をそれぞれの地域の人たちの手で復興していくための拠点として戦後、新たに誕生しました。

 奈良市は、1970年以来、日本一生涯学習が行き届いた街づくりをめざし、1中学校区1公民館の建設をすすめてきました。現在24の公民館が整備され、徒歩や自転車で行け、身近に公民館があるのは、全国でもトップクラスです。その利用はコロナ前で年間50万人、昨年度も40万人となっており、市民にとってはかけがいのない社会教育施設です。

 ところが市長は公民館運営を担う生涯学習財団(奈良市の外郭団体)への年間約5億円の指定管理料が財政面で大きな負担となっているとして、公民館の大多数を廃止し、地域ふれあい会館に移行させる計画を進めています。しかし本会議でもすべての会派が取り上げ、異論が相次ぎました。私は代表質問で、公民館が地域で果たしているかけがえのない役割をまともに評価せず、予算削減だけが目的であることを9点にわたって指摘し、計画の撤回を求めました。市民世論をひろげ、計画をストップさせるために引き続きがんばります。

 

 

 

7月14日に市議会建設企業委員会が開かれ、路線バス減便問題を取り上げました。

2年前の8月、奈良市に対し奈良交通から全体で15路線の減便等の申し入れがあり協議を続けてきました。当初は今年の4月から減便の予定でした。急な要請でもあったことから、減便は延期され、協議を継続していくことになりました。

いずれにしても高齢者や障害者にとっては通院や買い物の足として欠かせない公共交通は何としても維持させなくてはなりません。高齢で今までのような徒歩や自転車を使っての移動ができなくなり、バスのみが買い物や通院の手段と言う方もおられます。 地域公共交通の利用者の減少により、路線を維持できない交通事業者の厳しい経営状況を見れば、民間事業者に委ねるだけでは、地域公共交通の衰退に歯止めをかけることが困難になっています。

地域公共交通の活性化・再生を保障する国の予算は、2011年度導入時は305億円の補助金が計上されていましたが、22年度は207億円に減らされています。抜本的に予算を増やすなど、いまこそ、自動車優先・道路偏重の交通政策を根本的に見直し、住民の足を守り、人間を優先した政策に転換すべきです。

 

 

 7月14日に行われた奈良市議会建設企業委員会では「ほこみち」の問題を取り上げました。

 

 安倍元総理が銃撃された事件現場そばの歩道が、歩行者利便増進道路、いわゆる「ほこみち」にする計画が進んでいます。1年前の事件当時に比べ近鉄西大寺駅周辺は、当時の面影がないほど様変わりしています。駅前広場が整備され、透明の屋根(シェルター)がかけられています。事件現場を車のタイヤが通過しないよう、車道が狭められ、その分歩道を大きく広げ人工芝が敷かれています。その一帯を7月8日、9日は1周忌ということで主催者が設置したテントが置かれ、2日間で4800人が献花に訪れたと報道されています。

 

「ほこみち」は歩行者利便増進道路の愛称で、歩行者天国―ほこてんになぞらえた愛称です。公共空間である奈良市の歩道の一部を民間事業者に、最長20年契約で貸し出そうとするものです。2020年の道路法改正で規制緩和が行われ、こうしたことが可能になりました。

 

 全国的には車道を減らして歩道を広げるというのが計画の中心になっており、車中心から人中心の道路への転換と言う意味では理念として理解できます。
 一方、車道を減らして歩道に切り替えるために対面通行だったところを一方通行にすることで渋滞になりかねないとして住民や関係者の合意形成が難航して計画を縮小せざるを得なかった、という事例が道路法改正の時の国会審議で政府答弁として行われています。
 

 住民との協議調整を円滑に進めるための仕組みが法律には制度として盛り込まれていないという問題があります。特定の民間事業者に公共空間である道路の占用を最長20年もの期間認めるもので、住民の意向を無視した再開発事業に利用されかねない懸念も指摘しておきました。

 

