●ボウラータイプ適性
【球速が回転を上回るタイプ】
・曲がりが非常に見えやすく、このタイプにとって非常に扱いやすい
・カバーが強めなのでドライエリアでのキャッチ感も感じやすい
・ミディアムコンディションを中心に幅広く使用出来る
【回転が球速を上回るタイプ】
・人によってはキレ感が過剰に感じる事も有
・カバーの強さの割には走りは重く感じず、手前で捕まる雰囲気も無いので扱いやすく感じる
・ややオイリー目なコンディションまで使用出来る
【バランスが取れたタイプ】
・強い走ってキレるボールとして、先の動きを出したい場合に非常に有効
・ミディアム~オイリーに幅広く対応する
●総括
中慣性、強い非対称性を持つコアの特性がとても良く出ているボール。
レーン中盤以降での動きが強くアグレッシブだが、強いハイブリッドカバーとの組み合わせの良さにより、安定性とメリハリ感のバランスも非常に高水準。
この手の強いカバーでアグレッシブなボールの場合、手前のオイルを多く必要としたり、レーン中盤の余計なキャッチが失速感に繋がったり、その他汎用性に欠ける要素も目立つ。
しかしこのアーチタイプハイブリッドはこのデメリットをI-Core 3.0 Slimによってクリアしている。
I-Core 3.0 Slimは中慣性な数値を持つ強い非対称コアで、手前の過剰な転がりを抑制、レーン手前のパワーロスを減らし、レーン中盤からバックエンドで強力な転がりと曲がりを出す事が出来る。
そのため、このアグレッシブな性能を幅広いコンディションで使用しやすい。
具体的に特に良い点を挙げると、スキッドの長さがまず挙げられる。よく転がってるように見えるが、このハイパフォーマンスカテゴリのボールとしてはかなり高い直進性を持つ。
次にドライエリアでの安定した強いブレーキ感が挙げられる。
ハイレスポンスではあるが、即バックエンドに移行するわけでもなく、跳ね返り感が無い点が扱いやすさに大きく寄与している。
アウトサイドのラインを使用する場合、手前での無駄なリアクションを抑えて安心してドライエリアにボールを触れさせる事が出来るので、ストローカータイプとの相性が良い。
●以下好き勝手欄
これ俺大好き。
このコア、絶対ポリッシュのパールかハイブリッドと合わせるとメリハリが強調された良いボールになると思ってた。
だから今回のボールの感想は「ですよねー」って感じ。
このアーチタイプシリーズの一作目、強ソリッドで凄い色したスーパー好みが分かれるボール出さずにまずこっち出しときゃ良かったのでは?って思ってるんだが、これはまた言わんでもいい事言って怒られそう案件?
カラーは派手っちゃ派手ですが、同時発売のピュアマッドネスのような毒ヘビカラーじゃないのでこれはオッケーでしょう。
このカラーは毒ヘビじゃない上に非常に転がりが良く見えるのでかなり好印象。
投げた第一印象としては、意外と走る。
体感、思ってるよりボール1~2個分くらい走る。
先はパキっとキレますが、走ってくれる分全然コントロール可能。
ハイフレアなコアですが、動きに重さは感じません。
こういう強カバーの強いコアって、安定感やトラクションが高い代わりに動きに重さみたいなのを感じるんですが、このボールはそういうのが無くて全体的に軽快に動きます。
最近のボールはアグレッシブさと扱いやすさのバランスが取れたボールが多いですが、どのボールもそれぞれ違った性能特性によって高バランスが達成されてるのが良いですね。
このアーチタイプハイブリッドは高いスキッド性能によってアグレッシブな軌道特性とコントロール性能が両立されています。
思えばコロンビアのアトラスも似たようなコアスペックになっていて、ソリッドの強カバーでは異例な程にしっかり動くバックエンドとパワーロスが少ないスキッド性能を持ってました。
このアーチタイプハイブリッドはパラゴンパールにも似てますが、パラゴンパールと違うのはやはりブレーキ感。
パラゴンはブレーキから即バックエンド感があり、角度が非常に付けやすい。
アーチタイプはドライへの反応は鋭いですが、進みながら止まる感があるので、バックエンドまで間が一瞬あるって感じ。
パラゴンは低慣性だからか、手前から曲がろうとしてるので摩擦が発生した時点でバックエンドまで素早く移行します。
この特性の違いはいつも言うように良いか悪いかではなく、用途と適性の問題。
あとメリハリが強いといえばセオレム。
セオレムの方がキビキビ動くというか、カドが取れたキレというか、そんなイメージ。
アーチタイプハイブリッドの方がカバーは強いんですが、僕にはどうもセオレムの方が走りが弱い気がしてならない。
なので手前の行き感を見る人はもしかしたらセオレムの方が手前で捕まる印象持つかもです。
カバーも違うけどコアの違いが大きそうに思いますね。
パラゴンパールともセオレムともはっきりと違う点はやはりコアによる特性。曲がりの質。
総括で書いた事の繰り返しですが、アーチタイプハイブリッドはスキッド後半のオイルが薄くなってきたエリアから軸移動と転がりが強くなり、その一瞬後にフッキングポイントでのブレーキに移行します。
手前の転がりが抑えられ、その保持した直進力や回転力をレーン中盤からの要所で確実にブレーキの安定性や鋭いバックエンドに変換出来ています。
なので手前の走りは良くて先ではアグレッシブかつ安定性も高いという理想的な軌道特性になっています。
RGを上げた事による恩恵が見事に表現されている。
でもRGを上げりゃいいってもんでもない。
高慣性なコアは使用感や投げ心地みたいなものも変わってくるし、手前が軽すぎるのも先が強すぎるのも汎用性や安定性を損なう。
I-Core 3.0 Slimは手前の転がり感や安定性を損なわないレベルの絶妙な中慣性なのが非常に良い。
以上のようにこのボール、他のハイパフォーマンスボールの多くとは違う点があります。
・中慣性でスキッドが良く、全体的に動きに重さが無い
・カドが見えるキレ感
が特に違いとして分かりやすい点。
具体的な用途として、スポコンやトーナメントでは2番手で投げるボール。先が落ち着いてきた時ですね。
要は一定以上のオイルがあって先が暴れなければしばらくこのボールのレーンです。
スキッドもあるし、先の動きも出るのでインサイドにも入りやすい。
基本的に走りが良いメリハリ系のボールって使い所やレーンコンディションが分かりやすいので、他のボールとの使い分けという点でも優位だと思います。
トラックで一番強いカバーを使われてるんですが、アーチタイプハイブリッドに関してはそんなにカバーの強さを感じません。良くも悪くもというか、強さを主張せずバランスされてるというか。
でも止まらないって感じは無いし、先の動きに「手前でパワーロスしました感」は全く無い。
要所でそのカバーなりの強さは発揮するけど、余計な所で主張しないって感じ。
最近は毎度毎度出すボールが凄すぎるんだよトラック。
強いメリハリは当然のように出しつつ、そのコアやシリーズが持つ固有の特性をしっかり強調し、さらにその固有の特性も他のコアとは差別化されていてプレイヤーに優しい。
ブランズウィックグループの中でも誇張無しに開発力はトップように感じる。
最近トラックに興味ある人、このアーチタイプハイブリッドやセオレムはトラックらしさがありつつ完成度も高くておすすめですよ。
おわり。