 また最長20年間の占用許可を民間事業者に与えた場合、その民間事業者が「又貸し」できるのは事業に関連したものとの答弁がありました。

 マイナンバーカードのトラブルが連日報道されています。特にマイナ保険証のトラブルは命に関わる問題だとして、日本共産党は現行の健康保険証を廃止しないことを求める署名を開始しました。政府は来年10月から現行の紙の保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化するとしています。マイナ保険証を持たない人には新たに「資格確認証」を交付するとしていますが、これまで申請が必要だと説明してきました。

 

 ところがあまりにも評判が悪く、ここへきてプッシュ型の「資格確認証」にすることを検討すると言い始めました。これを聞いて噴き出しました。

 私は国保に入っていますが、申請をしなくても毎年7月には新しい保険証が市役所から送られてきます。まさにプッシュ型です。税金を使って新たな「資格確認証」を作らなくても、今の保険証を続ければ解決する話です。

 

 なぜこうまでして国はマイナカードの普及に躍起なのでしょうか。マイナカードの交付が始まったのが2015年です。有効期限10年とされていますので2025年から更新が始まりますが、私は、更新しない人、更新忘れの人がかなり出るのではないかと思っています。

今でも取りに来ない人はかなりいます。今年の3月議会の予算委員会で私は資料要求し、マイナカードが出来ても取りに来ない人が奈良市でどれだけいるのか調べました。奈良市だけでも今年の3月7日現在、交付通知を出して6ヶ月以上経っても取りに来ない人が2,516人いることがわかりました。単純計算すると奈良県で1万人、全国で100万人いることになります。マイナカードは、etcカードや運転免許証と違って、なくても不便を感じないからではないかと思います。10年の有効期限到来の前に爆発的に普及させるためには、「なくても不便を感じないカード」から「なくてはならないカード」にする必要があるからではないかと思います。

 

 資料要求してもう一つ重要なことがわかりました。マイナカードの申請数と交付数には大きな違いがあるということです。2015年から2023年2月末までの約8年間で奈良市のマイナカードの申請数は284,659であるのに対し、交付数は235,656枚で約49,000枚もの開きがあります。もちろん今年の2月末で区切っているので申請しても交付手続き中のものはカウントされないのはわかるが、どうしてこれだけの開きがあるのかと聞いたら、「スマホ申請などで内容に不備があり、再申請された場合には、申請回数を重複してカウントしている」との回答でした。そしてこのカウント方法は奈良市だけではないとのことでした。

 今、政府は申請数は全国民の8割を超え、ほぼ行き渡ったと説明していますが、その実態は内容不備による再申請もカウントされているということです。

 

 市道上のガードパイプの腐食による損壊で市民が転落し、負傷した事故に対する481万円あまりの損害賠償で示談することを求める議案がだされました。賠償は当然としても後遺症もある重大事故です。


 私は、昨年9月定例会で、鳥見町で起きたカーブミラーの腐食による倒壊で家屋の壁を損傷させた事故について今後の対応を求めていました。市は「道路施設についての現状を把握し適正に維持管理が出来るよう台帳整備を行い、予防保全として定期的なパトロールなどを実施する」と答弁していました。しかしその費用を所管課が予算要求しましたが、市長によるゼロ査定で今年度の台帳整備は実施できませんでした。私はこの事実を示し、補正予算等特別委員会で次年度は必ず予算化するよう要望しました。
 


 6月定例会が終わりました。この中で市税条例の改正案が出されました。森林環境税を国税として新たに徴収しいったん国に納めた後、一定の基準で地方自治体に譲与されます。
 森林環境税は今年度で期限が切れる復興特別住民税(年千円)の付け替えであり、低所得にも一律負担となっていることや、企業負担なしの制度であり、温室効果ガス排出の最大の原因者である企業に負担を求めないなど課税においても配分においても問題がある制度です。しかし国税であり、毎年5千万円前後、目的税として奈良市に譲与され、ナラ枯れ対策や荒廃した人工林の整備などに活用されています。奈良市が民間の森林管理に関与することを意味することから森林経営に精通した人材育成を強く求めました。
 

 

 

岸田政権は来年10月に現在の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化しようと躍起になっています。奈良市議会6月定例会にもその一環として生活保護受給者へのマイナカード取得を事実上義務付ける条例が出されてきました。

生活保護利用者のマイナンバーによる資格確認の導入は、医療機関の受付で「生活保護を受けているので保険証は持っていません」と伝えなくても、マイナンバーカードを出せば受付ができ、肩身の狭い思いをしなくても済むというメリットがあることから、賛成するか反対するか、日本共産党奈良市会議員団の中でも大議論となりました。

しかし議論の結果、反対することにしました。この条例改正は、任意であるはずのマイナンバーカードの取得を事実上強制するものです。

また、マイナンバーカードの運用ではすでに多くの不具合が生じており、吉田病院出身の桝井議員によると病院の窓口でトラブルが続出しているが、紙の保険証も持ってきている患者がほとんどなのでそれで確認しているとのことです。

すでに手作業でぼう大な量のひも付けがされている他の公的医療保険では、「マイナ保険証では、保険情報が確認できない」、「保険情報の一部しか表示されない」、「古い保険情報が表示される」、などのトラブルが起き、かえって混乱している状況です。現在の紙の保険証で何の問題もないのに、問題だらけのマイナ保険証に一本化するのはやめるべきです。

 

①    駅前広場のシェルタはなぜ透明か

昨年9月定例会で透明の駅前広場のシェルタ―に変更するための1億円増額する予算が提案されたときに、私は、日射の透過率は、87.9%、紫外線透過率は74%となっており、雨除けにはなっても日よけにはならない素材をなぜ使うのかと対応を求め、市長もなんらかの対応を約束しました。市の説明では明るく開かれた歩行空間にしたいとの説明でしたが、他の駅ではあまり見られない材質であり、高所からの警備を容易にするための材質変更ではないかとの疑念がぬぐい切れません。5月17日に行われた市議会建設企業委員会ではその対応としてバス待合の部分に蚊帳をつるすとのことでした。

 

② 駅前広場と県道と交差点になぜ信号機をつけないのか

駅前広場と都計道路西大寺東線の交差点に信号機は設置されていません。駅前広場が整備され、構内にバス、タクシー、一般車が出入りし、途中まで拡幅されている西大寺東線が、今後さらに東方向に拡幅されると通行量も増えます。現状は信号のない交差点で歩行者と車両が錯綜する形になっています。県内屈指の乗降客のいる駅前広場と県道の交差点に信号機がないというのは普通ありえないと思います。信号機設置に向け警察と協議を行うよう強く求めました。5月17日の建設企業委員会では他の議員からも同様の指摘がありました。

 県議選、大和郡山市議選支援を終え、少しは休めるか、と思っていたところ、4月26日の全員協議会から5月10日の本会議の日程で臨時議会が招集されました。議案は「和解について」でした。

 

 新斎苑の土地取得をめぐる住民訴訟は最高裁まで争われましたが、住民勝訴の判決が確定し、市長と元地権者は、確定した金額を連帯して奈良市に支払わなければならなくなりました。しかし両者とも期日までに支払いをしなかったことから、奈良市は両者に対して支払いを求める裁判を起こし係争中でした。ところが、4月、奈良地裁は確定額を大幅に減らした和解案を示し、市長はこの和解案の承認を求めて臨時議会を招集し、議員団からは私と北村議員が質問に立ちました。

 

 2003年の地方自治法改正前なら判決が確定したらそれで終わりでしたが、「改正」後は、もう一度債権回収のための今回のような裁判をしなければならなくなりました。法案審議のために行われた2002年の衆議院総務委員会で日本共産党の春名議員(現高知県委員長)はこうした2段階目の訴訟で住民は蚊帳の外におかれ、和解というなれあい裁判の危険があり、民主主義の大切な柱である住民訴訟の意義が損なわれるとして、法改正に反対する立場で質問をしていました。今の奈良市の事態を的確に予測しており、この会議録を探し当てた時は「素晴らしい先見性」だと思いました。おかげで確信をもって質問と本会議討論をすることができました。